《目 次》
1.相続人を確定する
2.相続人の確定~「誰が」相続するのか~
3.相続財産の確定~「何を」相続するのか~
4.財産目録の作成
5.遺産分割協議の実施
6.遺産分割協議書の作成
7.相続税の申告をする
1.遺言書の有無の確認
まずは遺言書の有無を確認します。
基本的に、遺言書があれば遺産分割は必要ありません。
遺言書がある場合は、民法上のルールに優先して遺言書の内容が適用されます。
2.相続人の確定~「誰が」相続するのか~
遺言書がない場合は、遺族が遺産分割をしなければなりません。
相続が開始したら、まず初めに相続人の範囲を確定します。
※相続人を確定させるためには、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」「相続人の戸籍謄本」を役所で取得し、正確に調査する必要があります。
第一類型【血族】 |
①被相続人の子、またはその代襲者 |
第二類型【配偶者】 | ④配偶者 |
第一類型と第二類型は併存します。
つまり、下記のうちどれかの組み合わせとなります。
【第一類型+第二類型】
・①+④
・②+④
・③+④
【第一類型のみ】
・①
・②
・③
【第二類型のみ】
・④
3.相続財産の確定~「何を」相続するのか~
①相続財産とは
相続によって相続人に引き継がれることになる被相続人の権利義務のことをいいます。
プラスの財産、マイナスの財産どちらも含みます。
【プラスの財産】
不動産(土地・建物)
銀行への預貯金
株式などの有価証券等
【マイナスの財産】
借金等
②相続の方法を選択する
単純承認
プラスの財産とマイナスの財産を全て相続する。
特に届け出は必要なく、何もしなければこの形になる。
限定承認
プラスの財産の範囲でマイナスの財産も相続する。
借金が多額にあるものの、どうしても実家だけは手放したくないといった場合に有効。
ただし、熟慮期間(*)内に相続人全員で家庭裁判所に申述する必要があり、手続きは煩雑。
相続放棄
プラスの財産とマイナスの財産を全て放棄する。
熟慮期間(*)内に家庭裁判所への申述を行う必要がある。
*熟慮期間=自己のために相続の開始があったことを知った時から起算して3か月以内
4.財産目録の作成
財産が確定したら、財産目録を作成します。
【裁判所 書式集】からフォーマットがダウンロードできます。
ぜひご活用ください。
5.遺産分割協議の実施
「誰が相続するのか」「何を相続するのか」が明らかになれば、いよいよ遺産分割協議を行います。
遺産分割協議においては、相続財産をどのように分割するか自由に決定することができます。
共同相続人全員が納得すれば、法定相続分通りの分割でなくても全く問題ないのです。
なお、相続人の調査が不十分で、呼ぶべき人が欠けていた場合には協議は無効になりますので注意しましょう。
とはいえ、当日必ず全員が顔を合わせて行う必要はありません。書面等で意思表示することで代替可能です。
6.遺産分割協議書の作成
遺産分割が済んだら、遺産分割協議書を作成します。
のちのち「言った・言わない」の争いになりかねませんので、かならず作成することをおすすめします。
「誰が」「どの財産を」「どれだけ相続するのか」を記載し、相続人全員が署名・捺印します。
7.相続税の申告をする
遺産分割協議書の作成と並行して、相続税の申告・納付を行う必要があります。
相続税の申告と納付の期限は相続発生から10ヶ月間です。
基本的な流れはこのようになります。
①遺産分割協議書の作成
②被相続人の住所を管轄している税務署に相続税申告書を提出
③相続税が発生する場合、現金で一括払い
なお、相続税の計算は煩雑なため、税理士などの専門家に依頼したほうがスムーズでしょう。
おわりに
上述のとおり、遺言書がない場合の遺産分割は予想以上に手間と時間のかかる手続きです。
相続人の範囲や相続財産の調査のため、何度も役所へ通うことになり、忙しい方にとっては負担に感じることでしょう。
そういった際は、行政書士のような専門家の力を借りるのも一つの手です。
ほとんどの書類作成を代行してもらえる他、役所での証明書取得も委任することができるため、
かなりご自身の負担を減らすことができるはずです。
一度相談してみることで、自身の不安や疑問も解消され、すっきりすることでしょう。