「キャリアアップ助成金」は、外国人労働者を含む非正規雇用労働者の方の企業内でのキャリアアップを促進するため、 正社員化などの取組を実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。
そのうち4つのコースについて、拡充などの内容変更が行われました
内容変更の情報が公開されています。その一部をご紹介いたします
※非正規労働者とは、外国人労働者を含む有期契約労働者(契約社員)、短時間労働者(パートタイマー)、派遣労働者(派遣社員)などを指します。
1正社員化コース
ポイント1. 賃金上昇要件の緩和
現行では正規雇用等へ転換した際に転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の 賃金(※)を比較して、5%以上増額していることが要件になっていますが、その支給要件が以下のように変更されます。
※賃金は賞与や諸手当を含む賃金の総額。
※転換後の基本給や定額で支給されている諸手当を、転換前と比較して低下させていないこと。
新規要件
正規雇用等へ転換した際、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の 賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること 。
ア 基本給及び定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ 基本給、定額で支給されている諸手当及び賞与を含む賃金の総額(転換後 の基本給及び定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)
2 選択的適用拡大導入時 処遇改善コース
このコースは、外国人労働者を含む非正規雇用従業員や短時間労働者に対して、社会保険の制度概要や加入メリット等の説明・相談等を行うとともに、保険加入に関する意向確認等を行うなどし、新たに社会保険の被保険者とした場合に助成します。
選択的適用拡大導入時処遇改善コースは外国人労働者を含む非正規雇用従業員や短時間労働者の社会保険加入を促進し、将来への安心した年金や健康保険の加入を促進することが目的ですが、社会保険加入によって手取りが減ってしまうことを避けるため、加入した際に基本給を上げることをセットにした制度です。
この結果、従業員の就労意欲向上や会社全体の生産性向上が期待できます。
★「社会保険の選択的適用拡大」や「労使合意」とはなんでしょうか。
2016/10/1に、社会保険(厚生年金や健康保険)の資格を有しないとされたパート労働者などについても、被保険者数が501人以上の企業に勤める人は、以下①~④の要件をすべて満たす場合は、被保険者資格を持てるようになりました。適用範囲が広がり、資格を得ることができるようになることを労働者への「適用拡大」とよびます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 1ヵ月の所定内賃金が月額88000円以上であること(残業代、通勤手当等は含まない)
- 雇用期間が1年以上見込まれること
➃ 学生(夜間、通信、定時制は除く)でないこと
さらに、被保険者数が500人以下の企業に勤務するパート労働者なども「適用拡大」の対象となり、前記①~④の要件をすべて満たす人については、社会保険の被保険者となることができるようになりました。ただ適用(被保険者となること)が義務なのではなく、労使間の合意があれば、適用が可能になるというものです。
「労使合意」とは、事業主の同意に加えて対象者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合の同意があること、労働組合がない場合は従業員の過半数を代表する者(労働者代表)の同意、または従業員の2分の1以上の同意があることをいいます。
受給金額について
1事業所当たり 19万円 <1事業所当たり1回のみ>
※措置該当日以降に新たに社会保険の被保険者となった外国人労働者を含む有期雇用労働者等の基本給を 一定の割合以上増額した場合、基本給の増額割合に応じて以下の助成額を加算
2%以上3%未満 :1人当たり 19,000円
3%以上5%未満 :1人当たり 29,000円
5%以上7%未満 :1人当たり 47,000円
7%以上10%未満 :1人当たり 66,000円
10%以上14%未満 :1人当たり 94,000円
14%以上 :1人当たり13万2,000円
<支給申請上限人数は45人まで>
※措置該当日以降に外国人労働者を含む有期雇用労働者等の生産性の向上を図るための取組(研修制度や評価 の仕組みの導入)を行った場合に助成額を加算 ・1事業所当たり100,000円(75,000円) <1事業所当たり1回のみ>
社会保険の負担は外国人労働者を含む有期契約労働者にとって、将来的に返ってくるものであったとしても手取り額が減ってしまうことに抵抗感を感じる人は少なくありません。意図的に社会保険の適用範囲外で仕事をすることは多くあり、社会保険にあえて加入していないということは現状、外国人労働者には多く存在します。
選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、社会保険の加入を渋る要因の1つである手取り額減少を改善するために基本給アップが行える助成金であり、社会保険適用範囲内へ移行する決断を促すための有効な制度です。
活躍したい人材を育成したいとお考えの企業では是非活用してほしい助成金の1つです。