元ひきこもりだったけど!? TED講演・トランプ大統領就任式や欧州 の学校を取材。世界で動き続ける浅見氏の『人の心に飛び込む術』|起業サプリジャーナル

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元ひきこもりだったけど!? TED講演・トランプ大統領就任式や欧州 の学校を取材。世界で動き続ける浅見氏の『人の心に飛び込む術』

公開日:2018.11.30

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「僕は、生きてるだけで、周りの迷惑なんだな」

「自分は、世界中から嫌われている」

こんな感情・感覚の渦に溺れていたのは、

約1年半の不登校・ひきこもりを経験していた13歳の頃。

あれから約10年が経った今、そんな彼は世界を舞台に活動中。

日本各地の学校に個性が収まらない生徒や保護者約2000名に会い

欧州各国の多様な学校、ひいては教育省にまで取材に行き、
はたまた全米50州/76名の上院下院議員等にプレゼンし、トランプ大統領就任式へ現地取材に行く、、、。

そしてついには、実体験をもとにした本を出版(岩波書店・ジュニア新書)。

自分の心を閉ざし続けてきた彼が、

自ら日本各地、世界各国へ飛び込むようになったのは何故か。

そして、年代や立場、職業、国籍を超え、

様々な人が彼に心を開き、受け入れてくれるのは何故なのか。

今回のインタビューでは、

世界を舞台に活動する元ひきこもり浅見直輝氏の

「人の心に飛び込む術」に迫る。

 

浅見直輝さんプロフィール

1994年生まれ。中学時代、1年半の不登校を経験した元引きこもり。その後、早稲田大学を卒業。大学在学中、196カ国の青年が集う次世代サミット日本代表に選ばれ、現在、日本事務局公式アンバサダーを務める。中学時代や国内外での経験および活動をもとに、これまで5000名以上の中学・高校生、保護者向けに講演活動を行なう。親子関係をテーマにNHKラジオ等にも出演。

2018年9月には初の書籍『居場所がほしい――不登校生だったボクの今』(岩波ジュニア新書)を出版。https://amzn.to/2P0jaYa

2019年からは、「学び方を選べる日本」を目指し、47都道府県のオルタナティブスクールを取材予定。

 

#1、人に救われた命は、人を支える事に使おうと決めた10代

>この度は、岩波書店・ジュニア新書よりご出版おめでとうございます。改めまして、今のお仕事と、始めたきっかけをお聞かせいただけますか?

 

ありがとうございます!

主な内容は3つあり、

  1. 学校や地域からの依頼を受けて、全国の小中学校の生徒/保護者へ講演
  2. 若者や保護者層に向けた、生きづらさや親子関係をテーマとした講座
  3. ドキュメンタリー作品や対談番組の脚本・構成

などをしています。(以前は、クロネコヤマトの早朝仕分けなどもしていました)

実は中学1年生の頃、僕は教師や生徒のいじめ等が原因で長期の不登校になりました。そして、苦しい気持ちを誰にも言えず1人で抱え込み、苦しさから逃れたくて毎日お昼3時に起きて朝9時までひたすらゲームを続けるような、昼夜逆転ひきこもり状態の時期もありました。

とにかく周りの目が怖く、世界中が敵だと思い込んでいて、、、。

「自分は、生きてるだけで周りの迷惑なんだな」と、毎日のように自分で自分を責め続けていました。

しかし、生きる事を諦めようとした時に、寄り添い続けてくれた両親、高齢にも関わらず遠方から何時間もかけて会いに来てくれた祖母、「うちにおいで」と居場所をつくってくれた祖父がいました。

家族をはじめとして、様々な人たちの支えがあって命が救われ、僕の2度目の人生が始まりました。

「そんな、“人に救われた2度目の人生”は、“人を支える事”に使いたい」という思いで、国内外で様々な人の魅力を探求・発信する活動を始め、今の仕事に至ります。

 

 

>当時のストーリーは著書に詳しく書かれていて、人の個性やその可能性の大きさ、生きることの素晴らしさが心にしみました。

また、国内外の活動の中でも、2年前に開催されたトランプ大統領就任演説へ派遣枠として選ばれたのはどういった背景があったのでしょうか。

確か2016年11月のことでした。ある日YouTubeを観ていたら、トランプ氏当選後にアメリカ国民達が分断される映像がいくつも出てきました。トランプ賛成派と反対派が、お互いに罵声を浴びせ合っていたんです。

その映像を見た時に、なぜか、尋常ではない量の悔し涙が溢れてきまして、、、。

 

>なんと!その悔し涙の理由は何だったのでしょうか?

