【イベントレポート】GREEN×TECH 2018〜大手ディベロッパー&NaaSスタートアップの共演〜|起業サプリジャーナル

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【イベントレポート】GREEN×TECH 2018〜大手ディベロッパー&NaaSスタートアップの共演〜

公開日:2018.09.26

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世界で再び注目されているGREEN×TECH含むNaaS(Nature as a Service)領域。東京都では、平成26年に策定した「東京都長期ビジョン」において、「水と緑に囲まれ、環境と調和した都市の実現」を政策指針の一つに掲げるなど行政を絡めた政策として、日本でもこの領域に注目が集まりつつあります。今回は、NaaS(Nature as a Service)領域における、プレイヤー(専門家・スタートアップ、ディベロッパー)がそれぞれの見地から未来を語るイベントに参加してきました!

 

会場の紹介〜 Plug and Play shibuya powred by 東急不動産 〜

Plug and play shibuyaは、渋谷におけるイノベーション創出の更なる活性化を図る為、渋谷を中心に再開発を進める東急不動産(株)と、シリコンバレーを本社に世界12ヶ国、26拠点を構える世界トップレベルのグローバル・ベンチャーキャピタルPlug and Playが協業し、アクセラレーションプログラムを実施するインキュベーション施設。2017年7月にスタートをした同施設では、プログラムの参加者のほか、イノベーションを求める大企業やベンチャー企業が有料会員として参加でき、将来性のあるスタートアップと様々な企業が施設内で自由に交流できる場を提供することで、日常的にビジネスマッチングや協業が生まれる仕組みを構築している。

 

 登壇企業の紹介(NasS領域スタートアップの事業紹介)

今回のイベントでは、日本を、そして世界の社会課題をテクノロジーやサービスで解決する可能性を持つ、スタートアップ4社が登壇した。

 

WOTA株式会社

21世紀最大の課題と言われる「水不足」に関する新しいインフラを手がける同社では、パーソナル水再生システム「WOTA BOX」の研究開発を行っている。現在プロダクトはベータ版だが、2016年の熊本地震以降被災地支援に実用し、今年も西日本豪雨、北海道胆振東部地震にて百数十名にシャワー提供するなど、水源確保が難しい環境におけるテスト利用が始まっており、今後の製品化に向けて期待が高まる。今回のイベントでは、CEOの北川力氏が登壇した。

https://wota.co.jp/

 

スペースリンク株式会社

一般に普及しているリチウムイオン電池は安全面や急速充電への課題が存在している。高い安全性や導電性など、高い物性をもつ「夢の素材」である、「カーボンナノチューブ」を使用した次世代型蓄電デバイスの開発(カーボンナノチューブキャパシタ)により解決を図る同社。スマホを1分以内にフル充電したり、電気自動車の充電時間の大幅短縮など、我々の生活をより快適にしてくれる大きな可能性を秘めており、数年内の量産化も計画している。今回のイベントでは、COO阿部晃城氏が登壇した。

http://www.spacelinkltd.jp

 

PLANTIO株式会社

「みんなで野菜を育てる世界へ」をビジョンに、アーバンファーム事業を展開する同社。プランターにAIとIoTのパワーを加えた「Smart Planter」を開発しており、耕作場所のない都心での野菜栽培や、IoT化を通じたオンラインコミュニケーションの形成、栽培データの蓄積による栽培アシストの機能など、未来のプランターの開発に向けた取り組みを実施している。今回のイベントでは、共同創業者CEOの芹澤孝悦氏が登壇した。

https://www.plantio.co.jp/

 

株式会社チャレナジー

「風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全な電気を供給する」をビジョンに、マグナス式×垂直軸型の新型風力発電機の開発を手がける同社。一般的な風力発電にイメージされるプロペラではなく「マグナス効果」を利用することで、風速に合わせて発電量を制御でき、強度やコストの面も改善できる可能性を秘めている。さらに、一般的な風力発電機と比較して低回転のため、騒音やバードストライクなど環境影響の低減も期待されている。今回のイベントでは、CTO小山晋吾氏が登壇した。

https://challenergy.com/

 

パネルディスカッション書き起こし

参加者からの質問をもとにしたパネルディスカッションでは、一歩踏み込んだ事業の話から、未来の話まで多岐に渡るトークが展開された。モデレーターは、今回のイベントで基調講演も勤めた一般社団法人イノプレックス代表理事 藤本真狩氏。パネルディスカッションには、今回ディベロッパー側の立場として参加をした、東急不動産(株)藤井秀太氏、 森ビル(株)村田麻利子氏も参加して、それぞれの立場で意見を交わした。

 

風力発電の家庭普及と(風力発電を活用した)エネルギーの地産地消の可能性について

藤本氏:初めに、「太陽光パネルは既に一般的家庭にも普及していますが、風力発電活用した家庭電力のエネルギー生産や、エネルギーの地産地消には、もう少し時間がかかるのでしょうか?」という質問を頂いていますが、小山さんいかがでしょうか?

