“遠いけど近い国”ブラジル ~日本にあるブラジリアンタウン~|ビザサプリジャーナル

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“遠いけど近い国”ブラジル ~日本にあるブラジリアンタウン~

公開日:2020.06.24

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はじめに

 日本とは地球の裏側のあるブラジル、飛行機を乗り換え1日以上はかかる距離です。それを聞くと、遠い国と思われるでしょうか?

 しかし、実はブラジルは日本人にとって“(距離的には)遠いけど(存在としては)近い国”なんです!というのもブラジルは世界最大の日系人居住地であり、現在でも多くの日系と言われる方が暮らしています。

 日本から初めてブラジルへ移民船が渡ったのは、1908(明治41)年のこと。日本の経済不況とブラジル農村部の労働力不足がきっかけでした。それ以降の約100年間で13万人もの日本人が海を渡り、現地に根付いて、日系2世・3世と繋がり、現在では約160万人もの日系人が暮らしていると言われています。遠く昔の時代の日本人の子ども、孫やひ孫が遠くの地で暮らしていると考えると不思議な気持ちになりませんか?

 特に、サンパウロにあるリベルダーデという地区は日本人街として栄え、多くの日本食レストランやチェーン店、日本雑貨店が立ち並びます。筆者も学生時代に訪れたことがありますが、ストリート自体が朱色の鳥居のようなデザインで統一され、リトルジャパンが楽しめる場所でおすすめです♪

日本における在日ブラジル人数

 ブラジルには、多くの日系人が暮らしています。では、日本ではどのくらいのブラジル人が暮らしているのでしょうか?国籍・地域別にみた外国人数では、上位5位に入る程です。

*出典 出入国在留管理庁発表 「令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値)」

日本でブラジル人が多く住む町

大泉町(群馬県)

 令和2年5月時点のブラジル人人口は4624名で、外国人人口全体の約57%を占めます。大泉町の全人口の約20%が外国人口であり、ブラジル人人口は町の10%程にもなります。それを証明するかのように、大泉町には多くの国の言語、国旗で溢れています。出典:大泉町「大泉町の人口・世帯」

では、なぜ大泉町にはこんなにも多くの外国人が住んでいるのでしょうか?

【大手自動車メーカーの工場など様々な工場があるため】

 関東地方には日本でも有数の工業地帯があります。京浜工業地帯や京葉工業地帯はかなり有名ですね。北関東(群馬・茨城・栃木)の内陸部は、北関東工業地域が広がっており、大泉町はこの地域に属しています。自動車メーカー、自動車部品メーカー、食品会社、電気機器会社など大小問わず、町のあらゆる所に工場がある、まさに産業の町です。

 しかし、工業が発展するにつれて、労働者不足が問題となり、外国人の採用を積極的に進めるようになりました。人事担当者がブラジルに行ったり、ブラジルの新聞に求人を掲載するなどして日系人の採用活動に取組みました。その努力のかいあって、ブラジルから多くの日系人が大泉に来るようになったのですね。

【固いコミュニティの育成】

 日本に来てしばらく経つと、日系人の中には、ブラジル文化を懐かしむ人がでてきます。そういった人々が、同じ日系人に向けたスーパーや飲食店を営業するようになり、それが呼び水となってブラジル人の数が増えていき、互いに助け合うためにコミュニティの結束も強くなっていきました。

【行政や地域のサポート】

 ブラジル人をはじめとして多くの外国人住民を抱える大泉町では、行政側も、暮らしのパンフレットを翻訳したり、日本文化・社会について通訳する係りを配置したりと、日本人と外国人が共生できる環境と整えています。

保見団地(愛知県豊田市)

 モノづくり産業が集まる愛知県もまた、外国人人口が多い地域です。中でも、大手自動車メーカーの本社が位置する豊田市では、18,445名もの外国人が暮らしています。ブラジル人人口は6,687名と外国人全体の3割強を占めます。出典:豊田市「外国人人口」

 保見団地は、その豊田市保見ケ丘にある、東京ドーム約13個分にも相当する巨大な団地であり、日本で最も多くの南米出身者が住む団地とも言われています。もともとは、周辺に広がる工業地帯の工場労働者の入居をターゲットとしたものでした。しかし、大手企業や工場が安い製造コスト・人件コストを求めて海外へ向かうようになり、当初の計画のように振興住宅となることはありませんでした。予定以上に空室が発生したことで、例外的に社員寮とすることを解禁するなど、空室を埋める工夫がなされていました。

 その頃、1990年に入管法が改正され日系人に就労の資格が認められるようになると、ブラジル・南米からの日系人の流入が相次ぎました。特に、自動車関連産業での日系人の就労増加に比例して、社員寮として使うための借り上げも増加し、結果的にブラジル人・南米人が入居するようになり、現在の姿に至ります。一時は、保見団地の住民の88%もがブラジル人だったとも言われています。まさに、日本の中のリトルブラジルですね。

その他

 その他にも、ブラジル領事館がある浜松市(静岡県)や名古屋市(愛知県)も、ブラジル人住民が多く、コミュニティ形成されている地として有名です。探してみると、ブラジリアンタウンは、日本の各地にあることがわかりますよ。

さいごに

 距離的にはかなり遠いブラジルですが、お互いの民族の行き来も激しく、存在としては非常に近い国です。ブラジル人コミュニティの中には、地域の日本人との交流のために、お祭りやイベントを開催しているところもあります。お互いの文化・社会を知るためにもお近くの方はぜひ参加されてみたはいかがですか?

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