「社会を一歩、前へ」 ~ワークスタイル・ライフスタイルを前進させる社会保険労務士~|起業サプリジャーナル

  1. 起業サプリジャーナル TOP
  2. 「社会を一歩、前へ」 ~ワークスタイル・ライフスタイルを前進させる社会保険労務士~

「社会を一歩、前へ」 ~ワークスタイル・ライフスタイルを前進させる社会保険労務士~

公開日:2017.10.02

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

給与計算、就業規則作成などが業務として挙げられる社会保険労務士(以下、社労士)ですが、昨今の社労士はアウトソーシングの他に組織を改善するコンサルティングまで求められるようになっています。今回お話を伺った近藤先生は、労務知識を活かし、企業のホワイト化支援にまい進する方です。

近藤 由香氏
大学卒業後、損害保険会社勤務時代に損害保険代理店と関わる中で、中小企業では就業規則が整備されていない現実、離職率の高さに直面。企業が発展するには企業理念・それに基づく教育、働きやすい制度が必要と考え、在職中に社会保険労務士を取得。その後社会保険労務士事務所にて代表社員就任。東京都内で「港国際社会保険労務士事務所」を新設し、同時にワークライフバランスについての相談業務専門の「株式会社 港国際ワークスタイル研究所」を設立。

 

手続き代行だけじゃない。コンサルタント社労士

社労士はどういった業務ができるのでしょうか

社労士は、労働社会保険関係の法令に精通した人事労務に関する専門家です。企業におけるヒトの採用から退職までの書類作成やコンサルティングが主な業務です。

書類作成だと次のような業務が挙げられます。
・労働社会保険の資格取得喪失、年度更新、算定基礎届
・助成金の申請
・給与計算
・就業規則等の作成・変更

本来であれば企業が行う業務なのですが、これらに関連する法律は、毎年のように改正され、手続きが複雑かつ難解になっているため、外部の専門家である社労士へアウトソーシングすることで、企業の負担を減らすことができます。

一方でコンサルティング業務は、
・雇用管理、人材育成、人事評価制度の提案
・賃金、昇給など給与、報酬に関する制度設計
・労働時間や福利厚生など労働条件の見直し
などが挙げられます。

以上が主な業務ですが、昨今は、そのうちコンサルティング業務の比重が大きくなっています。

 

アウトソーシングだけでなく、コンサルティングを求められるようになった背景はどういったものでしょうか

近年のITの発達は著しいものです。そのため、アウトソーシング業務がITに置き換わっていることが理由のひとつです。例えば、給与計算であれば、給与計算ソフト、クラウドサービスを導入すれば解決できるようになっており、社労士の活躍する場面が減ってきております。

また、ブラック企業などの労働問題が注目を集めるなか、厚生労働省がブラック企業リストを公開しました。人手不足が叫ばれる今、求職者もブラック企業を避け、さらにブラック企業の可視化によって消費者もブラック企業を敬遠するなど、企業にとってデメリットだらけです。

企業は自社の状況を漠然と改善したいとは思いつつも、その手段を知りません。そこで人事労務知識を持つ社労士がコンサルタントとして一緒になって改善方法を模索するのです。そういった背景から、昨今コンサルティング業務の需要が増えてきていますね。

 

国も支援。ホワイト化するメリット。

近藤先生は働き方改革を目的とした「株式会社港国際ワークスタイル研究所」を設立していますが、ホワイト化とは具体的にどういったことを指すのでしょうか

ホワイト企業とは、コンプライアンスが徹底されている、女性が活躍している、ワークライフバランスがとれている、リモートやフレックス制度など多様な働き方が導入されているなど、働きやすさにおいて優れている企業のことを言います。ホワイト化というのは、コンプライアンスの見直しや、女性の登用制度の導入などを行うことによって、働きやすい環境へ改善していくことを指します。

企業において、どのくらいホワイト化しているのか、働き方改革がすすんでいるのかというのは、始点と終点が見えないので分かりづらいのが特徴ですね。そこで、働きやすさの可視化として、厚生労働省が認定している「くるみん」や「えるぼし」が有名です。

くるみんマーク
「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみ ん認定)を受けることができます。この認定を受けた企業の証が、「くるみんマーク」です。平成29年3月末時点で、2,695社が認定を受けています。
引用:厚生労働省HP

