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事務所、第1号!新たな在留資格「特定技能」の申請と許可

公開日:2019.10.10

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2019年4月から運用が開始された、在留資格「特定技能」。弊社事務所でも、特定技能での申請のご依頼があり、先日、無事に許可を得ることができました。

本記事では、特定技能の申請手続きの中で分かったことと、これから申請される方、検討されている方に向けて、手続きと諸注意を解説します。

 

在留資格「特定技能」とは

日本は、経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、システムエンジニア等の技術者や企画などのホワイトカラー職、語学教師や、医師、弁護士などの専門的・技術的分野の高度人材に限り、受入れを積極的に行い、そのほかの分野においては、日本人の雇用機会や諸外国との関係性などから消極的な姿勢を示していました。

しかしながら、昨今の労働力不足、特に中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足もあって、日本としても、今まで受け入れてこなかった単純労働者にも門戸を開くこととしました。

この新しい在留資格「特定技能」の創設によって、深刻な人手不足生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業(現在14分野)に限定されるものの、通常の「専門的・技術的分野」の枠組みを広げて、単純労働に従事することが可能となりました。

なお、技能実習と異なり、国籍の要件は基本的にありません。政府は、ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル、マレーシア、スリランカ、バングラディッシュとの二国間取決めの締結を目指していますが、これは、悪質な仲介事業者の排除等を目的とするものであり、締結していない国籍の方であっても、特定技能の取得は可能です。

 

実際の手続きについて

許可にあたっては、大きく分けて5つの論点に注意する必要があります。ここでは、5つの要素である、①業務内容、②受入機関(雇用主)、③雇用契約、④支援計画、⑤そのほか、について、諸注意と併せて解説します。

 

①業務内容

先ほど説明した通り、特定技能が認められる産業分野は、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船舶工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、に限定されていますが、さらに言えば、この産業に合致するだけでは規定を満たすことになりません。

特定技能1号の場合、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」、特定技能2号の場合、「熟練した技能を要する業務」に従事することが要求され、それぞれの産業分野ごとに、認められている業務内容が定められています。

例えば、「素形材産業分野」の場合、認められている主たる業務は、「鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、塗装、溶接」です。清掃・保守管理を主業務とすることはできませんのでご注意ください。

また、一方で、その外国人が、従事しようとする業務を行うだけの技能を有していることも必要です。従事しようとする業務に応じて、「技能実習2号を良好に修了」、もしくは、「特定技能試験の合格と日本語能力認定試験の合格」のいずれかを満たしていることを確認ください。確認方法は、技能試験の合格証明書や日本語試験の合格証明書、技能検定3級の合格証書などが挙げられ、これらは提出書類の一つです。

 

②受入機関(雇用主)

「受入機関がその外国人の適正な雇用をできるかどうか」、という視点で審査されることに注意してください。例えば、労働、社会保険、租税に関する法令の遵守や、行方不明者の発生の有無、関係法令による刑罰の有無、受入機関の役人の適格性、財務状況などのほか、受入後の特定外国人の活動状況に関する文書の作成などです。

この点、申請にあたって、様々な資料の提出が要求されていることからも、慎重に審査している様子が伺えます。

提出書類は、法人税の確定申告書(直近2年分)の写し、決算文書(直近2年分)の写し、健康保険・厚生年金保険料領収書(24ヶ月分)の写し、受入機関の役員に関する誓約書、などです。

なお、労働保険料等納付証明書は、厚生労働省HPにある指定の様式で提出することが求められます。

また、「受入機関がその外国人の適正な雇用をできるかどうか」は、無事に許可が下りた後も、同様であることに注意ください。例えば、特定技能外国人の受入中に、関係法令による刑罰を受けてしまった場合、欠格事由に該当することとなり、受入中止になる可能性も考えられます。

 

③雇用契約

前提として、労働関連法令に適合していることが求められます。例えば、特定技能の在留期間は、通算5年ですが、有期労働契約の契約期間の上限は、原則3年ですし、法定時間外労働、休日労働、深夜労働が発生したのであれば、割増賃金を支払わなければなりません。

また、特定技能外国人の所定労働時間は、受入機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であることが求められています。なお、「通常の労働者」とは、アルバイト・パート労働者ではなく、フルタイム(労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であること)で雇用される労働者のことを指します。

