外国人を雇用するときに、在留カードを確認して、不法就労にならないように細心の注意を払っているかと思います。
そのとき、「特定活動」という在留資格を見かける機会が増えたのではないでしょうか。
実際に、「特定活動」で在留する外国人数は、2015年時点で約37,000人でしたが、2019年末時点では、65,000人へ増加しています。
今回は、よく見かける「特定活動」という在留資格と、その特徴を解説します。
「特定活動」とは
外国人が日本で在留するとき、日本での活動目的や活動内容に沿って、たくさんある在留資格の中から適切な在留資格が付与されます。
例えば、日本の専門学校、大学や日本語学校に通学する場合は、「留学」の在留資格が、日本人と結婚し配偶者として在留する場合は、「日本人の配偶者等」の在留資格が決定されます。
しかしながら、外国人の活動目的や内容は多様化し、その全てに対応して都度、在留資格を作ることはできません。
2019年に在留資格「特定技能」が創設されたときも、事前に調査、議論がされ、国会を通じて法律が改正されましたが、やはり時間がかかってしまいました。
そこで、既存の在留資格では対応できない活動目的や活動内容の場合であって、その活動に社会的なニーズがあるときに付与されるものが、「特定活動」という在留資格です。
特定活動で認められる活動とは
とはいえ、無制限に「特定活動」が与えられるわけではなく、事前に認められた個別の活動目的や内容に限り、「特定活動」が付与されます。
具体例を挙げると、就職活動、インターンシップ、ワーキングホリデー、などの活動目的や内容です。
それぞれ、在留資格「就職活動」や、在留資格「インターンシップ」、在留資格「ワーキングホリデー」というものは存在しなく、これら全て「特定活動」という在留資格が付与されています。
ここで注意したい点は、“就職活動での「特定活動」”、“インターンシップでの「特定活動」”、“ワーキングホリデーでの「特定活動」”の、就労の種類やその可否がそれぞれ違うということです。
しかしながら、在留カードには、「特定活動」しか記載がありません。そこで、第3者としては、パスポートに貼付されている「指定書」を確認することが重要です。
指定書には、特定活動のうち、それぞれの認められた活動目的や内容が記載されていますが、それぞれ、「就職活動」などという分かりやすい表現ではありません。
採用担当者の方は、特定活動のどの種類なのか、その上で就労が認められるのか、を確認することをお勧めいたします。
ここで、よく見かける特定活動の種類とその内容をまとめました。
ワーキングホリデー
日本国政府のオーストラリア政府、ニュージーランド政府、カナダ政府、ドイツ連邦共和国政府、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府、アイルランド政府、デンマーク王国政府、中華人民共和国香港特別行政区政府、ノルウェー王国政府、スロバキア共和国政府若しくはオーストリア共和国政府に対するワーキング・ホリデーに関する口上書、ワーキング・ホリデーに関する日本国政府と大韓民国政府、フランス共和国政府、ポーランド共和国政府、ハンガリー政府若しくはスペイン王国政府との間の協定又はワーキング・ホリデーに関する日本国政府とポルトガル共和国政府、アルゼンチン共和国政府若しくはチリ共和国政府との間の協力覚書の規定の適用を受ける者が、日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するため本邦において一定期間の休暇を過ごす活動並びに当該活動を行うために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する風俗営業、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業若しくは同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの又は同条第七項に規定する無店舗型性風俗特殊営業、同条第八項に規定する映像送信型性風俗特殊営業同条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業若しくは同条第十項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事するものを除く。次号において同じ。)
ワーキングホリデー
別表第三に掲げる要件のいずれにも該当するものとして日本国領事官等(法第二条第四号に規定する日本国領事官等をいう。以下同じ。)の査証(同表において「ワーキング・ホリデー査証」という。)の発給を受けた者が、日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するため、本邦において一年を超えない期間、休暇を過ごす活動並びに当該活動を行うために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動
インターンシップ
外国の大学の学生(卒業又は修了をした者に対して学位の授与される教育課程に在籍する者(通信による教育を行う課程に在籍する者を除く。)に限る。)が、当該教育課程の一部として、当該大学と本邦の公私の機関との間の契約に基づき当該機関から報酬を受けて、一年を超えない期間で、かつ、通算して当該大学の修業年限の二分の一を超えない期間内当該機関の業務に従事する活動
サマージョブ
外国の大学の学生(卒業又は修了をした者に対して学位の授与される教育課程に在籍する者(通信による教育を行う課程に在籍する者を除く。)に限る。)が、その学業の遂行及び将来の就業に資するものとして、当該大学と本邦の公私の機関との間の契約に基づき当該機関から報酬を受けて、当該大学における当該者に対する授業が行われない期間で、かつ、三月を超えない期間内当該大学が指定した当該機関の業務に従事する活動
国際文化交流
外国の大学の学生(卒業又は修了した者に対して学位の授与される教育課程に在籍する者(通信による教育を行う課程に在籍する者を除く。)に限る。)が、別表第四に掲げる要件のいずれにも該当する地方公共団体が実施する国際文化交流を目的とした事業に参加し、本邦の公私の機関との契約に基づき当該機関から報酬を受けて、当該大学における当該者に対する授業が行われない期間で、かつ、三月を超えない期間内、本邦の小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)、中学校(義務教育学校の後期課程を含む。)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校において、国際文化交流に係る講義を行う活動
本邦大学卒業者
出入国管理及難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成二年法務省告示第百三十一号)別表第十一に掲げる要件のいずれにも該当する者が、下記の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事するものを含み、風俗営業活動(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する風俗営業、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業若しくは同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの又は同条第七項に規定する無店舗型性風俗特殊営業、同条第八項に規定する映像送信型性風俗特殊営業、同条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業若しくは同条第十項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事するものをいう。)及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事するものを除く。)
機関名:〇〇
本店所在地:〇〇県〇〇市〇〇町〇番〇号
継続就職活動
就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
継続就職活動者の家族滞在者の取扱い
就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)を指定されて在留する者((国籍)人(氏名))の浮揚を受ける(配偶者又は子)として行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
内定待機
(企業名)に〇〇年〇〇月〇〇日から雇用されることとなっている者が同日までの間に行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
内定待機者の家族滞在者の取扱い
(企業名)に〇〇年〇〇月〇〇日から雇用されることとなっている者が同日までの間に行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)を指定されて在留する者((国籍)人(氏名))の浮揚を受ける(配偶者又は子)として行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
出国準備中
特定活動ではあるものの在留カードが発行されません。パスポートに証印が貼付され、出国準備中であることが記載されています。