 

今まで僕は、国内外での活動を通して、誰かの経験が誰かの力になるシーンを何度も目の当たりにしてきました。人種や立場の違いに関わらず、どんな人のどんな経験にも、誰かを支える力があるんだと感じてきたんです。

だからこそ、Youtubeを通して見た「価値観や考え方の違いで、“人そのもの”を否定・攻撃し合う光景」に、強烈な悔しさや悲しさを感じて、、、。

とはいえ日本で文句を言っていても仕方ないので、トランプ大統領就任式と翌日のデモへ現地取材に行って、国民たちの生の声を聞きに行こうと思ったんです。

そこで全米50州の上院・下院議員計76名へ、電話やメールで自分の想いをプレゼンしたのです。

※写真は、当時アタックした議員さん達のリスト(浅見さんの作成)

 

その結果、最終的に2州から大統領就任式への招待を頂く事ができました。

実は、こういったリストの作成や交渉・プレゼンは、ヨーロッパ各国の学校や教育省の取材に行った時や、はたまた人気ミュージカルのチケット確保など(笑)、色んな場面で行なっています。

ターゲットとする人のインタビュー記事・映像などをしっかり調べて、その人に響く言葉を考えて内容を練っていくんです。

 

(ベルギーの学校取材中、現地の新聞社から逆取材を受ける浅見直輝さん)

 

#2、自信満々だった講演会での〝大失敗〟が、人の心に飛び込む術を生むきっかけに

 

>講演家として全国の学校を回り、TED×Tohokuでの最年少プレゼンターにも大抜擢をされた浅見さん。人々にメッセージを伝える発信者として、相手の心を動かすプレゼンテーションができる能力はどのように培われたのですか?

実は「大失敗の講演」が一番のきっかけなのです。

学生時代から親御さん向けに講演をすることが多く、だんだん反応もよくなり、300人規模の講演をするチャンスもいただきました。

すると予想を大きく上回り、質問タイムが2時間以上続くほど大盛況だったのです!

そこでますます自信をつけた僕は、とある高校で勢いのまま講演をしたら…約60分間だだスベり。反応なんてほとんどないし、もはやウトウトしている生徒たちも。

そのときに痛感しました。「僕が何を話すのか」よりも、「相手のニーズが何なのか」を捉える重要性を。

親御さん達は、「子供の気持ちを知りたい!」「どんな言葉がけが必要なの?」といった聞きたいこと・ニーズがありました。その一方で高校生たちは、そもそも「講演かー、めんど。」くらいのテンションだったりするわけです。

そこで、講演にしろプレゼンにしろまずは相手を徹底的に知り、「相手の世界に入ること」から話を始めるように工夫をしました。話の入り口を変えたのです。

 

>具体的には、どのようにトークを始めるようにしたのですか?

 

例えば、高校生が対象の学校での講演だと、進路選択や受験勉強がテーマである事が多いです。

ただ、いきなりそんな真面目なトピックから入ると、「だっり〜」と感じてしまう生徒もいるわけで。

なので、学校講演の前準備として、その地域の生徒たちが盛り上がる会話のトピックだったり(北海道なら、学校のスキー大会など!)、彼らがよく使う言葉、好きな音楽・芸能人、あるいは彼らが不満を持っている校則・ルール(基本的に、携帯没収+反省文など笑)、、、、などをリサーチするようにしました。とにかく、まずは相手を知ることから。

そして、ある高校講演では、その高校で大流行していた言葉を会場の大スクリーンで映し出すことから始めました。

僕:「昨日、ある言葉を初めて学びました。みんな、これ知ってるかな?」

生徒たち:(いつもと講演の始まり方が違う。ざわざわ。どんな言葉だろう。)

