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建設業許可は誰が必要?「一般建設業」と「特定建設業」、「国土交通大臣許可」と「知事許可」の違いは?

公開日:2021.02.19

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建設業界に身を置く方は、「500万円以上の工事を受注するときは、建設業の許可を受ける必要がある」というのをよく耳にするかと思います。

しかし、この建設業許可は、建設業者だけが取得するものではなく、実は、製造業や販売店の方も取得が必要となるケースも多くあります。

今回は建設業許可を、「誰が取得しなければならないか」、「取得するときの許可の種類はどれか」を中心に解説します。

 

建設業許可とは

建設業許可は、建設業法という法律で定められています。そのほか、建設工事の請負契約、施工技術の確保などのルールが載っており、これらの違反行為には罰則などのペナルティが課さられることとなります。

そのため、「実は建設業許可が必要だった!」ということが無いように、十分に注意を払う必要があります。

 

建設業とは

建設業法では、建設業とは、「建設工事の完成を請け負う営業」と定義されています。
ここで、「建設工事」とは、後述する土木一式工事から解体工事の29種類に該当するものを指します。

反対に、29種類に該当しないようであれば、建設工事とは言いません。
例えば、保守点検、維持管理、除草、宅地建物取引、コンサルタント、設計、機械・資材の運搬は、29種類に該当しないため、建設工事ではありません。

一方で、29種類のうち、機械器具設置工事業を見てみると、「機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取り付ける工事」と定義されています。

そのため、例えば、大型機械のメーカーや販売店が単に売買契約のつもりであっても、工場に納品と設置が含まれている場合、機械器具設置工事業に当てはまり、製造業、販売店という形態を採っていたとしても建設業に該当する可能性があります。

なお、自社建物を自身で建設する場合、このとき「請け負う」とは言えないことから、そもそも建設業とはなりえません。

 

建設業許可が必要となる者

「軽微な建設工事」のみを請け負う場合を除いて、上記で説明した建設業を営むとき、建設業許可が必要となります。

ここで、「軽微な建設工事」とは、
①工事1件の請負金額が500万円未満の工事
②建築一式工事の場合は、1件の請負金額が1,500万未満の工事、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
のことをいいます。

これらの金額は、消費税及び地方消費税を含めた税込金額で判断します。

なお、注意すべきは、「~未満」であるため、1件あたり500万円(税込)の工事、1件あたり1,500万円(税込)の建築一式工事は、軽微な建設工事とは言えず、建設業許可が必要です。

また、ここでいう「請負金額」とは、契約書上の請負金額で判断はせず、注文者が材料を用意した場合は材料の価格やその運送費も含めた金額となります。

ちなみに、注文者や元請業者が機材を貸与した場合に発生する費用は請負金額に含みません。

 

建設業許可の種類

上記では、建設業を取得しなければならない対象について説明しました。ここでは、複数ある建設業許可の種類について解説します。

 

「知事許可」と「大臣許可」の違い

建設業許可は、許可を出す人によって2つの種類があります。

一つ目は、「都道府県知事許可(知事許可)」といって、東京都なら東京都知事、大阪府なら大阪府知事、神奈川県なら神奈川県知事から許可を得るもの、二つ目は、「国土交通大臣許可(大臣許可)」という国土交通大臣から許可を得るものです。

この違いは、「営業所」と「営業所の設置場所」によるもので、営業所が一つの都道府県にのみにある場合は知事許可、営業所が2つ以上の複数の都道府県にまたがる場合は大臣許可をそれぞれ取得することとなります。

言い換えれば、知事許可、大臣許可の両方を取得することはできません。

具体的には、営業所が東京都にしか無い場合は知事許可、営業所が東京都、埼玉県、神奈川県にある場合は大臣許可をそれぞれ取る必要があります。

また、営業所の数は重要ではなく、東京都に複数の営業所があったとしても他県に営業所が無いようであれば、大臣許可を取得できませんので注意してください。

 

「営業所」とは

建設業法でいう「営業所」とは、建築工事の請負契約を締結する事務所のことをいいます。 

そのため、支店、出張所などの実際の名称に囚われず、建築工事の請負契約を締結する事務所は、全て建築業法上の営業所に該当します。

反対に、建築工事の請負契約を締結する事務所ではない支店、出張所であれば、営業所に該当しません。

もっというと、営業所でしか建築工事の請負契約の見積もり、入札、契約締結ができません。

なぜかというと、お客様にとっては高額な買い物であり、専門知識を有する人、責任ある人がきちんと説明しなければならず、営業所にそれらの人が在籍している必要があるからです。そして、それぞれの許可行政庁へ、「ここは営業所です」ときちんと報告していることが求められます。 

ちなみに、営業所で締結する請負契約の工事場所は問われていません。

例えば、工事現場が埼玉県であっても、東京都にある営業所で請負契約を締結できるということです。また、このとき、「東京都知事許可」で問題ありません。

 

29種類の建設工事とは

先ほども少し触れましたが、「建設工事」とは、土木一式工事から解体工事の29種類に該当するものを指します。

具体的には、下記の29種類に区分されています。

 

このとき、大工工事や、型枠工事を行う場合は、「大工工事業」の許可を取得する必要があります。

言い換えれば、「大工工事業」のみ許可を持っている建設業者は、「舗装工事業」に該当するアスファルト舗装工事を請け負うことができません(軽微な工事を除く)。 

この場合は、「大工工事業」のほかに「舗装工事業」の建設業許可が必要です。

一方で、一つの工事に複数の業種が含まれている場合もあると思います。このときは、許可を受けた業種の建設工事に、従として附帯する建設工事であれば、一体として請け負うことが可能です。 

注意する点としては、どの業種に該当するかという判断が難しく、一歩間違えば、建設業法違反に問われてしまうということです。

国土交通省のHPにある「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)」を参考にしつつ、判断を迷う場合は、許可行政庁に適宜確認をとることをお薦めします。

 

「一般建設業」と「特定建設業」の違い

建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の区分があります。

先ほど、軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合を除き、建設業許可が必要と言いましたが、そのうち、発注者から直接請け負う1件の工事について、下請代金の額が4,000万円(建築一式工事の場合、6,000万円)以上となる下請け契約を締結する場合には、「特定建設業許可」が必要となります。

 簡単に言えば、発注者から直接受注し、元請業者として高額な下請契約を締結する場合には、特定建設業許可をとならければなりません。

 つまり、一般建設業許可よりも、より責任ある立場となるときは、特定建設業許可が必要ということです。

これは、力関係が弱い下請業者から見ると、元請業者に資金繰りが危ない状況であれば、下請金額を不当に低くされたり、無理な工期を強いられるといった危険性を孕むため、責任ある立場となるときは、許可要件が厳しい特定建設業許可の取得することで、下請業者を保護しているのです。

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投稿者について
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竹澤 駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。

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