「フードロス(食料廃棄)という社会課題 × 飲食店 × 消費者」をつなぐTABETE.ME(株)コークッキング COO篠田沙織氏【起業インタビュー89回目】|起業サプリジャーナル

  1. 起業サプリジャーナル TOP
  2. 「フードロス(食料廃棄)という社会課題 × 飲食店 × 消費者」をつなぐTABETE.ME(株)コークッキング COO篠田沙織氏【起業インタビュー89回目】

「フードロス(食料廃棄)という社会課題 × 飲食店 × 消費者」をつなぐTABETE.ME(株)コークッキング COO篠田沙織氏【起業インタビュー89回目】

公開日:2018.12.19

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

年間646万トンの「まだ安全に食べられる物」が捨てられている日本。この数字は、実に国民一人がお茶碗一杯の食事を毎日捨てていることになるのだそうです。この「フードロス」という社会課題について、ITを通じた削減の仕組みを“美味しく”提供するスタートアップが今回ご紹介するコークッキングです。今回は、同社COOである篠田氏にお話を伺いました。

 

プロフィール(株式会社コークッキング COO 篠田沙織氏)

小学校2年生で白血病になり、食事制限を受けた経験から、食の重要性を身をもって実感。そこから人生を「食」に捧げると決意。新卒で大手グルメサイトに入社後、飲食店営業並びにwebディレクターを経験。ビジネス側とプロダクト側の両面からサービスの運営を経験する。その後、TABETEにジョイン。現在はCOOとして、「TABETE」の飲食店営業からプロダクト設計、広報まで幅広く活動している。

 

株式会社コークッキングについて

 

>事業内容について教えて下さい。

 

コークッキングでは「食」と「料理」を切り口に、「人々の創造性」や「社会の多様性」を促進する事業を行っています。

フードシェアリング事業

飲食店さん等で余ってしまった食べ物を「おいしく・お得に・安全に」食べられる【TABETE】というサービスを開発・運営しています。

まだ安全に食べられるのに捨てられてしまう「フードロス」の問題に、ビジネスと IT の力で挑んでいます。ビジネスと社会性を両立し、日本全体としてフードロス問題の改善に向かっていけるよう、社会的なムーブメントを醸成していくこともひとつの目的です

コークッキング事業

「料理」を題材にした様々なイベントやワークショップを企画・運営しています。

腕前にかかわらず誰もが参加できる料理の場を通して、クリエイティブな発想を楽しんだり、チームワークを育んだりできるイベントやワークショップを提供しています。一例ですが、たとえば「会社の理念を餃子で表現してみる」といった内容の研修を行っています。

 

>フードシェアリングサービス「TABETE」とは、どんなサービスなのでしょう?

 

 

飲食店で余ってしまった料理やパン・惣菜などを一品から、近くの方に買いにきて頂けるプラットフォームです。飲食店は、それらをTABETEに掲載するのみで、ユーザーはそれを見て→クレジット決済を済ませ→飲食店に受け取りにいく、といった仕組みになっております。現在は、都内を中心に300店鋪の飲食店に加盟を頂いており、8万人のユーザーに利用を頂いております(2018年12月現在:WebとiOSで展開中)

 

>どんな方々に利用を頂いているサービスなのでしょう?

 

メインユーザーは、20~40代の女性となっており、フードロスという社会課題に対して関心を持っている方や(コンビニよりは良いものを食べたいし、スーパーの惣菜にも飽きた)といった方が、本来は捨てるハズだった美味しい料理を気軽に、かつ、通常よりも安い金額でテイクアウトが出来、その行為が社会にも役立っている、という点を気に入って頂いています。

 

>レストランのクオリティで、コンビニ・スーパーより安く買える。しかも、その行為が社会貢献になっているって素敵ですね!加盟した飲食店には、どんなメリットを提供しているのでしょうか?

 

はい。TABETEに加盟頂く飲食店には、3つのメリットを提供出来ていると思います。

① 元々捨てる予定だった食べ物の原価と人件費分を回収できる。

本来捨てるだけでマイナスが発生してしまう食べ物のマイナス益を限りなく”0”に近づけ、場合によっては、それにプラスの価値(利益)を提供しています。

② 新規顧客との接点をつくれる。

TABETEきっかけでお店を知って頂いたり、受取のタイミングでお店をみて、次回来店頂く、などといった通常のグルメサイトでは無かった顧客との新規接点を提供しています。

③ お店や会社としてのCSR活動・ブランディングイメージの向上。

チェーン店や個人店として、「フードロス」という社会課題に取り組む姿勢を、”個”で発信していくのではなく、TABETEというプラットフォームに参画することで、それを自社のCSR(企業の社会的責任)の位置付けとして提供しています。

 

「フードロス(食料廃棄)」という社会課題について

 

> TABETEが社会課題の解決として取り組んでいる「フードロス(食料廃棄)」についても教えて下さい。

 

最新のデータでは、日本では年間646万トンの“まだ安全に食べられる物”が捨てられているデータが出ており、これはイメージで言うと、日本人がお茶碗一杯分の食べ物を毎日捨てるといった量になります。実はこのデータには、家庭で捨てている食べ物は入っておらず、それらを含めてると、かなりの量の“まだ安全に食べられる物”が捨てられていることになるんです。

 

> ええ!それは結構な量ですね・・(驚)TABETE自体は、どういった経緯で出来たサービスなのでしょうか?