スクリーン:「まんじ(卍)」(スクリーンいっぱいに、ドンッと表示)

実はこの学校、生徒たちが何にでもかんにでも「それマジまんじー!」と返すのが大流行していて、なんと学校内で「まんじ使用禁止令」が出されるほどだったんです(笑) なので、大スクリーンのその文字を見て、生徒たちは大盛り上がり(笑)

そんな、「生徒たちの世界」に入り込んでいくことから話を始め、そして「今日は、“進路”に関するマジまんじな話するんで、宜しくお願いします!」と続けて本題に入っていくと、それだけで生徒たちが少し前のめりになって聞いてくれたりするんです(笑)

僕が話す「内容」は変えずに、「入り口」を変えるんです。

相手を知り、相手の世界に入っていくことから始めるんです。

 

 

>素晴らしい変わりようですね! では浅見さん流の『人の心に飛び込む術』というと…?

 

大まかに、次の3ステップがあります。

  1. 相手の需要(好意や嫌悪)を丁寧に把握する!
  2. 自分が供給できるものをリストアップする
  3. 需要と供給が一致するコンセプトを見付ける

プレゼンテーションでも講演でも交渉でも、マンツーマンのやりとりでも、この流れに沿って構成・脚本を練っています。

特に1は重要だと思います。

自分のテンションではなく、相手のテンションを把握すること。

相手の喜ぶポイントや、逆に興ざめするポイントを探ること。

論理タイプなのか、情熱タイプなのかを推測すること。

シンプルな言葉の方が好きなのか、長文でもいいから心のこもった文章の方が喜ばれるのか把握すること。

これらのポイントを、徹底的に下調べをして見つけ出します。

特に講演会だと、相手の需要を外したか当てたか、お客さん達を見れば一発でわかるので良い修行になっています。外した時は、帰り道で脳内反省会ですが、、、(笑)

 

#3、浅見さんが目指すのは、1964東京五輪・閉会式のような光景をつくること

>世界を牽引する人たちや、社会で様々な功績をあげている大人たちだけでなく、人に心を閉ざしてしまう子ども、辛いことをなかなか打ち明けられない親御さん。そんな、世代も国籍も職業も縛られず、幅広い人々の心を動かし続けている浅見さんが目指している未来は、どのようなものでしょうか?

 

「一人十色な未来」をつくりたくて、

そのための様々なステップの1つとして「学び方を選べる日本」の実現を目指しています。

これまでの活動を通して、各地域・各領域の方々から「どんな人も様々な“側面”を持っている」と学ばせて頂きました。

ある一面から見ると例えば「不登校」「ひきこもり」「難民」「発達障害」と判断される人でも、違う側面から光を当てるとそれぞれに「夢中になって話してくれること」「自ら進んで動いてくれること」など様々な他の側面も持っていたんです。

僕は学生時代に『十人十輝(じゅうにんといろ)』という学生団体を作りました。

学校や家庭で様々な苦しさや葛藤を抱えていた大学生が中心となって、「十人いれば十通りの輝きがある世界をつくる」という想いで生徒や保護者の支援をしていました。

ただ、「十人十色」という四字熟語を大切にしながら活動していたのですが、実際に目の当たりにしたのは「一人十色」な光景だったんです。

 

>というと、、、!?

 

例えば、以前「音楽好き不登校生×シンガーソングライター」をテーマにプロジェクトを立ち上げました。

普段の会話ではあまり目も合わせてくれない、当時不登校だった女の子との企画。

彼女はどことなく人に心を閉ざしている感じで、企画初日はあまり会話にもならず、、、。しかし、そんな彼女は「歌・声優」などに興味があって、カラオケに行くと誰よりも熱を込めて歌い始めるのです。

そこでシンガーソングライターさんに協力して頂き、彼女の言葉をもとに歌を作り上げ、最後には小さいながらも音楽ライブを開きました。ライブ終了後、そこには自然な笑顔のまゆちゃんがいました。

