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外国人雇用時に求められる日本語能力とコミュニケーション

公開日:2020.05.19

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2019年6月に、日本語教育を推進することを目的とした、「日本語教育の推進に関する法律」(通称、「日本語教育推進法」)が公布、施行されました。

近年の加速度的に増加する在留外国人を念頭に、在留資格を有する全ての外国人を社会の一員として受入れ、外国人との共生社会の実現を目指した国の施策の一つです。

2019年末時点で約 293 万人(総人口の約 2.33%)の在留外国人のうち、日本で就労する外国人は、166 万人(2019年 10 月末時点)と過去最高を記録しています。

すでに当たり前となりつつ外国人雇用ですが、一方で雇用する側としては、外国人とのコミュニケーションに大きな課題を抱えている、という話もよく聞きます。

今回は、企業が抱える外国人とのコミュニケーションの課題を、日本語能力と採用・雇用期間中における注意点に着目して解説します。

 

日本語能力の水準

日本語能力を図る上で代表的な試験は、「日本語能力認定試験(JLPT)」、「BJTビジネス日本語能力テスト」が挙げられ、いずれの試験も在留資格の申請時に、外国人の日本語能力の目安としても活用されています。

 

日本語能力認定試験(JLPT)

日本語能力認定試験は、一般的な日本語を図る試験で、国内だけでなく、海外75の国と地域で開催されます。

N1~N5までの5段階の試験に分かれ、N1が最も難しく、N5が優しいレベルです。日本語能力認定試験の合否が入管からの優遇措置、学校の単位認定、国家資格試験の受験要件などに用いられています。

「文字・語彙」、「文法」、「読解」、「聴解」の4つの科目から構成され、科目ごとの基準点をクリアし、かつ総合得点が合格点を上回る必要があります。

なお、コンビニなどで見かける外国人留学生の日本語能力は、N3以上であることが多いです。

 

BJTビジネス日本語能力テスト

日本語能力認定試験(JLPT)が一般的な日本語能力を測定するものであるとすれば、BJTビジネス日本語能力テストは、ビジネスシーンを意識した日本語能力を図る試験です。

日本語レベルに応じた試験を受験し、合否で日本語能力を図るJLPTとは異なり、TOEICのような一つの試験を受験し、その点数(0~800点)の高低で日本語能力を図ります。

ビジネスシーンを想定した試験であることからリスニングが試験に占める割合が大きく、こちらも、在留資格によっては入管の許可要件の指標に活用されています。

なお、入管では、日本語能力認定試験(JLPT)のN2合格がBJTビジネス日本語能力テストの400点の取得、JLPTのN1合格がBJTの480点の取得と、それぞれ同等と考えています。

 

以上の2つの試験を比べましたが、実践的な日本語能力やビジネスシーンのことを考えると、雇用する側としてはBJTビジネス日本語能力テストで日本語能力を確認することをお薦めします。

 

雇用決定時の注意点

まず初めに、求める人材の日本語能力を設定しましょう。ポジションや配属先、実際の就業場所によって、求める日本語能力は異なるはずです。

例えば、エンジニア、研究職などの社内コミュニケーションが中心な職種の方の場合、完璧な日本語能力は必要ないと思いますし、反対に営業や企画職などのクライアントとの打ち合わせなどの社外コミュニケーションが多い職種であれば、必然的にビジネスレベルの日本語能力が求められるからです。

このとき、配属先の担当者が採用面接に参加されるのであればよいですが、人事部や経営層の決定のみの場合、現場が求める日本語能力を今一度確認したほうが良いでしょう。

実際の配属後に、求めていた日本語能力のギャップから溝が生まれ、コミュニケーションを起因とした早期離職に繋がる恐れがあります。

 

また、雇用決定時における押さえておきたいポイントとしては、日本人と異なり、外国人材の場合、総合職というよりも何かしらの専門分野に秀でた人材、とした雇用の仕方が馴染むということです。

彼らの場合は、自己の語学力や経歴などの強力なバックグラウンドを持ち、また、彼ら自身がその強みを理解し、外国人ならではの能力を発揮したいと考えているケースが多いようです。

そのため、企業としては、専門性を活かして働くことを尊重し、期待する役割(権限、責任)、成果、処遇等を明確にし、お互いの合意を確認することが重要になってきます。

 

一方で、従来通り、様々な職を経験する総合職採用もあるかと思いますが、その場合は、自社の人員配置方針、配属部署の業務内容や重要性、将来のキャリアパスを示す必要があります。

外国人材の多くは、自己のライフプランが明確で、自身がどうなりたいかなどのキャリアプランをしっかりと考えている傾向にあります。なぜ総合職という採用区分なのか、なぜその配置なのか、将来にどう役立つのかを丁寧に、繰り返し説明し、納得してもらうことが重要です。

 

雇用期間中の注意点

上記でも述べましたが、「専門性を活かして働くことを尊重し、期待する役割(権限、責任)、成果、処遇等を明確にし、お互いの合意を確認すること」、「自社の人員配置方針、配属部署の業務内容や重要性、将来のキャリアプランを示すこと」を、採用決定時はもちろん、雇用期間中にも定期的に説明することが求められます。

このとき、彼ら自身の考え方を尊重することも非常に重要で、双方向のコミュニケーションが図られるような機会とし、事業部や現場だけではなく、人事部も一緒になってサポートすると良いでしょう。

キャリアパス、人事制度、雇用意義などの認識のずれが生じやすく、事業部や現場と人事部、外国人の間で定期的なすり合わせを行うことで、外国人のモチベーションのコントロールに有効な手段です。

 

また、外国人雇用における見逃しな注意点として、外国人のご家族の生活が挙げられます。

外国人従業員本人は、日本語が堪能で日本の生活文化に精通していたとしても、そのご家族は日本での生活が不慣れなうえ、日本語を扱えない場合も多く、そのときに頼る先は一番身近な外国人従業員本人であり、ストレスに晒されやすい環境にあります。

プライベートを起因としたストレスが蓄積されることで、業務へ悪影響を与えるなど精神衛生的に良いものとは言えません。

もちろん、企業が全てをサポートする必要はないですが、外国人従業員やそのご家族へのフォローアップや、こちらから気に掛ける、働きかけるコミュニケーションが望まれます。

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投稿者について
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竹澤駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。