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外国人のスキーインストラクターが増える?

公開日:2020.07.27

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政府は、訪日外国人旅行者数2030年に6,000万人を掲げ、令和元年6月に次の1年の行動計画「観光ビジョン実現プログラム2019」を決定しました。

具体的には、「多言語対応、Wi-Fi環境等のスピーディな整備」や「医療ツーリズムの推進」、「公的施設の公開時間延長」、「空港の発着回数増、那覇空港第2滑走路新設、海外からの地方空港への直行便の就航促進」など、多方面に広がる施策となっています。

その中で、スノーリゾートの活用のための施策として、外国語対応可能なスキーインストラクターの確保に向けた外国人材の活用が検討されました。

すでに、スキーインストラクター向けのビザはあるものの、緩和に向けた法改正が議論されています。

今回は、既存のビザと新たなビザの双方を紹介いたします。

 

既存のビザ(技能ビザ)

現行制度上、スキーインストラクターとして就労する場合、在留資格「技能」(技能ビザ)を取ることとなります。

 

技能ビザは、特殊な分野に属する熟練した技能に従事する場合に取得できるビザです。

特殊な分野に属する熟練した技能とは、①料理の調理、外国特有の食品製造、②外国特有の建築・土木、③外国特有の製品製造・修理、④宝石、貴金属・毛皮の加工、⑤動物の調教、⑥石油探査の海底掘削、地熱開発の掘削、海底鉱物探査の海底地質調査、⑦航空機の操縦、⑧スポーツ指導者、⑨ソムリエ、が当てはまります。

このうち、スキーインストラクターは、「第8号(スポーツ指導者)」に該当します。

 

スポーツ指導に従事する場合、そのスポーツに関する指導経験や能力(実績)を有していることが求められます。

具体的には、下記のいずれかの指導経験や能力が必要です。

1、スキー等の指導者としての勤務経験が3年以上あること。
(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間および報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む。)

2、スポーツ選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者

 

このうち、1を満たす指導経験の場合ですが、実際に指導していた期間を計算することから、インストラクター指導に従事したとしても、1年間のうちシーズン中の3~4か月程度しか認められず、指導経験3年を満たす方はそう多くいません。

そのため、2017年に、ISIA(International Ski Instructors Association:国際スキー教師連盟)が発行するISIAカードの交付を受けている者については3年の指導経験に代わるものとする、と要件が緩和されました。

 

ISIA(International Ski Instructors Association:国際スキー教師連盟)とは、スキーインストラクターの国際資格を管理し、日本も「公益社団法人日本職業スキー教師協会(SIA)」が加盟しています。

SIAが実施する国内資格は、ステージⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの4段階に分かれており、このうち、ISIAカードの交付は最上位に位置します。

 

新たなビザ(特定活動ビザ)

実は、現在国内で働かれているスキーインストラクターの半数は、技能ビザではなく、ワーキングホリデービザで来日している方だと言われています。

ワーキングホリデーの場合、職務内容に制限が無いからです。とはいえ、残念ながら1年程度しか滞在できず、長期雇用と馴染みません。

 

新たな法改正では、技能ビザの要件緩和ではなく、特定活動としての新設が検討されており、その場合には要件を満たす限り更新も可能となります。

なお、現在の改正案は以下の通りです。

一 次のいずれかに該当すること。

 イ 公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が認定する次に掲げるいずれかの資格を有していること。
(1)アルペンスキー・ステージⅠ
(2)アルペンスキー・ステージⅡ
(3)アルペンスキー・ステージⅢ
(4)アルペンスキー・ステージⅣ

 ロ 公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA )がイに掲げるものと同等以上と認めるスキーの 指導に関する資格を有していること。

二 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

三 十八歳以上であること

 

技能ビザでは、最上位のISIAカードの交付まででしたが、特定活動の場合、SIAが実施する国内資格のステージⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの全てが認められる形になります。

従来に比べても、ハードルが下がり、母数が広がることからも該当する方も増えるのではないでしょうか。

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投稿者について
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竹澤駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。