2019年9月9日(月)10日(火)と2日間に渡り、韓国ソウルで開催された『Bridgers Korea 2019』 行政書士法人jinjerは、ビザ申請や日本での就職の相談ブースを出展しました!2日間の開催レポートに続き、今回は、来場された韓国の学生たちのインタビュー記事をお送りします♪ 韓国での就職状況、日本就職への期待や不安など語ってくれています。
「韓国の学生は今の日韓関係についてどう感じているのだろう?」「日本に来て活躍してもらえるかな?」そんな疑問をお持ちの方、必見の記事です!
目次
1、韓国の就職事情
(ⅰ)現在の韓国の就職状況は、厳しい?
(ⅱ)韓国で人気の業種は?就活のトレンドは?
2、日本企業への就職活動
(ⅰ)韓国人の間で海外就職希望者はどのくらいいる?
(ⅱ)なぜ日本企業を?
(ⅲ)日本企業をどうやって探す?
3、日本での生活について
(ⅰ)日本での生活で不安なことは?
(ⅱ)昨今の日韓情勢を受けて、心境に変化は?
4、ビザ手続きについて
(ⅰ)ビザについてどのくらい知っている?
5、まとめ
1、韓国の就職事情
(ⅰ)現在の韓国の就職状況は、厳しい?
・とにかく、韓国では即戦力が重要視される。理系のエンジニアならまだしも、文系学生の場合は最低3か月ほどのインターン経験が必須。そして大部分の就活生は大企業を志望していて、中小企業はあまり人気が無い。「就職先が少ない」というよりは、「新卒者が求める就職先が少ない」といった方がしっくりくるかもしれない。(Aさん/文系/女性)
・就活事情は非常に厳しいと感じる。まず、就職先自体が恒常的に少ない。それ以外にも、韓国学生と企業の互いの求めるものが合わないという事態も発生している。学生が就職先を探す際は、大学で専攻した知識を活かせる仕事かどうかを見るが、そういった業務は少ない。また、企業の規模も気にしている。(Dさん/文系(経営・国際観光/男性)
・最初の2か月間は韓国で就活していた。しかし韓国の就職状況が難しく、日本就職活動へ切り替えた。日本の企業は、面接の際にも丁寧な対応をしてくれるし、対等に扱ってくれる。それに対して韓国の企業担当者には、上から目線の高圧的な態度をとる方もいる。韓国企業はすでに人が溢れているので、「採用してあげる」といった姿勢がにじみ出ているのではないか。一応、韓国企業から内定を得たものの、そのような企業では働きたくないと考え、辞退した。(Eさん/文系(経営学科)/女性)
・苦しい状況がある。特に自分は経営学専攻で文系なので、理系に比べて機会が少ないと感じる。最近では、エンジニア系の企業の場合、営業も理系の学生から採用する傾向もあるほど。(Fさん/文系(経営学科)/男性)
・韓国国内企業での就職はやはり難しい。韓国人は「大企業で働きたい」という価値観を持っている人が多い。また、小規模な企業は条件が悪いことも多いため、敬遠される。(Hさん/文系(経営学科)/男性)
・内定を得ていたものの、それが企業の事情(経営状況の悪化)で取り消しになってしまった。そのことからも、就活は非常に困難な状況といえる。(Iさん/芸術専攻/女性)
・大企業と中小企業では、福利厚生も賃金も全然違う。そのため、大企業での就職を求めて就活浪人する人も多い。その競争の熾烈さは、ニュースでも取り上げられるほどである。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
(ⅱ)韓国で人気の業種は?就活のトレンドは?
