2020年、日本の首都、東京にオリンピック開催が決定されてから早5年。前回の東京オリンピック開催が1964年だったので、じつに56年ぶりの開催となります。
オリンピックというビッグイベント誘致で、建設ラッシュ、それにともなう外国人労働者の需要、観光客への宿泊の対応など、さまざまな変化が日本のなかで起きることが予想されます。
その前に、まぶしいスターであるオリンピック選手たちですが、彼らはなんの在留資格で日本に来るのでしょうか。やはりスポーツ選手なので「興行」?
いえいえ、違うんです。意外にも「短期滞在」なんです。
短期滞在ビザとは
在留資格「短期滞在」・・・本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポ―ツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動。
例:観光客、会議参加者等。
在留期間は、90日、もしくは30日、または15日以内の日を単位とする期間。
賞金制のトーナメントにスポーツ選手が参加する場合は、在留資格「興行」になります。しかし、オリンピックや世界大会などでは、選手に直接報酬が支払われないためか、「興行」には当たらなくなるようで、「短期滞在」になります。
ちなみに在留資格「興行」は、興行 演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の報酬を得る興行に係る活動又はその他の芸能活動。
例:俳優,歌手,ダンサー, プロスポーツ選手等。
在留期間は、3年,1年,6月,3 月または15日。
東京オリンピックの経済効果は30兆円?!
2020年の東京オリンピック開催による経済効果は、なんと30兆円と見込まれているそうです。各種インフラ整備のための建設ラッシュや外国人観光客の消費などによるものだそうです。オリンピック開催中の観光客の予想人数は、1日90万人とも言われています。
オリンピック開催が決まったとたん、観光客対策で民泊が活気づきました。90万人ともなれば、たしかに首都圏での宿泊施設が足りないのも納得です。
1964年の東京オリンピックの経済効果は、当時の金額で約1兆円だったそうです。日本の高度経済成長のなかでの開催でした。
オリンピック関連施設はもとより、インフラ整備、商業施設・宿泊施設の建設などで相当の建設需要が生まれ、労働者が必要となります。しかし、建設業はもとから労働者不足の業界です。新規の労働者の需要に対応するため、政府は人手不足が深刻な建設などの5業種を対象に、2019年4月に新たな在留資格を設け、外国人労働者の受け入れ拡大を表明しました。昨年、新たな在留資格「介護」が創設され、介護業界に移住労働者の扉が開かれました。
ふと気になるのは、そのネーミングです。在留資格は、もちろんわかりやすくするためなのか、そのまんまの名称が多いです。例えば、「外交」「留学」「家族滞在」「医療」「教授」など、在留資格の知識がない方でも、なんとなくイメージできるネーミングになっています。
そうすると、今後新設される在留資格は、「建設」「農業」「漁業」「食品製造」「繊維」「金属」などでしょうか。今後、在留資格がどんどん増えそうな予感がします。それに伴って日本語学校の需要も増加しそうです。
2020年のオリンピックが、移民国家、移民社会への幕開けになるのか。日本は移民鎖国と呼ばれるほど、移民の受け入れに慎重な国でした。少子高齢化社会で移住労働者とAIに頼らざるを得ない今後、オリンピックの選手たちが一生懸命、競技を競い合う姿に私達がモチベーションを刺激されるように、異国の地で懸命に働き、学習する移住労働者の姿を見ることは、現状のなんとなく覇気のない日本社会においては、日本人への良い刺激になるかもしれません。