令和2年度より、外国人を雇用する企業のための助成金「人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース」が新設されます。
外国人特有の事情に配慮し「雇用管理制度」の改善を行った事業主に対し、そのために要した経費(例えば評価制度や教育制度等を、専門家に依頼した改善)の一部を助成するというものです。
今回は、この「外国人労働者就労環境整備助成コース」の詳細をいち早く解説いたします。
特に、実務上で問題となる「制度環境整備計画」の立て方については、次回、重点的に説明致します。
★外国人労働者就労環境整備助成コースの概要
何をすればもらえるか?
外国人労働者に対して下記の就労環境整備措置という取組みを新たに整備し、外国人労働者全員に対して実施すること
具体的には、まず「雇用労務責任者の選任」と「就業規則等の社内規程の多言語化」の二つが必須メニューになります。
1 雇用労務責任者の選任とは、雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、全ての外国人労 働者と3か月間ごとに1回以上の面談(テレビ電話による 面談を含む)を行う。
2 就業規則等の社内規程の多言語化については、「就業規則等の社内規程」の全てを多言語化し、計画期 間中に雇用する全ての外国人労働者に周知する。
次に、選択メニューです。
3 苦情・相談体制の整備
4 一時帰国のための休暇制度
5 社内マニュアル・標識類等の多言語化
この3つからいずれかを選択して実施する必要があります。
それぞれ具体的には
3 苦情・相談体制の整備
全ての外国人労働者の母国語または当該外国人労働者 が使用するその他の言語により、苦情または相談に応じるた めの体制を新たに定め、苦情・相談に応じる。
4 一時帰国のための休暇制度
全ての外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要 な有給休暇を取得できる制度を新たに定め、1年間に1 回以上の連続した5日以上の有給休暇が取得できること。
5 社内マニュアル・標識類等の多言語化
「社内マニュアルや標識類等」を多言語化し、計画期間中 に雇用する全ての外国人労働者に周知する。
どんな助成金か?
以上の就労環境整備措置を実施した場合に、
事業主から外部の機関または専門家等(以下「外部機関等」という)に対して支払いが完了した以下の経費を対象とします。
(1)通訳費(外部機関等に委託をするものに限る)
(2)翻訳機器導入費(事業主が購入した雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器の導入に限り、10万円を上限とする)
(3)翻訳料(外部機関等に委託をするものに限り、社内マニュアル・標識類等を多言語で整備するのに要する経費を含む)
(4)弁護士、社会保険労務士等への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限る)
(5)社内標識類の設置・改修費(外部機関等に委託をする多言語の標識類に限る)
いくらもらえるのか?
支給対象経費の合計額に助成率を乗じた下表の額が支給されます。
生産性要件(※)を満たしていない場合
支給対象経費の1/2(上限額57万円)
生産性要件(※)を満たす場合
支給対象経費の2/3(上限額72万円)
★ 申請の流れ
離職率に注意
就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であることも要件になっておりますので、注意が必要になります。
次回は、実務上で問題となる「制度環境整備計画」の立て方について重点的に説明致します。