外国人従業員への言語研修 ~ニホンゴ、ムズカシイデス~|ビザサプリジャーナル

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外国人従業員への言語研修 ~ニホンゴ、ムズカシイデス~

公開日:2018.07.24

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外国人とともに仕事をするうえで重要なことは、相手の文化への理解と、円滑なコミュニケーションがとれるかどうかです。この二つが、相手との信頼を築き、成果を出すためにとても大切です。

政府は、人手不足が深刻な建設や農業、介護など5業種を対象に2019年4月に新たな在留資格を設ける、と外国人労働者の受け入れ拡大を表明しました。2025年までに50万人超の外国人労働者の受け入れを目指し、新就労資格の対象を金属プレスや鋳造などの一部の製造業にも広げる方針です。今後ますます増加する外国人労働者ですが、雇用するにあたって最大の問題が、「難しすぎる日本語」。そう、言葉の壁です。

 

日本語は、世界のなかでも難関言語?!

世界の中でも難しいとされる言語は、ロシア語、アラビア語、日本語、中国語と言われています。難易度は個々の母国語にも左右されますが、ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベットまで入り混じる日本語は、やはり他の言語に比べ外国人が修得するには難しい言語と言えるでしょう。

日本語の能力を測るテストに、日本語能力試験BJTビジネス日本語能力テストがあります。

日本語能力試験(JLPT)は、財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催する日本語を母語としない人を対象に日本語能力を認定する検定試験です。日本語能力試験にはN1・N2・N3・N4・N5の5つのレベルがあります。最も易しいレベルがN5で、最も難易度が高いレベルがN1です。日本語能力試験では、①日本語の文字や語彙、文法についてどのぐらい知っているか、ということだけでなく、②その知識を利用してコミュニケーション上の課題を遂行できるか、ということも大切だと考えています。私たちが生活の中で行っている様々な「課題」のうち、言語を必要とするものを遂行するためには、言語知識だけでなく、それを実際に利用する力も必要だからです。そこで、この試験では、①を測るための「言語知識 」、②を測るための「読解」、「聴解」という3つの要素により、総合的に日本語のコミュニケーション能力を測っています。

 

N1

幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。

さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現、意図を理解することができる。

幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる

N2

幅広い話題について書かれた新聞や雑誌の記事 、解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる。

一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現、意図を理解することができる。

日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり、要旨を把握したりすることができる。

 

N3

日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を、読んで理解することができる。

新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができる。

日常的な場面で目にする範囲の難易度がやや高い文章は、言い換かえ表現が与えられれば、要旨を理解することができる。

日常的な場面、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。

 

N4

基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。

日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。

 

N5

ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を読んで理解することができる。

教室や、身の回りなど、日常生活の中でもよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる。

 

日本語能力試験「N1」の認定は、医師等の日本の国家試験を受験するための条件や、準看護師試験を受験する条件のひとつにもなっています。またそれ以外にも、学校の卒業資格認定での優遇などもあるため最上位の「N1」認定のメリットは非常に大きいと言えます。在留資格「高度専門職」でも、日本語能力に応じてポイントが付与されるなど、言語学習度は重要視しています。

BJTビジネス日本語能力テストは、受験者が受験時にどの程度の日本語によるビジネス・コミュニケーション能力を持っているかを測る能力テストです。結果はIRT(項目応答理論)に基づいた統計処理により0~800点で採点され、J5~J1+の6段階のレベルで評価されます。受験者の能力の絶対値を測ることができ、能力の変化を客観的に把握できるのが特徴です。

 

修得までの長い道のり

外国人の方が日本語を学習するには、簡単な日常会話ができるレベルであるN4でだいたい300時間です。一日2時間勉強するのであれば、150日、つまり約5か月かかります。最上位のN1に至っては、学習時間の目安は900時間です。一日2時間勉強するのであれば、450日。約1年3か月かかる計算になります。長い道のりです。

これだけの学習時間がかかることを考えると、技能実習生など、日本に来日してから語学学習を始める場合の人たちは、語学が身につくまでどうコミュニケーションをとれば良いのでしょうか。日本語が身につくまで、翻訳ソフトを用いて相手の母国語でも意思疎通ができる工夫をしてみたり、イラスト、ジェスチャーでのコミュニケーションも試みてみたら良いかもしれません。

 

企業の言語対応の例としては、

①社内資料や会議の外国語化(英語等)を行い、外国人従業員の日本語習熟度不足を補う

②日本語学校通学への助成制度

③ビジネス日本語能力テスト高得点取得に対する奨励金の支給など

が効果的な方法として考えられます。

 

コミュニケーションは信頼関係を築く柱

言葉が通じることで、業務上の指示が伝わりやすくなり、仕事の効率が上がります。 そして、企業内のコミュニケーションが円滑になることで、信頼関係が生まれ、成果を上げることにつながるでしょう。

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