外国人雇用が日本人の採用と異なるのは、多くの場合、在留資格をベースに就労していることです。
そのため、解雇になってしまっては、その外国人は日本に滞在し続けるのに新たな就職先を探さなければいけません。
また、業績不振で働いていた企業の仕事がなくなってしまった場合も、同じく在留資格の問題に悩まされることになります。
外国人を雇用する企業が、厚生労働省の助成金制度を上手に活用することは、事業の経費をカバーし、安定的な雇用につながっていくことになります。
まずは外国人雇用で利用できる助成金の制度を知ることが経営では重要と言えるでしょう。
今回紹介するのは「キャリアアップ助成金」というものです。
キャリアアップ助成金とは、期間に定めのある有期契約労働者や、短時間労働者に対して正社員への転換や賃金アップの処遇改善の取り組みを行った際、事業主に対して助成金が支給される制度です。
★キャリアアップ助成金の概要★
雇用している労働者の待遇改善を図りたいけれど、企業余力が厳しいというときに活用できます。
7つのコースが設定され、それぞれ支給できる条件と金額が決まっています。今回はそのうちの3コースを簡単にわかりやくすくご紹介します。
正社員転換コース
有期契約労働者や短時間労働者などの雇用を対象とした助成金で、非正規雇用から正規雇用への転換を主な目的としています。
こちらの助成金は、日本人・外国人労働者のどちらも同じ条件で適用されます。
この助成金では、有期契約労働者を正規雇用労働者への転換などの転換内容やどれくらい生産性が向上したかによって助成金額が異なります。
例えば有期契約労働者を正規雇用労働者へ転換した場合に、1人あたり最大で57万円を受給することができます。
さらに生産性の向上が認められると、1人あたり最大で72万円まで受給することも可能です。
賃金規定等改定コース
賃金規定等改定コースでは、基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に以下の金額が支給されます。
【すべての労働者の賃金規定を2%上昇】
* 1事業所あたり最大36万円
【一部の賃金規定を2%上昇】
* 1事業所あたり最大18万円
※支給額は、労働者数および条件によって変動します。
健康診断制度コース
健康診断制度コースは有期雇用の従業員に対して、法定外の健康診断を新設・導入した事業主が受給できる助成金です。
従業員の健康管理の強化を通じて、キャリアアップに繋げることを目的としています。
★法定外の健康診断とは
・正社員よりも短い勤務時間で働いているアルバイト等に「雇入時の健康診断」、「定期健康診断」実施する。
・正社員ではないアルバイト等に、人間ドックを実施を行う。
【人間ドッグとは】
次の(ア)に加えて、(イ)~(ク)いずれかの項目について行う健康診断を指します。
(ア)基本健康診断
(イ)胃がん検診
(ウ)子宮がん検診
(エ)肺がん検診
(オ)乳がん検診
(カ)大腸がん検診
(キ)歯周疾患検診
(ク)骨粗鬆症診断
以上のように雇用している外国人労働者の待遇改善を図ることで受給できるのが「キャリアアップ助成金」です。
ただし、帰国に定めのある技能実習生および、EPA受け入れ人材の看護師・介護福祉士試験合格前の外国人は対象外ですのでご注意ください。