なお、変形労働時間制で雇用する場合、特定技能外国人が理解できる言語を併記した年間カレンダーの写し、労働基準監督署へ届け出た変形労働時間制に関する協定書の写し、の提出のほかに、場合によって就業規則や賃金規定の写しも要求されます。

さらに、特定技能外国人の報酬額は、同等の業務に従事する日本人労働者の報酬額と同等以上であることが求められます。「報酬」とは、一定の薬務の給付の対価として与えられる反対給付をいい、一般的に通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するものは含まれません。

 

④支援計画

1号特定技能外国人を雇用する場合、一人ひとりに対して、特定技能外国人支援計画を作成しなければなりません。

1号特定技能外国人が、日本で安定・円滑に、職業生活、日常生活、社会生活をおくれるようにするためのものです。支援は、義務、任意と区別されており、義務的支援を全て実施しなければ、要求されている基準を満たせず、許可は下りません。支援項目によっては、その実施方法まで定められているため注意が必要です。

 

ⅰ)事前ガイダンスの提供

労働条件、活動内容、入国手続、保証金徴収の有無、支援に要する費用の有無、出入国時の送迎等を、対面・その他の方法(インターネットによるビデオ通話など)を用いて、実施する必要があります。その際、1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で行うことが求められます。

なお、実施時期は、在留資格認定証明書交付申請日、もしくは在留資格変更許可申請日よりも前の日付です。

 

ⅱ)出入国する際の送迎

1号特定技能外国人が入国するときは、上陸する空港等と事業所の間の送迎が、出国するときは、空港等の保安検査場の前まで同行することが、それぞれ求められます。

なお、その特定技能外国人がすでに日本にいるなど、入国時の送迎が明らかに不要である場合は、支援の対象となりません。また、一時帰国の際の出入国の送迎は、支援の対象外です。

 

ⅲ)適切な住居の確保に係る支援

1号特定技能外国人が、在留中に居住する住居を、確保できるように支援しなければなりません。

これは、仮に外国人の離職が決まったとしても、特定技能雇用契約が有効である間は、支援が必要です。

また、居室の広さは、1人当たり7.5m以上を満たすことが求められます。居室とは、リビング、ダイニング、寝室などを指し、玄関、トイレ、浴室などは非居室に該当する可能性が高いため注意ください。

1号特定技能外国人が賃借人として賃貸借契約を締結する場合は、不動産仲介業者や物件の情報を提供し、必要に応じて外国人の住居探しに同行することが求められます。なお、契約にあたって連帯保証人が必要な場合に、連帯保証人として適切な者がいないときは、特定技能所属機関等が連帯保証人になるか、もしくは、家賃債務保証会社を確保した上で特定技能所属機関等が緊急連絡先となること、が求められます。

特定技能所属機関等が賃借人として賃貸借契約を締結する場合は、1号特定技能外国人の合意の下、住居を提供しなければなりません。

特定技能所属機関が所有する社宅等を提供する場合は、1号特定技能外国人の合意の下、行わなければなりません。

なお、特定技能外国人がすでに、日本に在留している場合で、すでに住居を確保しているなど、支援が明らかに不要であるときは、実施しなくても構いません。また、このとき、特定技能外国人がすでに確保している住居に居住することを希望する場合は、少なくとも、1人当たり4.5m以上を満たす必要があります。

 

ⅳ)生活に必要な契約に係る支援

1号特定技能外国人が、日本での生活に必要な各種契約に関する支援を行わなければなりません。

各種契約とは、銀行等の金融機関における預貯金口座、または貯金口座の開設や、携帯電話の利用手続き、電気、ガス、水道等のライフラインの開設手続きのことです。必要な書類の提供や、窓口の案内、必要に応じて外国人に同行し、手続きの補助を行うことが求められています。

なお、特定技能外国人がすでに、日本に在留している場合で、すでに開設されているなど、支援が明らかに不要であるときは、実施しなくても構いません。

 

ⅴ)生活オリエンテーションの実施

1号特定技能外国人が日本に入国後、すでに日本に在留している場合は在留資格変更許可後に、遅滞なく、日本における職業生活、日常生活、社会性絵活を円滑に行うために必要な情報の提供が必要です。このとき、1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で行うことが求められます。

