技能実習制度についての考察|ビザサプリジャーナル

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技能実習制度についての考察

公開日:2018.07.18

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2016年11月28日、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)が公布され、2017年11月1日に施行されました。

技能実習制度の目的・趣旨は、日本で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。 

技能実習生の受入れ方法には、企業単独型と団体監理型があります。 

企業単独型とは、海外にある合弁企業など、受入機関との事業上の関係を有する企業の社員を受け入れて行う方法です。(届出制)

団体監理型とは、商工会などの営利を目的としない団体の責任および監理のもとで技能実習生を受け入れて行う方法です。(許可制)

2017年11月1日から運用開始された新たな技能実習制度では、従来の制度では無かった外国人技能実習機構の創設や、実習生1名ごとに毎年計画書の作成義務が課せられるなど、管理監督体制が変わりました。

技能実習の区分は、企業単独型と団体監理型の受入れ方式ごとに、入国後1年目の技能等を修得する活動(第1号 技能実習)、2・3年目の技能等に習熟するための活動(第2号技能実習)、4年目・5年目の技能等に熟達する活動(第3号技能実習)の3つに分けられます。

技能実習1号・・・「講習による知識習得活動」および「雇用契約に基づく技能等修得活動」

技能実習2号・・・技能実習1号の活動に従事し、技能等を修得した者が当該技能等に習熟するため、雇用契約に基づく修得した技能等を要する業務に従事する活動

技能実習3号・・・所定の技能評価試験の実技試験に合格した技能実習生について、技能実習の最長期間が、現行の3年間から5年間になります。

第2号・第3号については移行対象職種・作業に係るものであることという制約があります。対象職種は77職種、139作業です。主に農業・漁業・建設・食品製造・繊維衣服・機械金属です。新たな技能実習制度では、介護も職種に追加されました。

技能実習生には、日本人の労働者と同じく、日本国内の労働基準法等が適用されます。

しかし、外国人技能実習生の弱い立場につけこんで、労働基準法違反の悪質な働かせ方があとをたちません。顕著なのは違法な長時間労働、賃金不払いです。2016年3月22日、岐阜県の縫製工場では、労働者に違法な長時間労働をさせていた使用者が逮捕されるという事態が起こりました。

また、当初の実習内容と異なる業務に従事させる企業もあります。外国人技能実習生が実習計画にはなかった東京電力福島第1原発事故後の除染作業に従事させられていた問題で、法務省は2018年7月13日、岩手県内の建設会社に対して入管法に基づく5年間の技能実習生受け入れ停止の措置を取ったと発表しました。

技能実習法には、 基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。それにもかかわらず、当初の実習内容とはまったく異なる作業内容を、時給換算にすると300円や450円のきわめて低賃金で長時間従事させているのは、労働力の調整弁にしか見えません。また、技能実習生の側から、「お金を早く貯めたいから、残業させて欲しい」等の要望があったとしても、それは違法労働が免責される理由にはならないので、いかなる状況であろうとも、企業側は労働時間管理には注意しましょう。技能実習生側の金銭的な事情も考慮したいのであれば、成果報酬制も取り入れてみたら良いかもしれません。高いパフォーマンスに対してインセンティブを用いる。特に、業務の効率化を図る仕組みや方法を考案してくれたこと。日本は労働生産性が他の先進国に比べて低いとよく言われます。労働者の賃金を低く抑えることで利益を捻出しようとする意識が、いつまでも労働生産性が向上しない一因なのかもしれません。

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