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2019年4月の運用目前!新制度「特定技能」とは?

公開日:2019.03.14

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2019年4月の施行を目前に控えた改正出入国管理法。その具体的な内容については明らかになっていない部分が非常に多く、“白紙委任”と揶揄されてきました。

しかし、改正入管法施行まで1か月を切った今、法務省主催の説明会が各地方自治体で行われ始めてきています。それによって、これまで不透明だった改正入管法の内容が徐々に明らかになってきています。

今回は、そんな改正入管法について、現時点で法務省入国管理局の示している情報に基づき、要点を整理してお伝えしていきます。

 

目次

1.制度概要
 ⑴在留資格について
 ⑵技能実習との違い
 ⑶特定技能制度新設の背景
 ⑷受け入れ機関と登録支援機関について
2.新制度に基づく外国人材受け入れの流れ
3.在留資格「特定技能」の新設に係る特例措置
4.さいごに
 「登録支援機関」の登録申請手続きについて

 

 

1.制度概要

⑴在留資格について

改正入管法の下では、新たな在留資格「特定技能」が設けられています。
なお、特定技能の中でも下記の2種に分かれています。

特定技能1号

→特定産業分野(14分野)に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定技能2号

→特定産業分野(14分野中2分野)に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

*特定産業分野(全14分野):介護,ビルクリーニング,素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関連産業,建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,宿泊,農業,漁業,飲食料品製造業,外食業

 

 

特定技能1号 特定技能2号
在留期間 1年,6か月又は4か月ごとの更新,通算で上限5年まで
上限あり
3年,1年又は6か月ごとの更新
上限なし
家族の帯同 基本的に認めない
(ただし人道的配慮に基づいて判断※1)
要件を満たせば可能
(配偶者,子)
受け入れ機関
又は登録支援機関による支援
支援の対象 支援の対象外
単純労働
対象業種 介護,ビルクリーニング,
素形材産業,産業機械製造業,
電気・電子情報関連産業,
建設,造船・舶用工業,
自動車整備,航空,宿泊,
農業,漁業,
飲食料品製造業,外食業
建設,造船・舶用工業

※1 特定技能1号は原則認められないが、別の在留資格から特定技能1号に在留資格変更した場合、すでに家族帯同していることもあり得るため、そのような場合は人道的配慮に基づいて個別で対応する可能性もあるとのこと。(入国管理局職員の説明より)
 

⑵技能実習との違い

新制度「特定技能」と「技能実習」の違いはどういったところにあるのでしょうか?
両制度について、法務省は以下のような図を用いて説明しています。


 

これまで、就労系の在留資格は、専門的・技術的分野においては「現行の在留資格」、非専門的・非技術的分野においては「技能実習」の2種類でした。

新制度である「特定技能」は、これまで高い能力を持つ外国人に限られていた専門的・技術的分野のハードルを下げたものと言えるでしょう。

つまり、いわゆる高度人材と呼ばれる外国人でなくとも、専門的・技術的分野で活躍できるようにすることを目指して創設されたものなのです。

 

特定技能制度新設の背景

1993年に創設された技能実習制度の目的・趣旨は、“技能実習制度の目的・趣旨は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進”でした。そのため、技能実習は「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない(技能実習法第3条第2項)」と定められていたのです。

しかし実際は、企業が「申請した業務内容とは異なった業務をさせる」「長時間労働させる」「低賃金で働かせる」といった、技能実習生を労働力の需給の調整の手段にするようなことが度々起こりました。またそのような実情から、技能実習生の「失踪」が問題となるほどでした。

このような問題の根本的な原因は、国内の深刻な人手不足でした。そこで、国内の実情と法制度の趣旨の食い違いを是正するため、より実情に合った「特定技能」制度がこの度導入されることとなったのです。

 

⑷受け入れ機関と登録支援機関について

 新制度の下では、「受け入れ機関」と「登録支援機関」という機関が設置されます。

受け入れ機関とは

外国人を雇用する企業がこれに当たります。

登録支援機関とは

外国人や受け入れ機関に対する支援を実施する機関です。
なお、技能実習制度の下での「監理団体」と近いイメージとなります。

 

受け入れ機関・登録支援機関ともに一定の基準が設けられており、それをクリアしなければなりません。
それと同時に義務も設けられており、怠った場合は外国人を受け入れられなくなったり、登録を取り消されたりといった処分を受けることとなります。

(詳細な基準・義務については法務省資料をご参照ください。資料はこちらから)

 

また、従来は外国人の母国に「送り出し機関」が設置されていましたが、新制度においてはそれにあたる機関は定められていません。そのため、今後は送り出し機関が人材派遣業として活動していくことが予想されます。

技能実習制度のもとでは、送り出し機関に登録しなければ技能実習生として日本に来ることが出来ませんでしたが、特定技能制度下では、条件さえ満たしていれば労働者として日本に来ることができるようになりました。

 

 

