デジタルアート × インタラクションで変わる、新しいリハビリ!株式会社デジリハ 仲村佳奈子【起業インタビュー213回目】|起業サプリジャーナル

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デジタルアート × インタラクションで変わる、新しいリハビリ!株式会社デジリハ 仲村佳奈子【起業インタビュー213回目】

公開日:2023.05.23

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従来、理学療法士などの専門職による属人的なスキルによって行われていたリハビリに、デジタルアートと、センサーによって起きるインタラクションを活用した、新しいリハビリツールとして注目を集めている「デジリハ」。デジタルアート × リハビリ、これまで出会わなそうな2つの組み合わせは、どの様にして誕生したのか?同社ゼネラルマネージャー仲村氏にお話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社デジリハ ゼネラルマネージャー 仲村佳奈子氏)

理学療法士。大学病院、小児施設やNICUでの勤務ののJICA海外協力隊にてグアテマラで活動。University of Leeds 障害学コースにて修士課程修了。現在は株式会社デジリハにてゼネラルマネージャーとして活動。子どもが子どもらしく過ごせる社会をつくるために生きている。イギリス在住フルリモート正社員。

 

株式会社デジリハ について

ー 事業内容について、教えて下さい。

デジタルアートとセンシングシステムを活用したリハビリツール「Digital Interactive Rehabilitation System(以下、デジリハ)」の開発・普及を行っています。

 

ー デジタルアートとセンシングシステムを活用したリハビリツール「デジリハ」とは、どんなサービスなのでしょうか?

デジリハは、デジタルアートとセンサーによって起きるインタラクションを活用した、新しいリハビリツールです。身体障害・知的障害をもつ方や医療的ケアを受けながら生活をしている方が日常的に行うリハビリを、より主体的に行えるようにゲーミフィケーションを活用して設計されたアプリを通じて、リハビリにおけるモチベーションや継続性の向上に寄与することを可能にしています。また、ユーザーの多様な運動をセンサーによって検知・定量化することによって、運動学習や認知機能の発達促進や質の高い医療福祉及び教育サービスの提供へと繋げます。

 

現在、事業者向け・個人向け共にサービスを展開しており、導入を頂いている事業者様ですと、リハビリテーション病院や療育センター、障害のあるお子さんが通う特別支援学校や児童発達支援事業所(障害のあるお子さんが通う保育園のような施設)などがあります。

ー ゲーム感覚という部分が障害の有無を問わず、楽しくリハビリを出来るポイントなのですね!従来、障害者を持つ方に向けたリハビリはどの様にして行っていたのでしょうか?

対象を障害のある子どもに想定した場合でお話をします。

私自身の理学療法士としての経験も踏まえてお伝えさせて頂くと、子どもが自主的に動く環境を作り続けるのがとても難しくもあり、【泣かれる】【寝られる】などは日常的によく発生するものでもあります。その為、おもちゃを使ったり、療法士の工夫で子どもが動きたくなる環境をつくるのに必死な現場でした。またそれ以外にも、障害児のリハビリは、ある種、技術職・職人気質な側面も持ち合わせており、伝統的な手技ややり方の違いが存在する、属人的要素の高さも存在する仕事でもあります。

 

ー なるほど。そんな現場の状況もある中、リハビリにデジタルが取り入れられることでどんなメリットが生まれているのでしょう?

シンプルに、デジタルアートとモーションセンサーによるインタラクティブ性の付与により、子どもが集中できる環境・楽しめる環境がつくれており、リハビリ現場が【子どもが主役になって、大人が引き立て役になる】という本来あるべき姿に変わっていると感じます。

また障害のある方のリハビリは、目視だけでは成長の度合いが分かりにくい部分も多々あります。今後はデジタルの最大限の強みである定量的なデータ回収による、そういったこれまで見えにくかった効果の検証や、各種のエビデンスの実証までをデジリハを通じて提供していきたいと考えています。

 

