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職業紹介事業のいろは ~紹介・派遣・請負~

公開日:2020.08.28

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1 職業紹介とは

職業紹介の定義

職業紹介とは、職業安定法第4条第1項において、「①求人及び②求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における③雇用関係の成立を④あっせんすることをいう。」と定義されています。

それぞれの定義は下記のとおりです。

①求人

報酬を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めること。

②求職

報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすること。

③雇用関係

報酬を支払って労働力を利用する使用者と、労働力を提供する労働者との間に 生じる使用・従属の法律関係。

④あっせん

求人者と求職者との間をとりもって、雇用関係が円滑に成立するように第三者 として世話をすること。

職業紹介の構造

 

職業紹介への該当性

職業紹介に該当しない場合

・自ら求人・求職を受理せず、求人・求職の申込みを勧誘する業務、職業紹介事業者に求人・求職を全数送付する業務のみを行うこと
・職業紹介事業者に対し、求人申込みの意向を持つ者がいる旨の情報提供を行うこと

職業紹介に該当する場合

・いわゆるスカウト行為を事業として行う場合
→スカウト行為は、求人者に紹介するため求職者を探索した上で当該求職者に就職するよう勧奨し、これに応じて求職の申込みをした者をあっせんするものであるため

 

2 職業紹介事業の種類

職業紹介事業の種類には、次の2種類があります。

(1) 有料職業紹介事業

有料職業紹介事業とは、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し手数料又は報酬等の対価を受けて行う職業紹介事業をいいます。

職業安定法第30 条第1項の厚生労働大臣の許可を受けることで、求職者に対して職業紹介を行うことができます。

※ただし有料職業紹介事業者において、港湾運送業務に就く職業及び建設業務に就く職業の紹介に関して、求職者に紹介してはいけません(職業安定法第32 条の11 の規定により)。

(2) 無料職業紹介事業

無料職業紹介事業とは、職業紹介に関し、営利を目的とするか否かにかかわらず、いかなる名義でも手数料又は報酬等の対価を受けないで行う職業紹介事業をいいます。

※例えば下記のような場合は、実質的に職業紹介の対価を得ているものとして、有料職業紹介事業と判断されます。
→会費を徴収している会員事業主に対してのみ料金を徴収せずに職業紹介を行ったり、職業紹介事業の委託を受けた場合に、委託費等の額が職業紹介の実績により変動する方法により支払われていたりするもの

 

3 その他の労働力需給調整システム

(1) 労働者派遣事業

労働者派遣の定義

自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。(労働者派遣法 第2条第1号)

労働者派遣の構造

※労働者派遣事業は、従来、労働者供給事業として禁止されていたものの中から取り出して法制化されたもので、労働者派遣法の制定と同時に行われた職業安定法の改正により、昭和61 年7月以降、労働者派遣は、労働者供給には含まれないものとされています。

(2) 労働者供給事業

労働者供給事業の定義

労働者供給とは、供給契約に基づき労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣に該当するものは含まれません。

※労働者供給事業は、労働組合法の労働組合、職員団体、労働組合の団体等が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合のほかは、全面的に禁止されています(労働者派遣法第44 条)
理由としては、供給元がその立場を利用して中間搾取(ピンハネ)を行うリスクがあり、労働者の利益が損なわれる可能性があるためです。

労働者供給事業の構造

労働者派遣事業との違い

労働者派遣事業と労働者供給事業は似ていますが、以下の2点が異なる点として挙げられます。

・供給元と労働者間に支配関係があること
・または供給先と労働者間に雇用関係があること

※請負事業

請負により行われる事業は、自由に行うことができます。

しかし、その形態が労働者派遣事業又は労働者供給事業に類似する場合があるため、詳細については【職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル―「第1 職業紹介事業の概要」5項~6項】をご参照ください。

4 求人情報・求職者情報の提供

求人情報又は求職者情報を提供するのみで、求人及び求職の申込みを受けず、雇用関係の成立のあっせんを行わないいわゆる「情報提供」は職業紹介には該当せず、これを業として行う場合にも法による許可等の手続は必要ありません。

しかしながら、インターネットによる求人情報・求職者情報提供が広まる中で、情報提供事業者のホームページ上で求人情報又は求職者情報を閲覧可能にするだけでなく、併せて求職者と求人者との間の双方向的な意思疎通を中継したり、求職条件又は求人条件に適合する求人情報又は求職者情報を自動的に送信する仕組みとするなど、従来の「情報提供」の態様と大きく異なるものが出てきています。

もとより、これらがすべて「職業紹介」に該当するものではありませんが、中には「職業紹介」に該当するか否か容易に判断しがたい事例も存在することから、次のような「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介事業の区分に関する基準」が示されています。

※基準について詳細にご覧になりたい方は、【職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル―「第1 職業紹介事業の概要」7項】をご参照ください。

 

 

 

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