2.新制度に基づく外国人材受け入れの流れ

下記が、法務省の示す新制度の流れとなります。

基本的な流れとしては、まず外国人が2種類の試験(技能試験・日本語試験)に合格したのち、受け入れ機関と雇用契約の締結、入国管理局への申請(※2)となります。

以下、注目すべき点を挙げていきます。

※2 入国管理局への在留資格認定証明書交付申請は、登録支援機関の職員による取次も可能となります。

 

試験について

注目すべき点はまず、外国人の技能試験・日本語試験両方における合格が必須要件となるところです。(※3)

・技能試験

特定産業分野の業務区分に対応する試験。
2019年4月から、介護・外食・宿泊産業など人手不足が深刻な分野でスタートし、その他の分野には順次拡大していく予定です。

・日本語試験

国際交流基金日本語基礎テスト or 日本語能力試験(N4以上)に合格することが要件となります。なお、この2試験以外の日本語試験への合格は無効です。
(介護分野については、介護業務に特化した新たな日本語試験も要件に加えられます。)
※3 すでに技能実習生として日本で就労し、技能実習2(技能実習開始後3年間で修了)を優良に修了した外国人に関しては、両試験は免除されます。

 

試験の場所に関しては、基本的には日本国内での実施となりますが、現時点でニーズの大きい9か国(ベトナム・フィリピン・カンボジア・インドネシア・タイ・ミャンマー・ネパール・中国・モンゴル)と二国間協定を結び、現地において日本語試験を実施するとされています。また技能試験についても、その9か国から順次開始する予定です。

また、9か国以外での実施については、「将来的に実施の可能性はある」との説明が入国管理局職員からなされています。

*なお、協定を結ぶ9か国以外の外国人が9か国に行って試験を受けることは可能ですが、日本に短期滞在で特定技能試験だけを受けに来ることには制限を設ける予定だそうです。
(ただし、過去に中長期滞在していた人は短期滞在で例外的に試験を受けることを許可するとのこと)

さらに従来、国際交流基金主催の日本語試験については年2回、各会場での実施でしたが、2019年4月1日以降、特定技能の設置に伴い年6回程度、ウェブでの受験が可能となる予定です。

 

留学生の特定技能への切り替え

留学生として日本に滞在している外国人は、在学中に特定技能に変更申請することは可能なのでしょうか?

→上図でも示される通り可能です。特定技能の要件は2種類の試験への合格であり、卒業自体が要件ではないためです。

 

「技術・人文知識・国際業務」ビザを持つ在留外国人の特定技能への切り替え

では、「技術・人文知識・国際業務」で在留している外国人が、在職中に特定技能に変更申請することは可能なのでしょうか?

→法務省は、「技術・人文知識・国際業務」で在留している外国人であっても、特定技能に在留資格を変更することができるとコメントしています。ただし、技術試験・日本語試験の合格は必須となります。

 

 

3.在留資格「特定技能」の新設に係る特例措置

特定技能の新設に伴い、当面の間「特定技能1号」に変更予定の一定の外国人に「特定活動」(就労可)を付与する特例措置が取られることとなりました。

その趣旨は、“「技能実習2号」修了者(建設特例・造船特例による「特定活動」で在留中の者も含む。)は、「特定技能1号」の技能試験・日本語試験の合格を免除されるため、登録支援機関の登録手続等の「特定技能1号」への変更準備に必要な期間の在留資格を措置する。”というものです。つまり、技能実習2号を良好に修了できる見込みはあるものの在留期限が迫っている外国人に対し、在留資格変更許可申請のための4か月の期間の猶予を与えることがこの措置の趣旨です。

また、詳しい要件などは以下のようになっています。(法務省資料より)

なお、特定活動を経て特定技能1号に在留資格変更となった場合、特定技能1号には5年間の上限期間がありますが、これには特定活動の4か月の期間もカウントされます。

 

 

さいごに

新制度の概要は以上となります。

現段階では、特定技能用の申請書のサンプルが各入国管理局の窓口で配布されております。

今後のスケジュールとしては、3月中旬ごろに政省令公布、確定版申請書のHPダウンロード開始、運用要綱及び支援ガイドラインのHP掲載がなされ、4月1日制度運用開始予定です。

運用開始を目前に、多くの外国人や国内企業が注目している特定技能制度。

今後も、法務省HPやメディアをこまめにチェックし、情報収集することが必須となりそうです。

 

登録支援機関」の登録申請手続きについて

今回の新制度運用に向けて、登録支援機関となることを考えている企業様や個人の方もいらっしゃるでしょう。

しかし、登録支援機関への登録申請手続きは少々煩雑なため、「どんな書類を準備すれば良いのかよくわからない」という方も多いかと思います。

そんな方は、ぜひ一度弊社までお問い合わせください!

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投稿者について
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綴木 晴彦

1982年生まれ。中央大学法学部卒、中央大学大学院卒。教育系の企業にてB to C部門の執行役員として新サービス開発などを統括。ビジネスマンのキャリア開発、資格取得の支援などを行う。その後、人材系のベンチャー企業である株式会社ネオキャリアに参画し、事業部長として新規事業開発に従事。行政書士法人jinjerを設立。東京都行政書士会新宿支部所属。