 

小山氏:仰る通り。日本家屋の上に立てるというのは発電機の重量的な観点も含め、現時点では非常に厳しい部分はあります。

 

藤本氏:ということは、やはり広大な面積を要する場所であったり、遠方に設置することになるのでしょうか?

 

小山氏:そうですね。というのは、風力発電の性質上、風況が良い環境を選ばなければいけない為。必然的に高さのあるビルの屋上や、山の上・海岸線沿いとなってきます。エネルギーの地産地消という観点でいうと、海沿いに発電機を置き、そこから配線を引いて、街に届けるという形が現時点での地産地消モデルになってくると思います。その他、街の中やビル風を利用した場所への設置なども含めて、現在は可能性の模索をしている段階です。

 

カーボンナノチューブキャパシタ(次世代型蓄電デバイス)の実用化について

藤本氏:「バッテリーの製造コストの見通しについて教えて下さい」という質問が来ています。

 

阿部氏:良い質問ですね。これ「カーボンナノチューブ高いだろ!」って、既にご存知の方からの質問かもしれないですね(笑)昔は、ダイヤモンドより高いと言われていたカーボンナノチューブですが、既に日本ゼオン(株)という会社が蓄電デバイスに適したカーボンナノチューブを世界に先がけて量産化に成功しているんです。

その計画では、カーボンナノチューブが2020年を目安にこれまでの価格のおよそ1,000分の1になる予定です。そういった技術革新もあって、現在私たちは事業化に向けて量産パートナーと組んだ計画を立てております。市場への投入時点では、現在のリチウムイオン電池のおよそ4倍くらいの価格になるだろうと見込んでいますが、量産化が進むことにより、そこからスケールメリットが効いてくるので、同等の価格、もしくはそれ以下の価格帯での提供が見えてきます。

 

ディベロッパー側の取り組み〜都心緑化と地域との取り組みの中での事例について〜

藤本氏:「緑化等の取り組みの中で、地域の人やテナントに喜ばれた事例があれば教えてください」という質問が来ています。まずは、東急の藤井さんいかがでしょうか?

 

藤井氏:そうですね。ビル内でガーデニングをしたり、野菜をつくったり、といった緑を受動的に見るだけでなく、主体的に緑と関わる機会をこちらから創出することで「社内でのコミュニケーションが広がった」や「他テナント企業とも交流が持てた」等のプラスな意見は多数頂いています。

 

藤本氏:森ビルさんは、いかがでしょうか?

村田氏:森ビルの取り組みとして喜ばれたのは「バードウォッチング」です。オフィスワーカー向けに早朝から実施したイベントが非常に喜ばれました。最近では、朝型に切り替えて仕事をしている方も増えていて、たくさんの方が参加してくださいました。当日は、六本木ヒルズの毛利庭園にやってきたカルガモの親子の生活と、そのヒナを狙おうとしているカラスの存在等、朝から白熱した生命の営みを確認出来たりして、参加者同士で、とても盛り上がりました(笑)間接的ではありますが、緑を増やすことで、いつもとは違う観点で自分の働く場所を見つめる良い機会が提供出来ています。

 

世界と比較した日本の技術進歩について

藤本氏:最後に、「世界と比較した日本の技術進歩」についても伺えればと思っています。実際、技術を駆使して業界で闘っている中で、日本の技術は優っているのか、劣っているのか、をどんな風に感じていらっしゃいますでしょうか?

 

北川氏:「水」に関して話をすれば、要素技術で言えば世界でもトップクラスと言えます。ただ、”技術”という限定的な表現になってしまうんですよね。そこからどう自分たちでサービスをつくっていくか、それをどうパッケージングして販売していくか?という部分が日本の業界内では足りていません。そこには、水処理のプレイヤーが大きな組織になり過ぎているといった中での、”イノベーションのジレンマ”みたいな話にも繋がってきます。なので、動きにくくなってしまった大企業には出来ない、スタートアップならではの動きが、現在の僕らには出来ていたりするのかなと感じています。

 

藤本氏:野菜栽培の分野では如何でしょうか?

芹澤氏:我々の分野で言っても、日本の技術は非常に高いと思います。

ですが、「テクノロジードリブンになり過ぎている」部分もあると感じていて、水耕栽培や自動化に代表される様な、技術だけでマネージメントやコントロールをするだけの世界だけではなく、もう少し植物が植物らしく生きれて、それを健やかに食べられる環境にも焦点を当てて、テクノロジーをアップデートしていかなければいけないと感じています。そういった領域こそ、日本ならでは開拓出来る領域だと思っていますし、私達はそこにフォーカスしていきたいなと思っています。

 

主催:東急不動産株式会社、for Startups株式会社

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