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外国人医療スタッフの需要と問題点

公開日:2018.07.17

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いまの日本は高齢化社会ですが、2025年には超高齢化社会に突入していきます。出生率の低下により日本の人口は減少しますが、2025年には、総人口に占める65歳以上の割合は30%を超えます。これは、約3人に1人が65歳以上の高齢者になるということです。高齢化社会とは、総人口に対し65歳以上の人口比率が14%以上の社会を指します。1994年には老年人口の比率は14%を超えました。2025年で30%を超え、2050年には39.6%になると予測されています。

そして日本は2035年 に人類史上前例のない超高齢化社会を迎え、高齢多死社会となるなかで最大の課題は医療と介護です。患者数が増えるにつれ、医療従事者の需要は高まります。しかし、日本は医師不足と言われます。OECD(経済協力開発機構)の人口1000人当たりの医師数国際比較によると、日本は2.1でOECD加盟国中最下位のトルコとほぼ同等であり、OECD平均の3.1人を大幅に下回ります。(OECD Health Data 2009, June 2009より)

日本医療労働組合連合会と日本自治体労働組合総連合会が共同で行い2007年4月にまとめた医師の労働実態調査によると、全国33都道府県、約180施設の医師からの回答では、労働時間が法定の週40時間以内の医師は13.9%、週57時間以上働いている医師は過半数を超え、週73時間以上という医師が15.0%に及びます。日本の労働基準法では法定労働時間は週40時間であり、残業が週20時間=月80時間を超えると過労死認定基準に達すると みなされています。また、看護師の場合は2交替制・3交替制がとられ、交替制のもと労働時間は制限されています。それにもかかわらず過剰労働は大きな問題となっており、長時間労働・看護師定員不足・時間外勤務手当の不払いなどにより看護師の離職率は10%にのぼ るそうです。

在留資格に「医療」がありますが、これは医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・診療放射線技師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・臨床工学技士・義肢装具士が行う医療に関する業務に従事する活動に与えられる在留資格です。在留期限は5年、3年、1年又は3月です。注意点としては、海外の医療資格のみを有していても認められず、日本の医療資格が必要です。

政府は海外から医療従事者を受け入れようとし、上記の在留資格「医療」以外に、2003年に開始されたフィリピンとの間で行われた経済連携協定(EPA)交渉において、フィリピン人看護師および介護福祉士受け入れが盛り込まれました。同協定は2006年に両国首脳が署名し、2008年12月に発効しました。その後、インドネシアベトナムとも同様の内容を含むEPAが締結されました。

経済連携協定(Economic Partnership Agreement=EPA)とは、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃して貿易の自由化を図るとともに、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、さまざまな分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的として、特定の国や地域の間で結ばれる協定のことです。就労するにあたっての在留資格は「特定活動」となります。

外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れを実施し、累計受入れ人数は3ヶ国併せて4,700人を超えました(平成29年9月1日時点)。しかし、試験合格率は平成28年度を見ると、看護師は14.5%です。合格率が低い最も大きな要因は日本語能力の問題と言われています。候補者は入国前後に日本語研修を受講していますが、それだけで看護や介護の現場に必要な会話力や国家試験に必要な読み書き能力を身につけるのは困難です。候補者の中には日本語の難しさに国家試験の受験をあきらめてしまう者もいます。

なかなかうまくいかない医療従事者の育成ですが、病院業務には、医師でなければ行えない業務のほかに医師以外の者、メディカルクラークなどが医師に代わって行うことができる業務があり、医師の負担を減らし、効率的に運営するため、メディカルクラークを活用した新たな取り組みが行われています。しかし、現状では医師が多くの業務を行わざるを得ない状況にあり、医師の労働時間を長くさせる要因となっています。来るべき超高齢化社会に向けて、医療従事者の受け入れ、および育成と並行して全体的な医療構造の改革が必要な時期に来ているのかもしれません。

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