企業の健康経営®にモノサシを。腰痛対策アプリ「ポケットセラピスト」がもたらす労働生産性の向上【起業インタビュー第64回】|起業サプリジャーナル

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企業の健康経営®にモノサシを。腰痛対策アプリ「ポケットセラピスト」がもたらす労働生産性の向上【起業インタビュー第64回】

公開日:2018.02.28

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「日本の経済規模を維持または拡大する」というミッションを遂行するための方策はいくつかある。

まず、「少子化対策を講じ、将来の労働人口を増やす」という方策。
例えば当ジャーナルで取材させていただいた、妊娠コンサルティング・不妊カウンセリングの最前線に立つ鍼灸師の方の取り組みがこれに当たる。

次に、「労働人口の減少をAIなどで補う」という方策。
これも機械学習の啓蒙に注力する若き起業家の方に取材させていただいた。

そしてもうひとつ、「労働生産性の向上」という方策が考えられる。
以前、法人向け出張リラクゼーションによって企業の生産性を高める取り組みをされている起業家の方にお話を伺ったことがあるが、今回は、腰痛対策を通じて企業の生産性を高めることに取り組まれていおられる起業家のお話である。

 

福谷 直人(ふくたに なおと)氏
理学療法士としての医療機関の勤務と同時に、京都大学大学院医学研究科にて博士号を取得し、株式会社バックテックを創業。医学的エビデンスを基にした健康経営®︎の実践のサポートを行なっている。

 

腰痛をめぐる現状

腰痛に対する誤解

Q1 ぎっくり腰になったら痛みが治るまで安静にした方が良い。
Q2 腰痛はすべて骨や筋肉の異常で生じる。
Q3 ヘルニアがあるため、腰痛とは一生の付き合いだ。

上記3つの答え、いずれも医学的には「NO」なのだそうだ。日本での腰痛に関する情報は世界に比べて20年遅れている、と福谷氏は語る。

ある医学レポートでは、ぎっくり腰になって安静にすると、日常生活の身の回りのことから動ける範囲で活動する場合よりも、翌年の再発率が約3倍になることが報告されています。
また、腰痛の診断結果の第1位は「分からない」です。実は腰痛の原因のほとんどは、人間関係や職場環境などに起因するストレスなのです。骨が原因でない以上、レントゲンだけ撮っても原因は判明しません。
そして、腰痛を感じたことがなくてもヘルニア様の変化が認められる方が多くいらっしゃいます。すなわち、ヘルニアと腰痛の症状の関連性は低い、ということが多くの研究で報告されています。

 

腰痛がもたらす労働生産性の低下

人類の4人に1人が腰痛持ちと言われているため、日本にはおよそ2800万人の腰痛患者がいることになる。労働におけるその影響は決して小さくない。

労働生産性が低下する健康上の要因はさまざまですが、年間4日以上休業する業務上疾病の第1位が腰痛で、全体の60%以上を占めます。
エンジニアなどデスクワークに従事している職種の方が多いのは当然ですが、年齢層でみると若年層にも腰痛持ちの方が多いのが実態です。

 

近時、「健康経営®」という言葉がクローズアップされている。これは「企業が従業員に健康投資を行うことによって従業員の活力や生産性が向上し、組織が活性化、結果的に業績向上などをもたらす」という考え方である(健康経営優良法人認定制度)。
逆の言い方をすると、従業員の健康が損なわれると企業の生産性は低下し、業績が悪化しかねないということでもある。福谷氏もこの点を懸念する。

日本人を対象にした研究では、腰痛などの痛みが生産性低下の要因の第1位であることが報告されています。健康を崩すことによる欠勤のみならず、出勤していてもパフォーマンスが落ちれば、企業に損失があるのです。
腰痛が深刻な場合、それが原因で仕事を辞めてしまう方もいらっしゃいます。生産人口が減少している今の日本だからこそ、一人ひとりの価値・労働生産性を高めていきたいという想いがあります。

 

腰痛対策アプリ「ポケットセラピスト」

理学療法士としての自身の臨床経験と京都大学大学院での研究実績を活かして福谷氏が開発したのが、腰痛に悩む人のセルフマネジメントをサポートする腰痛対策アプリ「ポケットセラピスト」である。この「ポケットセラピスト」を含め、株式会社バックテックは健康経営を図る法人をトータルサポートする。

アンケート設計―健康経営のための計測項目の提案

社内の健康課題を正確に可視化するためには、アンケートの質問の設計・回答方法(選択肢等)の初期設計が最重要だそうだ。
そこで株式会社バックテックは、科学的見地を基盤とし、企業文化に即したアンケート設計を支援する。

データ分析―企業の生産性・健康度を可視化

京都大学大学院医学研究科での研究実績をもとに、労働生産性低下の可視化やコスト換算、企業の健康度の可視化を支援。そして、健康経営のモノサシとして、労働生産に関わる5つの項目をもとに、企業の健康度スコアを算出、施策の提案とKPI設定を行う。

ポケットセラピスト―カラダの痛みを軸とした健康経営ソリューション

エンドユーザーである企業の従業員は、アプリを通じていつでもどこからでも、国家資格を持つ腰痛対策の専門家にチャットで相談することができ、症状を記録して腰痛の状態や傾向をセラピストに共有することで、より最適なアドバイスを受けることができる。
相談と記録に基づき、個々人の腰痛の状態に合わせた最適なエクササイズが提案されるので、あとはこのエクササイズを実践すれば腰痛が改善される、ということになる。

現在、株式会社バックテックは、理学療法士業界と提携してコアメンバーを育てマニュアル化し、サービス拡大を図っている最中であるが、既に導入実績と上々の効果をあげていることは特筆しておく。
【参考】2018年1月22日付プレスリリース「健康経営優良法人2017の日本ユニシスにポケットセラピストをトライアル導入し社員1人あたり19,200円/月の生産性向上」

 

腰は体の「要」

福谷氏は語る。

腰痛とは個々人のライフスタイルの積み重ねの結果ですから、誰もが発症しうるものです。そして1度発症してしまうと、そのうち6割の人が1年以内に再発し、慢性化してしまいます。
健康寿命低下の第1位も腰痛です。漢字でも示されているように腰は体の「要」なので、ここを始点にどんどん体が弱っていくからです。

にもかかわらず、科学に基づいた正しい情報がしっかり浸透しているとは言い切れないのが現状です。ですから、そのような情報をもっと多くの人に届けることで腰痛を改善し、一人ひとりが生き生きと暮らして社会に貢献できる世界を作りたいと思っています。

腰痛の悩みを抱えるあまねく多くの人のスマホに、ポケットセラピストがインストールされる日が来ますように。

 

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株式会社バックテック
ポケットセラピスト

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