まゆちゃんを元々知っていたお客さんは、「まゆちゃん、変わったね!」と仰っていました。ただ僕としては、まゆちゃんは「変わった」ようには思えず。無口のまゆちゃんも、熱を込めて歌うまゆちゃんも、自然な笑顔のまゆちゃんも、「全部、まゆちゃん」なわけで、どこに行くか・誰に出会うか・何をするかによって、その人の「どの側面」が出てくるかが違ってくるだけなんじゃないかと思ったんです。

ほかにも本当にたくさんの、個性や興味、感受性が豊かであるが故に集団からはみ出してしまって学校で浮いてしまう子供たちもいました。

けれど皆、環境が変わるだけで急に何かを夢中に話し始めてくれたりするのです。

まさに、その子の別の素敵な側面が現れる「一人十色」な姿を何度も目の当たりにしたのです。その光景に、素直に感動しました。

だから僕は、「人の中に眠る、周りから気づかれていない素質・側面・魅力が現れる姿」を描き、世の中に広く届けていきたいのです。

今はまだ修行中なのですが、構成作家や脚本家として、年代や人種を問わず「人の姿」「人の生き様」を描く“映画”をいつか作りたいと思っています。30代になったらそれが本業になってるかもな、なんて妄想しています(笑)

またそのステップの1つとして、子供達がそれぞれに合った学び場や学び方を選べる日本を実現するため、2019年から全国47都道府県の「オルタナティブ教育」など多様な学びの場へ取材にいきます。

今いる学校に合わない・居場所の無さを感じている子供たちが、もっと多様な学び場・学び方の選択肢を選べる未来をつくる為です。選択肢が可視化されることでこそ、既存の教育と新たな教育の協働や、地域間での協力体制も活発になるかなと。

「一人十色な環境」をつくるために教育における改革を、

「一人十色な姿」を広く世に伝えるために構成作家や脚本家としての挑戦を。

いずれにしても、一人十色な光景をたくさん生み出したいですね。

じゃないと人生を終えることができません!

 

 

>おもしろい、、、!ちなみに、その未来や光景の具体像はあったりしますか?

 

そうですね。

その具体的なイメージの1つは、1964年の東京オリンピック「閉会式」の光景です。

(時事通信社から引用)

1960年までのオリンピック閉会式は、国ごとに整列して行進する事が常識でした。

ですが、1964年の東京オリンピック閉会式では、様々な国の人たちが自然な笑顔を浮かべながらごちゃ混ぜで入場してきて、腕を組んで、肩車をして、国境や人種を超えて皆一緒に喜び合い、楽しみ合う光景が広がっていたんです。

そしてその背景には、オリンピック開催前からその光景が生まれるように様々な企画やプロセスの組み立てを行なったプロデューサーの存在がありました。

僕自身、これまでいろんな国や地域で人に眠る魅力を目の当たりにし、また多くの人の心が1つになる瞬間を体感してきました。なので、将来はそのプロデューサーのように、各国・各年代・各立場の人々が「心を一つに、無邪気に喜び合い、笑い合う光景」を生み出していきたいと思っています。

一人十色な光景を、人類が1つになって楽しみ合うような瞬間を何度も何度も生み出したいです。どれだけ人生かけてでも、実現させます!

共感してくださる方がいらっしゃったら、ぜひメッセージなり一声なり頂けると嬉しいです!(人生初の著書も、読んで頂けるととっても嬉しいです。)

 

浅見さんFaceBookアカウント:https://www.facebook.com/naoki.asami.104

著書ページ:https://amzn.to/2P0jaYa

 

 

【編集後記】

これまでにも彼のプレゼンテーションを聞いたことが何度もありましたが、浅見さんの言葉には、いつも人を最初から惹きつけるものがあると思っていました。

それはひとつの才能なのだと感じるくらい、神経を研ぎ澄ませて集中したくなる話術なのですが、そこには徹底した努力が積み重なっていて、その裏側を教えていただく取材でした。

人に心を閉ざしてしまった過去があることを逆に大きくプラスへ生かし、どんな人にもまずは自分から興味・関心を抱いて相手が入り込みやすい世界をつくる。

コミュニケーション力も素晴らしいのですが、それ以上に人への敬意やおもてなしの気持ちを、120%の行動でひたすら準備をして人との時間をシェアする。

そんな浅見さんが、今後ますますのご活躍をされることを心から応援しています!

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