2018年12月8日、国会で改正入管法が成立しました。2019年4月1日から施行される予定です。
今回の法改正の目玉は、新たな在留資格の創設です。具体的には「特定技能1号」「特定技能2号」という在留資格が創設されました。
従来の在留資格の就労上の問題点
従来、就労を前提とした在留資格は、経営、研究、芸能、教授など、高度人材を前提としていました。すなわち単純的な労働を目的とした外国人労働者を我が国は受け入れていなかったわけです。
この点、国際貢献を目的とした「技能実習」や、日本で学ぶことを目的とした「留学」という在留資格が従来からありましたが、実態としては、技能実習が単純労働に置き換えられてしまったり、留学生が資格外活動として許された時間数(原則として週28時間以内)を超えてアルバイトをしてしまったり、という問題が発生していました。
これらは法違反なので取り締まらなければならないことが大前提なのですが、現実に目を向けると、技能実習生や留学生が日本の人手不足の産業の現場を支えているという実態に目を背けてはなりません。
日常生活を送っていても、飲食店や深夜のコンビニ、工事現場などでは、よく外国人労働者の方を見かけるようになりましたので、外国人労働者の協力無しで、私たちの日常生活のインフラが維持できないことは、多くの日本人が本音としては実感していたと思います。
「特定技能」という在留資格の新設
そのような背景もあり、今回の改正入管法で新たに創設された「特定技能1号」「特定技能2号」という在留資格ですが、これらの資格は、単純的労働も含めた、人手不足の分野において外国人労働者の就労を正面から認める在留資格ということになります。
1号と2号の違いについては、1号の在留期間は最長5年で、家族の帯同はできません。2号では、単純的労働とはいえ1号よりも高いスキルが求められますが、家族の帯同が認められ、将来的には永住権の獲得も可能です。
現時点では、「特定技能1号」「特定技能2号」の在留資格を得るための具体的な要件や、どのような業種でこの資格が適用されるかは明らかになっていません。詳細については、省令などで対応される見通しです。
ただ、これまでの議論の経緯を踏まえると、外食業、介護業、宿泊業など、明らかに人手不足の著しい産業から順に、特定技能の在留資格を認定し、ビザを発行する準備を整えていくようです。
上記の他にも、建設業、ビルクリーニング業、農業、航空業、自動車整備業、(一部の)製造業などでも、特定技能の在留資格が適用される見通しです。
まとめ
現時点では私たちが得られる情報は限られていますが、2019年4月以降は外国人労働者の受入れが加速してくると思われますので、企業を経営している方や、人事労務に携わっている方は、情報の収集しながら、自社で外国人労働者を受け入れるのかの検討や、受け入れる場合の段取りなど、今のうちから徐々に対応を進めていくことが望ましいでしょう。