生活オリエンテーションで提供する情報は、法務省の外国人生活支援ポータルサイトをご参照ください。

 

ⅵ)日本語学習の機会の提供

1号特定技能外国人に対して、日本語の学習機会を提供する必要があります。

支援は、①就労・生活する地域の日本語教室や日本語教育機関に関する入学案内嬢を提供し、必要に応じて同行し、入学手続きの補助を行う、②自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し、必要に応じて、日本語講座の利用契約の補助を行う、③1号特定技能外国人との合意の下、特定技能所属機関等が日本語講師と契約し、日本語の講習の機会を提供する、のいずれかを行わなければなりません。

 

ⅶ)相談または苦情への対応

1号特定技能外国人から相談または苦情の申し出を受けたときは、遅滞なく、相談または苦情に適切に応じ、必要な助言、指導などの措置を講じる必要があります。このとき、1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で行うことが求められます。

また、必要に応じ、相談内容に対応する適切な機関を案内して、同行と手続きの補助を行わなければなりません。

 

ⅷ)日本人との交流促進に係る支援

1号特定技能外国人と日本人との交流の促進できるように、①地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供や地域の自治会を案内し、各行事等への参加手続きの補助と、必要に応じて同行し、各行事の注意事項や実施方法の説明を行う、②日本の文化を理解するために必要な情報として、就労又は生活する地域の行事を案内し、必要に応じて同行し、現地で説明するなどの必要な補助を行う、のいずれかが求められます。

 

ⅸ)外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援

1号特定技能外国人が、人員整理や倒産等による受入側の都合により特定技能雇用契約を解除される場合には、外国人が引き続き特定技能による活動を行うことができるように、必要な転職支援を行わなければなりません。

この支援は、可能な限り、次の受入先が決まるまで継続することが求められます。

 

ⅹ)定期的な面談の実施、行政機関への通報

1号特定技能外国人、その監督者と定期的な面談と、法令違反等の問題発生を認知した場合に関係機関への通報することが求められています。このとき、1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で行うことが必要です。

 

⑤そのほか

1号特定技能外国人の個別に関する事項、産業分野に関する事項、諸外国との取り決めに関する事項、と3つに分けて説明と注意事項を記載します。

 

ⅰ)1号特定技能外国人の個別に関する事項

第1号の許可案件で最も苦労した点です。

今回、留学生からの変更許可申請だったのですが、その場合、在留期間内のアルバイトでの就労状況、収入、納税状況、健康保険、国民年金、学業などの素行を全て書類として提出することとなります。

そもそも、外国人自身が手続きを知らずに履行していない、もしくは手続きに不備があったなど、これの資料を揃えるに時間を要することとなりました。

 

ⅱ)産業分野に関する事項

特定産業分野を所管する大臣が、産業分野の特有の事情に鑑みて告示で定める基準(上乗せ基準)を設けております。例えば、介護分野の場合、特定技能外国人に通常の日本語能力水準に加え、「介護日本語評価試験」の合格が求められています。

 

ⅲ)諸外国との取り決めに関する事項

冒頭でも述べた通り、政府は、外国人材の送出しが想定される国(ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル、マレーシア、スリランカ、バングラディッシュ)との間で,悪質な仲介事業者の排除等を目的とする協力覚書(Memorandum of Cooperation, MOC)の作成に向けた協議を進めています。

このMOCの締結により、従来の日本で行われる在留資格申請に加え、カンボジアの場合、現地の送出機関を通じて、カンボジア労働職業訓練省(MoLVT)が発行する証明書が、インドネシアの場合、インドネシア政府の海外労働者管理サービスシステム(SISKOTKLN)への登録が、それぞれ必要になります。

 

さいごに

今回の許可にあたり、弊社も不慣れな点も多く、関係機関に様々問い合わせしたり、入管庁へ何度も通いました。ただ、いずれの職員の方も根気よく対応していただいた点が印象的です。

なお、政府は、当初、初年度に約4万人の特定技能外国人の受け入れを想定していましたが、先日の報道だと、2019年9月27日時点で、申請に対する許可は、376件の許可に留まっている様子です。

現在、制度が認知されつつあるなか、申請件数も着実に増えているそうで、今後、特定技能外国人が活躍する場面を多く見られるようになるでしょう。

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投稿者について
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竹澤駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。