前回の記事で旧正月についてご紹介し、中国と韓国での旧正月の過ごし方を見ていきました。今回は中国・韓国以外に旧正月の文化がある国での過ごし方を見ていきたいと思います。
ベトナムでの旧正月の過ごし方とは?
ベトナムでは、旧正月は「テト」と呼ばれ、は暦の並びによって政府が5~10日間のテト休暇を決定します。年間で祝日の少ないベトナムでは、テト休暇が最も長い休暇になり、家族や親族と一緒に過ごすのが一般的です。普段は別々に暮らしている家族であっても、この期間は故郷に帰り一緒に過ごすことが多いようです。
町中が金色や赤色、黄色といった縁起の良い色で彩られ、干支をモチーフにした装飾や桃や梅の花が飾られ華やかな雰囲気に包まれます。ベトナムにも日本でいうおせち料理のような、テトに食べる料理があります。バインチュンという伝統的なちまきや、ベトナムハム、揚げ春巻きなどを食べるのが定番です。ベトナムでもお年玉を配る文化があり、大人から子どもに渡す他、上司から部下へ渡したり、企業によっては従業員へのお年玉用の予算が組まれている場合もあります。
台湾での旧正月の過ごし方は?
台湾でも春節(旧正月)をお祝いする文化があります。毎年約1週間程度休暇になります。台湾の春節は「除夕」と呼ばれる大晦日から始まり、家族で集まり一緒にご飯を食べることが多いです。日本と同様に除夕が近くなると大掃除をする人もいます。
お祝いに食べる料理を「年菜」といい、縁起の良い料理が並びます。昔のお金である「元宝」に形が似ているという水餃子や、発音が「良い兆し」という意味に似ている大根、福を運ぶとされているパイナップルなどを食べます。
その他に、お正月の飾りとして、赤い紙に縁起の良い言葉を黒や金色のインクで書いた「春聯」と呼ばれるものを家の門に貼り付ける習慣があります。この「春聯」を貼ると、お金と福を招き、開運を呼ぶと言われています。
また、多くの観光客が訪れるランタン祭りも開催されます。春節から数えて15日目にあたる「元宵節」に提灯を灯すという風習があり、吉祥や邪気払いの意味をもちます。無数のランタンが夜空に浮かび上がるランタン飛ばしは、「天燈」と呼ばれる紙製のランタンに無病息災などの祈りを書き込み、火種を用いて熱気球と同じ原理で空に飛ばす儀式で、ランタンが夜空を彩る幻想的な光景が最大の魅力です。
さいごに
今回はベトナムと台湾での旧正月を紹介しました。日本ではあまり馴染みのない旧正月ですが、アジアの多くの地域では大切な行事として位置づけられています。日本と似た過ごし方も多かったかと思います。近隣の国々への理解を深めるという意味でも、こういった文化が存在することを知っておくといいかもしれません。また、この時期に旅行をする際は観光スポットやお店がお休みの場合もありますので、お気を付けくださいね。