 

元々CEOの川越は、和食料理店での料理人修行、大手飲食チェーンでの店舗経験を通して、飲食店の現場で発生するフードロスの深刻さを実感していました。そこで、「DISCO SOUP」という規格外の市場に出せない野菜をスープにして提供するといったイベントをしていたのですが、イベントだけでは持続可能性がなく、根本的な消費者意識の変化には繋がりにくいと感じていました。そこから、日常に根付く「サービス」という形でフードロスについて何かできないかと思うようになりました。そんな時に、2015年にフードシェアリングサービスの先駆者である「Too Good To Go」がローンチされ、(これの日本版をやりたい!)ということでTABETEの構想が生まれました。

 

> なるほど。既に、海外でも重要な問題として視られていた社会課題だったんですね。篠田さんは、どういった経緯で参画されたのでしょうか?

 

私自身の話をすれば、過去に白血病を患った経験から割と早い段階で「食」や「食べる」ことに関心を持っており、フードサービスのスタートアップにいた経験から「フードロスにいつかビジネスとして向き合いたい」という想いをずっと持っていました。

ただ、フードロスという課題自体はソーシャル的な要素も強く、中々ビジネス(事業)として向き合うことが難しいと、前職では判断されていた背景もあり、自分でTABETEの様な事業をやろうって考えていたんです。

そんなタイミングでCEOの川越とイベントを通じて知り合い、「狭い領域で競合になるより、一緒にやろう!」ということになり、(株)コークッキングにジョインすることになりました。

 

これまではお店側も「ロスがあります」なんて言えなくて顕在化してこなかったんです。

 

> 少し話は変わりますが、こういったサービスがこれまで日本で普及してこなかった背景には、どんなことが考えられるでしょうか?

 

これまで日本で普及しなかった理由としては、3つほど考えられるかなと思っています。

①「ロスがあります」ということを言いづらい風潮にあった

「ロス=お店が繁盛していない・売れていない」という認識で捉えられることも懸念して、飲食店側がそういった情報を発信出来ずにいた状況がありました。

②持ち帰り実施による衛生上のリスク

ドギーバックが日本で流行らない理由と同様に、飲食店が抱えている衛生上のリスクが海外と比較すると大きいことが理由の一つとして挙げられます。海外では、フードシェアリングサービスの活用、または食べ残しを客の希望で持ち帰ってお腹を壊した場合「客側の自己責任」で飲食店側は責任を追求されないという前提がありますが、日本にはありません。飲食店が気軽にこういったサービスに乗っかることができないのは、何かあった場合の衛生上のリスクが背景にあると思います。

加えて、これまでテイクアウトをしたことがない店舗にとっては、それ用に容器を揃えたりと・・と追加でかかる負担が発生します。余談ですが、TABETEでは、そういった飲食店にも対応出来る様、テイクアウト容器をこちらで用意したりといった、始めるハードルを下げる様な取組みも行なっています。

③海外では出すゴミの量に課税がかかっている(制度の違い)

これは国の制度による違いですが、海外では出すゴミの量によって、払う税金が変わってくるといった制度もあり、国としてもそういった社会問題に対して、施策を出していますし、それによって、そもそもの「意識」の違いが生まれてきていることが考えられると思います。

 

>なるほど。

 

今後について

 

> 中長期的な展開についてお教え下さい

 

中期的な展開としては、まずは飲食店側からもユーザーからもニーズの高い「エリアの拡大」を早期に進めていきます。

長期的には、「消費者の意識をどれだけ変えられたか?」といった意識の改革を目標にしています。

 

> 最後に、記事内でお伝え出来る告知事項などもあれば教えて下さい。

 

是非、フードロスという社会問題や、TABETEに興味を持って頂いた方は、アプリをDL頂いて実際に使ってみて下さい!私たちが毎日している「食べる」という行為を通じて、その周辺で起きている社会課題に少しでも目を向けてもらったり、関心を持って頂けると嬉しいです。

アプリのダウンロードは、コチラから(2018年12月時点では、iOSのリリースのみ)

 

> 早速、編集部でも使ってみます。今日は、ありがとうございました!

 

ありがとうございます。

 

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

人気の記事

最新記事

カテゴリー

タグ