えるぼしマーク
平成28年4月1日に全面施行された女性活躍推進法では、一般事業主行動計画の策定及び策定した旨の届出を行った企業のうち、一定の基準を満たし、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業について、厚生労働大臣の認定を受けることができる制度が創設されています。認定は、基準を満たす項目数に応じて3段階あり、認定を受けた企業は、認定マーク(愛称「えるぼし」)を商品や広告、名刺、求人票などに使用することができ、女性の活躍を推進している事業主であることをアピールすることができます。また、「公共調達における加点評価」と「日本政策金融公庫による低利融資」の対象になります。
引用:厚生労働省HP

企業様より、これらの認定マークを取得したいという依頼は多くあります。くるみんなら子育てサポートの充実、えるぼしなら女性の活躍と、それぞれ分野ごとに優良であるとアピールになりますし、税制優遇を受けられるなどの恩恵も受けられます。

また、多くの分野を包括的に優良であると認める、「一般財団法人日本次世代企業普及機構(通称、ホワイト企業普及機構)」によるホワイト企業認定マークがあります。私もそこでホワイト企業診断士として、ホワイト企業の審査や改善方法の提案などホワイト企業の普及に努めています。

 

ホワイト企業だとほかにどういったメリットがありますか

助成金とのシナジーが高いですね。助成金とよく似た性質のお金で補助金というものがありますが、補助金は、経済産業省が中小企業振興などを目的としているお金で、要件を満たした上で審査を通過する必要があるので必ずもらえるとは限りません。

反対に、助成金とは、厚生労働省が中小企業向けに支援を目的とするお金のことで、条件を満たせば必ずもらえるお金なんです。
厚生労働省は労働関係を所管する省庁なので、ブラック企業にはお金を支給しません。そもそもなぜ助成金制度があるかというとホワイト化を促進させる意味もあるのです。例えばキャリアアップ助成金であれば、「残業代を含め、正しく給与計算を行い、賃金を支払っていること」を支給要件としています。これはホワイト企業なら当たり前のことですね。
助成金は使途が自由であるいう点も魅力的だと思います。設備投資なども可能ですが、多くの企業は従業員へ還元するようです。

 

企業のホワイト化、ワークライフバランスは企業にとっての手段

ホワイト化したいという漠然とした依頼に対して、どういったように提案するのでしょうか

経営者の方や人事部の方から、人材が集まらないという相談が多いのですが、今の求職者はインターネットで情報を集めて企業を見定めています。昔に比べ、企業がどういった労働環境なのか口コミなどたくさんの情報が出回っていますし、特に昨今は、長時間残業などが問題としてクローズアップされていることもあり、求職者のアンテナは高いといえるでしょう。

また業種業態によって多様な働き方ができると考えていますので、企業ごとにどういった施策を提案するかは異なります。

しかし、その中でも共通して挙げるとすれば、リモートなどの働く場所に囚われない働き方の提案です。これからは働く場所に囚われないようにできるかがホワイト化の重要な指標になってくると思います。子育てをする方もそうですが、介護を行う人がこれから増えていくことが予想されます。そうすると、自宅で仕事ができる、テレワークが可能になるといったことが働きやすさという点で大きな意味合いを持ってくると思います。
PCでリモートできるようにするとなると、設備投資が大きな額になって敬遠されてしまいますが、Skypeなど安価なものでも、社内の協力体制が整っていれば取組みは可能だと考えています。

ワークライフバランスや企業のホワイト化は、あくまでも企業にとっての手段でしかありません。ではなにを目的にしているか。それは働く人が自分の時間を大切にし、イキイキと過ごすためです。

今、社会人の多くの方が月曜日の朝、気が滅入っていて、金曜日の朝は、「あと一日乗り越えれば休みだ」ということで意欲が生まれていると思います。しかし、月曜日と金曜日でこんなにも気持ちが変わるということはおかしいんです。もっと自分の時間、生活、人生を楽しんでもらいたい、そういった世の中を実現するには企業がホワイト化し、ワークライフバランスを充実することが必要です。そうすれば、月曜日と金曜日は同じ気持ちで過ごせるはずです。私の理想は、月曜日から日曜日までを自分らしくイキイキと過ごす世の中を当たり前にすることですね。

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj
投稿者について
最近の記事

竹澤 駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。

人気の記事

最新記事

カテゴリー

タグ