外国人を雇用したが、その外国人の中でやる気がない人がいたり、成果が出せない人がいたりして、雇用した外国人を解雇したいと考える経営者の方がいるかもしれません。外国人を雇用する際、日本人と同じように手続きをしたように、労働法規が適用される外国人を解雇する際も、日本人と同様にしなければなりません。今回は、外国人従業員を解雇しなければいけない状況に陥った際に考慮すべき事項について説明していきます。
解雇するには「合理的理由」が必要
労働契約法第16条では、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とすると定められています。解雇されるということは、労働者は生活基盤を失うことになるため、誰が見ても解雇されて当然だと納得できる合理的理由が必要となります。
例えば、勤務態度に問題があるとか、業務命令や職務規律に違反するなど労働者側に落ち度がある場合です。1回失敗してしまったからすぐに解雇が認められるということはなく、労働者の落ち度の程度や行為内容、会社が被った損害の大きさや重大性、労働者に悪意や故意があったか、等の様々な事情が考慮されます。
いきなり解雇することはできない“解雇予告義務”
また、労働者と「期間の定めのない」労働契約を結んでいる場合、使用者側から解雇するには、少なくとも30日前に予告しなければならないと決められています。また、予告しない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとも決められています。解雇に至るまでには、様々な法的手続きを踏まなければならないので、専門家に相談することがお勧めされます。
外国人の解雇については日本人よりも慎重な対応を
外国人労働者の場合、日本人よりも解雇されると窮地に立たされます。解雇されるということは日本での生活基盤や存在基盤を失うことに直結するからです。また、在留資格(ビザ)についても考慮に入れなければなりません。日本人労働者を解雇する以上に慎重な対応が求められます。日本人の配偶者等、永住者等の身分系の在留資格を持つ方については、就労に制限がないため影響は限定的ですが、技術・人文知識・国際業務、技能等の就労系の在留資格を持つ方にとっては、大きな影響を及ぼします。新しい就職先を探すか、他に該当する在留資格へ変更するか、最悪の場合は母国へ帰国しなければいけないかもしれません。在留資格に基づく活動を3ヵ月以上行わない場合は、在留資格取り消しの可能性が出てくるからです。
やむを得ず外国人労働者を解雇する場合は、解雇日を配慮したり、ビザに関して情報提供や行政書士の紹介等の考慮をしてあげることで円満に進むことにつながります。
【配慮例】
・解雇日の配慮(転職活動を行うことができる十分な時間を付与)
・在留資格を変更する必要がある場合は、その情報提供
・行政書士等の紹介
・住居退去手続きや住民票除籍等の行政手続きサポート
さいごに
日本で働く外国人の方にとって、会社を解雇されるということは生活に大打撃を与えます。外国人労働者であっても労働法規が適用されるため、手続き上は日本人と同様に、配慮は日本人以上に手厚くする必要があります。やむを得ず外国人労働者を解雇しなければいけない時は、円満・円滑に進むように慎重に対応するとよいでしょう。