カテゴリー分けが2020年より変更になりました。最新記事はこちら
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入国管理局の審査期間について外国人を海外から呼び寄せるケース・「技術・人文・国際業務」という記事の中で、【審査のスピードを早めると推測される要素】【審査のスピードが遅くなってしまうと推測される要素】を例示しました。
今回は、そのうちの【審査のスピードを早めると推測される要素】の1つ、「雇入れ企業が上場企業またはそれに準ずる規模であること」について書きます。
本稿は、①日本での在留資格を持たない外国人の方の②雇用を希望する企業様が③「技術・人文・国際業務」という在留資格(一般的な就労資格)の取得のために④入国管理局に「在留資格認定証明書交付申請」をするケースについての記述です。
技術・人文知識・国際業務 提出資料
上記リンクには、申請の際の提出資料が列挙されています。
ここでは、資料1つ1つの説明は割愛しますが、所属機関(=外国人を雇用する企業)がカテゴリー1、2、3、4に区分されているのがおわかりだと思います。実は、このカテゴリーが審査のスピードに大きく影響していると考えられるのです。
カテゴリー1
上場企業です。
カテゴリー2
端的に書くと「社員に多くの給料を支払って源泉徴収税も多く納めている企業」です。
一般企業は、通常毎年1月、「前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を管轄の税務署に提出し、源泉徴収税を納めていらっしゃるかと思います。
入国管理局の基準では、この法定調書合計表の中に記載されている「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額」が1,500万円以上の企業を「社員に多くの給料を支払って源泉徴収税も多く納めている企業」と認定し、上場企業(カテゴリー1)に準じて取り扱うのです。
カテゴリー3
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の中に記載されている「給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額」が1,500万円未満の企業です。経験上、多くの中小企業様がこの【カテゴリー3】に該当します。
カテゴリー4
上記1~3のカテゴリーのいずれにも当てはまらない企業です。例えば、設立して間もない企業様がここに該当します。【カテゴリー3】と概ね同等に扱われて審査されるのではないかと考えています。
【カテゴリー1】【カテゴリー2】の企業様は、私たち行政書士法人jinjerの経験の限りでは、【カテゴリー3】【カテゴリー4】の企業様よりも審査期間が短いケースが非常に多いです。
就労予定業務や外国人の学歴・経歴などによって一律に比較することは難しいですが、【カテゴリー3】【カテゴリー4】では審査に2ヶ月前後かかりそうな案件が、【カテゴリー1】【カテゴリー2】だと1~2週間で許可が下りる、という実例もあります。
つまり、雇入れ企業の規模、それも資本金額や社員数などではなく、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額を判断基準として、審査期間のスピードが異なるというのが体感です。(そのような入管の内部基準もあるようです。)
また、【カテゴリー1】【カテゴリー2】と【カテゴリー3】【カテゴリー4】とでは、必須提出書類の数が全く異なります。
例えば企業固有の必須提出書類ですと、【カテゴリー1】の場合は四季報のコピーだけですし、【カテゴリー2】の場合は前述した法定調書合計表だけです。
一方、【カテゴリー3】の場合は法定調書合計表に加え、企業様の登記事項証明書、決算文書、外国人に宛てた労働条件通知書なども提出しなければなりません。【カテゴリー4】の場合は、法定調書合計表の代わりに、それを提出できない合理的な理由を証明できるような書類の提出が必要となります。
このような必須提出書類の数の違いが、審査期間の長短に影響を与えているという側面もあるものと考えられます。