・サムソン・LG電子等の大企業が人気。(Aさん/文系/女性)
・その時の状況による。理系なので、エンジニア系に絞られている。正直文系のことは分からない。(Bさん・Cさん/理系/男性・女性)
・特定の職種が人気というものはない。業務内容というよりは、企業の安定性が重視されている風潮を感じる。例えば、公務員や公共企業体にも注目が集まっている。(Dさん/文系(経営・国際観光/男性)
・大手企業を目指す人が多い。大手企業に入るためには、まずは営業で入るしかない。マーケティングや企画業務等をやりたいと希望しても、基本的にはそういった業務は中途社員が行うことが多く、新卒の段階ではまずそのポジションにつくことは難しい。(Eさん/文系(経営学科)/女性)
・事務職、オフィスワーカーといった、ホワイトカラーが人気。製造・技術系の職種は、賃金は高いが体力的に負担が大きい。そういった職種を希望する学生は少しずつ増えてきてはいるが、今はまだ人気があるとは言えない。(Fさん/文系(経営学科)/男性)
・サムスンは非常に人気で、100万人を超える志望者がいるため、特有の試験がある。まるで大学入試のよう。また、大企業・公務員・政府関連の企業(公企業)は安定しているので人気がある。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
2、日本企業への就職活動について
(ⅰ)韓国人の間で海外就職希望者はどのくらいいる?
・私は日本語学科専攻のため、日本企業に就職する先輩が多い。学科の特殊性もあると思うが、韓国の日本語学科の場合、日本就職希望者が多い印象を受ける。(Aさん/文系/女性)
・京畿道の大学に在学中だが、海外の就職を希望する人は多い。香港、アメリカ、日本等が人気の国。また、日本で就職した友人から生活について(家賃や光熱費等)の情報を聞いたりしている。(Eさん/文系(経営学科)/女性)
・私の専攻が国際経営なので、アメリカやヨーロッパ、日本等に就職する先輩・友人が多い。なお、アメリカへの就職希望者は、ほぼアメリカで生活したことある人だった。(Fさん/文系(経営学科)/男性)
・海外で仕事をしたいという人は多いと感じる。自分自身も、昨年まではイベント会社の記者として、ドイツで仕事していた。留学の期間を含めて、計6年間ドイツにいた。(Hさん/文系(経営学科)/男性)
・海外就職希望者は結構多い。日本以外だと、アメリカで働いている人も一定数いるが、大学が理系なので、周囲には日本で就労する人が多い。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
(ⅱ)なぜ日本企業を?
・自分の学力をもっと伸ばしたいから。自分はJLPT(日本語能力認定)の N1に合格してはいるが、過去に2か月間交換留学をした際、ネイティブの壁は高く、N1だけでは足りないと痛感した。そして数カ月間、韓国内の日系企業でインターン経験があるが、日本語を使用することが多かった。将来的にそういった企業で働くとしても、日本で働いた経験がないと厳しいと感じた。(Aさん/文系/女性)
・日本がもともと好きで、日本の「ものづくり精神」を尊敬するから。条件面で言うと、韓国では就職が難しく、行きたいと思う会社が少ないからという理由もある。(Bさん・Cさん/理系/男性・女性)
・大学在学中から日本企業を目指していた。きっかけは、大学3年生の時の九州産業大と合同のプログラムへの参加。日本の企業で働く人にインタビューし、そこで日本企業に興味を持った。(Dさん/文系(経営・国際観光/男性)
・単純に日本が好きというのが大きいが、日本語に自信があることや、韓国と文化が似ていることも大きな要素。また、アクセス面でも飛行機で2時間程度と行き来しやすく、あまり離れているという感覚がないため良いと思った。日本企業では、語学力をさらに伸ばしたい。日本企業は、韓国企業よりも新卒にチャンスを与えてくれると考えているため、さまざまなことに挑戦してスキルを身に付けたい。(Eさん/文系(経営学科)/女性)
・製造業に関心があったから。やはり、ものづくりといったら日本。日本にインターン等を行った経験はないが、日本で働いてみたい。(Fさん/文系(経営学科)/男性)
・大学生の時に日で働きたいと思った。理由は、距離的にも近く、文化も似ているため。また、親切な国民性や日本語の習得しやすさも理由の一つ。日本企業には総合職として入社し、いろいろなことに挑戦したい。経営学科なので、マーケティング業務等も行ってみたい。(Gさん/文系(経営学科)/男性/日本にてワーキングホリデー中)
・もともとエンターテインメント業界を志望していた。しかし、韓国の芸能人が日本へ行くことはあるが、日本の芸能人が韓国へ行くことはあまりないと感じているので、日本のエンターテインメント企業としては韓国人を雇うメリットがあるのか微妙だと思い、IT業界へ方向転換。そういった一般企業を受けようと考え、今回の説明会に参加した。日本の企業担当者は総じて優しく、ポジティブな話をしてくれると感じた。(Iさん/芸術専攻/女性)
・昔から興味があり、単純に好きなのでよく旅行もしていた。日本の文化に触れたいという思いも強く、独学(本、テレビ番組)で日本語を学んだ。一方、日本就職したものの日本語あまり話せなくて苦労している人も多い様子。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
(ⅲ)日本企業はどうやって探す?
・韓国で開催される合同説明会に参加することが多い。(Aさん/文系/女性)
・現在、ネオキャリア、パーソル等の人材会社を通して10社以上エントリーしている。日本企業を普通に探すだけでは、なかなか欲しい情報が見つからない。キャリアサービスというサービスを使って探すことが多い。(Bさん・Cさん/理系/男性・女性)
・海外人材と日本企業のマッチングを扱う人材会社(ネオキャリア)に登録している。実は1年前、ネオキャリアの採用面接会に参加したが、その際は日本語能力が足りなくて不採用だった。その後インターン経験を通して、日本語能力を向上させるなど、準備を重ねてきた。最近は自分でどんどん説明会に赴き、就職先を探している。(Dさん/文系(経営・国際観光/男性)
・合同説明会のようなイベントに参加して探している。このイベントでもすでに5社にエントリーした。ネットでも探すことがあるが、イベントに参加したほうが情報量も多く、直接話が聞けるのでよいと感じている。(Eさん/文系(経営学科)/男性)
・過去、説明会に3回参加した。合同説明会は今回が初めて。日本企業を探す際は、まず希望に合いそうな企業をピックアップする。そうして選び出した企業をリスト化し、大学の就活サポートセンターに持ち込んで、アドバイスをもらっている。(Fさん/文系(経営学科)/男性)
・現在、10社くらいエントリーしている。(アパレル、バスケが好きなのでバスケ系)基本的に、インターネットで説明会、合同説明会を探して参加する。また、日本にいるときは、マイナビ等を使うこともある。(Gさん/文系(経営学科)/男性/ワーキングホリデーで来日中)
・現在、30社くらいエントリーしている。ついこの間、東京に行ってマイナビの留学生博覧会に参加してきた。しかし、費用的にもインターネットで日本企業を探すことが多い。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
3、日本での生活について
(ⅰ)日本での生活において不安なことは?
・日本は韓国よりも全体的な物価が高く、家賃、通信費などの生活費に不安を感じる。生活に必要な費用を支払ったら、手元に残るお金が少なくなりそう。(Aさん/文系/女性)
・日本は地震や噴火などの天災が多いため、心配している。(Bさん/理系/男性)
・日韓関係がこじれた時に、職場でどのように扱われるのか、どのようにしたらよいのか不安。しかし、韓国人の自分が頑張る姿を見せることで、周りの目が変わると思って頑張りたい!(Cさん/理系/女性)
・日本に知り合いがいないので、どうやって友達や知人を作るのか不安。まだ日本語能力に自信がなく、失礼な言葉遣いにならないか不安。職場に韓国人がいるとすごく心強いと思う。(Eさん/文系(経営学科)/女性)
・部屋探しが一番心配。(Gさん/文系(経営学科)/男性/ワーキングホリデーで来日中)
・ホームシックにならないか心配。韓国人は海外に出る傾向が強いので、韓国人コミュニティが近くにあれば安心。(Hさん/文系(経営学科)/男性)
・高校の第二外国語で日本語を履修したが、日本語能力が不足しているようで不安。(Iさん/芸術専攻/女性)
・日本企業でのインターン経験があるので、他の人に比べると不安は少ないと思う。日本と韓国は文化が似ているので慣れやすいと思う。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
(ⅱ)昨今の日韓情勢を受けて、心境に変化は?
・日系企業に勤めている先輩は、政治問題と経済は関係ないと言っていたし、日本で就職したいという気持ちに変化はない。個人的にも、日本政府・経済・日本の企業それぞれに対する気持ちは全て違う。両親も応援してくれている。(Aさん/文系/女性)
・もともと日本が好きだったので、日本へ行きたい気持ちに変化はない。自分達ももちろん、日韓関係のニュースには注目しているが、韓国国内の一般人ほど気にしていないと思う。両親も心配そうではあるが、やりたい仕事をするのが一番だと言って、応援してくれている。(Bさん・Cさん/理系/男性・女性)
・日本で働きたいという気持ちに変化はないが、日本で差別を受けるのではないかと不安。露骨なものではなく、目に見えない差別があるのではないかと心配している。だが、周りの日本就職希望者の中で、日韓情勢の悪化を気にしている人は少なそうだと感じた。韓国人と日本人が互いに、過剰に気にし合っているのではないか?両親は、日韓情勢の悪化が自分の日本就職に悪影響を及ぼすのではないかと心配している。(Dさん/文系(経営・国際観光)/男性)
・日韓関係は以前から良くなったり悪くなったりを繰り返すもの。きっとまた良くなる時が来ると思う。むしろこのような状況でも、韓国まで来てくれて説明会や面接会を開いてくれる日本企業がたくさんあることが嬉しい。(Eさん/文系(経営学科)/女性)
・気持ちに変わりはない。政治は政治として別問題である。日本が好きで、つい一週間前も日本へ観光に行った。両親は、最初は不安だったようだが、今は応援してくれている。田舎育ちなので、幼い頃から大きな世界で活躍したいと思ってきた。日本で実現したい!(Fさん文系(経営学科)/男性)
・日本での就職が難しくならないかと不安。両親は応援してくれているが、友人にはかなり心配されている。(Gさん/文系(経営学科)/男性/ワーキングホリデーで来日中)
・日本人の友人もいるし、あくまで政治は政治。政治のせいで、互いの文化交流までなくなってしまうのは寂しい。(Hさん/文系(経営学科)/男性)
・自分自身の心境に変化はないが、周りの日本就職を希望する人の中には、日本へ行くことを躊躇している人もいる。両親も心配している。自分達の世代より両親世代が、かなり気にしている。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
4、ビザについて
(ⅰ)ビザについてどのくらい知っている?
・今はビザについて詳しくない。内々定をいただいてから調べたい。(Aさん/文系/女性)
・内定をいただいたら、ビザは企業の方で手配してくれるという認識でいる。自分ではよく分かっていない。(Bさん・Cさん/理系/男性・女性)
・インターネットで調べたことがあるのと、釜山で開かれた日本企業説明会で説明を受けたことがある。申請から結果が出るまでに、およそ2ヵ月かかるという印象。(Dさん/文系(経営・国際観光)/男性)
・自分では調べたことはないが、知人はすごく時間がかかったと言っていた。(Eさん/文系(経営学科)/女性)
・日本の大学への留学経験があるので一通りは知っている。留学ビザの時は大学が手助けしてくれたので、自分で申請するとなると難しそう。企業で手配してくれると有難い。(Fさん文系(経営学科)/男性)
・とにかく審査期間が長い。3ヵ月以上かかるイメージ。企業規模などによって、審査期間が左右することは知っている。(Gさん/文系(経営学科)/男性/ワーキングホリデーで来日中)
・大学での専攻と職務内容の関連性が必要だと聞いたことがある。審査も長いと聞いたので心配している。(Jさん/理系(機械学科)/男性)
5.まとめ
学生たちへのインタビューを通して、韓国国内での就職の難しさを目の当たりにしました。韓国の就職難は深刻で、大卒就職率は7割に満たないという現実があります。そこには、国内の求人の少なさ、低賃金や非正規就労の増加から、就職したくてもできないといった背景があるようです。対照的に、隣国の日本の2018年度大卒就職率は97.6%と高水準で推移しており、「日本が昔から好きだった」、「得意な日本語を活かしたい」、「日本の高い技術を学びたい」と考える韓国学生にとって、日本就職は絶好の機会なのでしょう。
昨今の日韓情勢を受け、日本就職を希望する学生の気持ちに変化があったか心配していましたが、「気持ちに変わりない」という答えが多く安心しました。政治は政治、経済は経済と捉えて、個人個人の交流を続けていき、お互いの国を理解し合いたいと考えている方が多くいました。今回来場された学生達が、韓国で学んだことを活かし、日本で活躍&日韓の架け橋になっていただけることを期待しています!
説明会や面接前で忙しいにも関わらず、インタビューにご協力いただいた学生の皆さん、本当にありがとうございました♪