ー なるほど!改めて、デジタルを活用したリハビリツール内でのデジリハの特徴についても教えてください。

大きくは、2つあります。

 

1.カスタマイズ性

アプリ内のコンテンツをユーザーに合わせて、カスタマイズすることが可能です。例えば、タッチをするオブジェクトの位置や高さの調整やその出力速度など、完成されたコンテンツをただ遊ぶだけでなく、ユーザー1人1人に合わせたカスタマイズを可能にしています。またセンサー感度も調整できる機能もついており、障害を持つ方の程度に合わせてアプリを楽しめるカスタマイズの自由度がデジリハにはあります。

 

2.幅広いセンサーに対応

デジリハを使って頂くにあたって、何か特別に弊社独自の機材を購入頂く必要はなく、現在市販で出ている5種類のセンサーに対応してアプリを使って頂くことが可能です。こちらは市場への普及度合いなどを踏まえ、ユーザーが安定して購入でき、使ってもらいやすいものを軸に選んでいます。

 

当事者間の課題によって生まれた、デジタル×アートのリハビリツール誕生について。

デジリハは、どの様に生まれたサービスなのでしょうか?

サービス立ち上げに際しては、共同創業者である岡と加藤の2人が関わってくるのですが、元々会社の前身は音楽・アート・医療福祉を融合させたプロジェクトを展開するNPO法人 Ubdobe(ウブドべ)から始まっており、岡はそのNPO法人の代表をしています。とあるイベントでデジタルアートを活用したイベント空間を制作したところ、想像以上に子どもの関心が高かったことから、「これを医療福祉の現場にも活用が出来ないか?」と考えたのが岡のキッカケでした。

 

また共同創業者の加藤は、自らも障害を抱える子の親という立場でもあり、そのリハビリ現場における実体験から「遊びとリハビリをかけ合わせられないか?」と考えていたそうです。そんな各々が別の当事者として持っていた課題感がマッチングして、デジリハは誕生しています。

 

ー なるほど!そんな経緯だったんですね。

 

今後について

ー 中長期的な展開についてお教え下さい。

直近では、エビデンスベースでリハビリが行える機能の拡充を検討しており、楽しいだけではなく、データが取れて、さらにそれを活かせるツールへと提供領域を拡げたいと考えています。またセンシング技術を取り入れ、私たちの目視では動いていない様に見える障害者の微弱な活動や、認知面での変化もデータ化し、それを分析できる様な構想も考えており、これまでであれば「反応がないから理解していなさそうだ」と思われていた方でも、実は「こういうことなら出来そうだ」を見つけ、最終的にはそれを就労にまで結びつけ、障害を持つ方の社会参加の切り口をデジリハから見つけることが出来たらいいと思っています。

 

それと同時に、デジリハはリハビリを必要とする方のライフステージに合わせて、生涯伴走できるコンテンツになることを目指しています。実際、障害が発症してから歳を重ねるにつれてリハビリを受けられる頻度は減っていき、高校生になるとほぼほぼ受けられないといった様な現行の制度的な背景もあり、医療以外の場面での障害児者のニーズは少なからず存在しています。それに向けてライフステージやユーザーが触れるタッチポイントに合わせて、デジリハのサービスも拡張していく必要があると感じています。

 

ー 最後に、記事内でお伝えしたい事項もあればお願いします。

現在、COO候補を募集しています。現在デジリハのメンバーは、リハビリの専門職経験者や実際に障害のある子どもを持つ親など、私たちがやっている領域の当事者意識を高く持つメンバーが揃っています。直近ではシリーズAの資金調達もおえ、これからは私たちの事業をビジネスとしてグロースしていく部分にも注力していかなければいけないフェーズにもなりました。私たちの掲げるビジョンを共有しつつ、サービスを拡張していける仲間を探しておりますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

 

ー デジタルを活用したリハビリツールといえば、デジリハ!と呼ばれる日も近いかもしれませんね。今日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます。

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