パンダはなぜ返還しなければならないの?|ビザサプリジャーナル

  1. ビザサプリジャーナル TOP
  2. パンダはなぜ返還しなければならないの?

パンダはなぜ返還しなければならないの?

公開日:2023.02.28

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

2023年2月に東京都の上野動物園から1頭、次いで和歌山県のアドベンチャーワールドから3頭のパンダが惜しまれつつも中国に返還されました。今回返還されたパンダの中には日本で生まれたパンダも含まれます。日本で生まれたパンダの所有権は日本にないのでしょうか?また、パンダはなぜ返還しなければならないのでしょうか?

 

パンダの売買の禁止

 パンダは商業目的の取引が原則禁止されています。その理由はワシントン条約です。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」で、自然のかけがえのない一部をなす野生動植物の特定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護することを目的としています。1973年にアメリカのワシントンで81カ国が集まって開かれた会議で生まれた条約であり、1980年に日本が、1981年に中国が締約国になりました。現在、世界の183カ国及びEU(欧州連合)が締約国になっています。

 

ワシントン条約とパンダ

 ワシントン条約は、絶滅の恐れのある動植物を保護の必要性の高い順に付属書1~3に分類して取引を規制しています。パンダは1984年にもっとも規制の厳しい付属書1に分類され、商業目的の取引が原則禁止となりました。84年より前に中国から外国にわたったパンダの多くは、中国から外国に贈与される形でしたので、所有権は中国から外国に無償で移っていましたが、84年以降は中国に所有権のあるままレンタルされるという形になりました。たとえ日本で生まれたパンダであっても所有権は中国にあります。そのため、繁殖期を迎えたり高齢になると中国へ返還されるのです。

当初は今とは異なる「短期レンタル方式」で、世界各地のイベントなどに2カ月程度の展示のために貸し出されていましたが、人気のあるパンダがほしい外国の動物園は高額のレンタル料を払うようになり、野生のパンダの捕獲が盛んになる恐れが出てきました。そのため、1997年のワシントン条約締約国会議で「野生のパンダの輸出は原則認められない」ことや「中国に支払われるレンタル料は野生のパンダの保護のために使われる」ことが勧告され、パンダの取引の規制が進むとともに保護にも力が入りました。その結果パンダは絶滅危惧種から1ランク低い危急種になりました。

 

さいごに

 中国では現在も、パンダが生息する区域に広大な保護区が設けられ、パンダの遺伝子を調査し、遺伝子的に相性がいい相手とペアリングさせることで繁殖を促すなどパンダの保護に力を入れています。日中の国交が正常化した1972年に初めて来日したこともあり、日本と中国の友好のシンボルとも言われているパンダの保護や保全・飼育繁殖の技術の研究が更に発展することを願います。

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj