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代表取締役が複数人いる場合によくある誤解3点

公開日:2017.01.18

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代表取締役といえば、株式会社の代表者ですね。通常は会社における代表取締役は1名で、その人が、代表取締役=社長になっているはずです。
けれども実は、代表取締役は何人いても良いのです。

 

よくある相談

会社設立をお手伝いしていて、「友人同士で会社を設立するため、友人間で立場に差をつけたくないがどうにかならないか」といったご相談をお受けすることがときどきあります。
あるいはそもそも、代表取締役は1名しか置けないと思い込んでいるため、1名の代表者を既に決めてきていて、そんな相談をあえてしてこない方もいらっしゃいます。

そこで、代表取締役を複数名にすることもできますよ、とご提案してみると、「そうだったんですか!だったらそうします!」と喜ばれることもあります。
仲間とともに起業するにあたっては、全員が代表者となって経営にあたりたい、そんな想いをもっている方々も少なくないのです。

 

代表取締役を複数にするという選択肢

一般的には、代表取締役は1名、という会社が多いですし、その方が分かりやすくはあるとは思います。
しかしさまざまな事情から、代表取締役を複数名置いた方が、全員のモチベーションが高まるなど、会社経営がよりうまくいくという場合もあるでしょう。そのようなときには、代表取締役を複数名置くこともひとつの選択肢になります。

とはいえ、代表取締役を複数名置いている会社はそれほど多くはありません。そのため、代表取締役を複数置いた場合はどうなるのか、ということについての知識や情報が十分に出回っておらず、多くの人が誤解しているポイントがいくつかありますので、ここでその誤解を解いておきたいと思います。

 

代表取締役が複数人いる場合のよくある誤解3点

その1:共同代表であるという誤解

友人同士で起業して、代表取締役を複数名置いた場合、「自分たちは共同代表である」と勘違いされる方がとても多くいらっしゃいます。

共同代表とは、あくまでも代表権を「共同で」行使するという考え方で、簡単に言えば「全員揃わないと何もできない」という状態です。
代表取締役を複数名置いた場合は、何ごとも全員で集まって合議したり、多数決で決めたりするものだと思い込んでいる方が多いのですが、それは誤解です。代表取締役を複数名置いている状態というのは、あくまでも、「単独で」代表権を行使できる立場の人が、複数人いる、というものなのです。ですので、共同代表というのとは、異なる状況なのです。

 

その2:会社の実印を共有できるという誤解

「会社の代表印」と言いますと、「会社」の実印ですので、代表取締役が2名いても印鑑は1本で共有する、と思われている方がほとんどなのですが、実は、それは誤解です。

あまり知られておりませんが、会社の代表印は代表取締役と紐づいています。そのため、代表取締役Aさんと代表取締役Bさんがいる場合、代表取締役Aさんの印として登録した会社の代表印はあくまでもAさんの印であり、Bさんは使えないのです。
となると、Bさんはどうしたら良いのか、ということですが、方法は2つあります。

1つは、Aさんだけが会社の代表印を管理する、という方法です。
これは、2人ともに代表取締役であることには変わりはないのですが、印が必要な場合には、Aさんが代表者として契約等を行うようにする、というものです。Bさんは印鑑は管理せず、会社の実印としてはAさんの1本のみを登録してある状態にすることになります。

もう1つは、Bさんも印鑑を用意して印鑑登録する、という方法です。これは、2人とも1本ずつ会社の実印をそれぞれに管理するというものです。
この場合、この2本の印影は変える必要がありますので異なる2本の印鑑を用意して、それぞれに会社の実印として印鑑登録を行います。こうすることで、Bさんも自身の印鑑を管理することができます。
ただし、この場合は当然、会社には2本の実印が存在することになりますし、双方がそれぞれ相談することなく任意に契約等を行うこともできる状況になる、という点には留意する必要があります。

 

その3:社長が3人いるという誤解

代表取締役が3名いると、社長が3名いる、と思われる方が多いようなのですが、実は、代表取締役と社長は厳密には違います。代表取締役は会社法上の肩書きですが、社長は商習慣的な呼称であって、法律的な役職ではないのです。

そして「代表取締役」は複数置けますが、「社長」は、習慣的に1名のみ選ぶこと多いです。もちろん「社長」は法律で定められている役職ではありませんので、絶対こう、という風に決まってはいませんが、代表取締役を複数名置く会社でも、社長は1名とすることが多いです。そしてそれ以外の代表取締役は、会長であったり副社長であったりとすることが多いかと思います。

 

いかがでしょうか?意外と知らないこともあったのではないかと思います。
さて最後に、代表取締役を複数名置く場合の定款の書き方をご説明いたします。

 

代表取締役を複数置く場合の定款の書き方

代表取締役を複数置く場合は、そうできるよう、定款も変えておく必要があります。
定款上の代表取締役に関する文章は、通常、以下のようになっていることが多いと思われるからです。

  • 取締役会がない場合
    第●条 当会社に取締役を複数名置く場合には、取締役の互選(又は株主総会)により代表取締役1名を定める。
  • 取締役会がある場合
    第●条 取締役会は、その決議により取締役の中から代表取締役1名を定める。

このままですと、代表取締役は1名しか選べないことになりますので、定款を変更する必要があります。代表取締役を複数名置きたい場合には、以下のように変更しておきます。

  • 取締役会がない場合
    第●条 当会社に取締役を複数名置く場合には、取締役の互選(又は株主総会)により代表取締役1名以上を定める。
  • 取締役会がある場合
    第●条 取締役会は、その決議により取締役の中から代表取締役1名以上を定める。

このように1名以上とすることで、何人に設定することもできるようになります。

 

まとめ

代表取締役を複数名置くことは法律上全く問題ありません。
しかし、代表者が増えるということは、それぞれが勝手に会社の代表者として契約等を結んでしまうこともありますし、外部から見たときに分かりにくくなるという側面もあります。
そのようなリスクも伴うことを良く理解して、それでも代表取締役を複数名置いた方がメリットの方が大きい、と思うようでしたら、ぜひ、こんな選択肢もあることを覚えておいてください。

 

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大槻 美菜

大槻美菜行政書士事務所 行政書士    登録番号 第10081560号 (東京都行政書士会 所属) 中小企業診断士 登録番号 第421242号  (東京都中小企業診断士協会 城南支部 所属) 東京都行政書士会 渋谷支部 理事 東京都行政書士会 渋谷支部 法教育推進委員長 東京都行政書士政治連盟 渋谷支部 幹事 行政書士ADRセンター東京 運営委員 行政書士ADRセンター東京 調停人候補者 申請取次行政書士 東京都行政書士会 著作権相談員 東京知的資産経営研究会 副会長

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