2019年も残すところ僅かとなりました。会社の管理部門の担当者は年末調整の準備に取り掛かり始めている時期ではないでしょうか。
昨今は外国人社員を雇用する会社も増えており、外国人社員の年末調整をスムーズに終わらせることは大きな過大の1つです。
そこで、本稿では、外国人社員の年末調整について、スムーズに行うために参考となる情報を取りまとめてお伝えします。
外国語の各種申告書を活用する
年末調整で使う各種申告書は、ただでさえ複雑であるのに、それを外国人社員に説明するのは、より一層ハードルが高くなります。
この点、意外と知られていないようなのですが、実は、外国語バージョンの申告書も用意されています。
国税庁のホームページにアップロードされているのですが、情報が散らばっているので、ここでまとめてリンクを紹介しておきます。令和元年分の扶養控除等(異動)申告書は英語のみですが、それ以外の申告書については、5か国語のバージョンが用意されています。
母国語の申告書に記載してもらうことで、外国人社員の年末調整もスムーズになるはずです。
令和元年 扶養控除等(異動)申告書(英語のみ)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h31_01_en.pdf
令和2年 扶養控除等(異動)申告書(英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_01_gaikokugo.htm
令和元年 配偶者控除申告書(英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_71_gaikokugo.htm
令和元年 保険料控除申告書(英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_05_gaikokugo.htm
HRテックも外国語に対応
近年、HRテックの発達により、年末調整もクラウド化が進んでいます。
SmartHR、人事労務freee、MFクラウド給与などの年末調整機能を利用すれば、ペーパーレスで年末調整を行うことが可能となり、年末調整業務を大きく効率化することができます。
しかしながら、外国語の年末調整に対応しているHRテックはまだ多くはありません。
そのような中、SmartHRはいち早く、外国語の年末調整に対応をしました。SmartHRは、SaaSやウェブサイトの多言語化を実現するWOVN.io社と提携し、英語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)、韓国語、ベトナム語の、5か国語の年末調整への対応を実現しました。
人事労務freeeやMFクラウド給与は、年末調整を含め、まだ日本語のみの対応ですので、2019年の年末調整を、外国人社員を含めてクラウド上で行いたい場合は、選択肢はSmartHRのみということになるでしょう。
国外居住親族に係る扶養控除等の適用について
外国人社員の年末調整で言語の壁に加え、もう1つハードルになるのは、国外居住親族の扶養認定です。
母国に家族を残して日本に働きに来ている外国人社員も、収入要件等を満たせば、母国の家族を扶養親族として、配偶者控除や扶養控除を受けることが可能です。
しかし、これらの控除を受けるためには、扶養控除等(異動)申告書に加え、母国の政府機関が発行した戸籍謄本などの親族関係を証明する書類と、母国への送金記録を提示することが必要になります。
その案内についても、日本語版に加え、英語版の資料も国税庁のホームページに用意されていますので、早めに外国人社員に配布して、必要書類を用意してもらうようにするのが良いでしょう。
非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ(給与所得者用リーフレット)(英語版)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/fuyo_en.pdf
まとめ
外国人社員の年末調整は、日本人の通常の年末調整よりも手間がかかります。早めの準備や、外国語の書式、外国語に対応したクラウドシステムの活用などを通じ、スムーズに完結させたいものです。