経済産業省「FinTechビジョン」について【後編】|起業サプリジャーナル

  1. 起業サプリジャーナル TOP
  2. 経済産業省「FinTechビジョン」について【後編】

経済産業省「FinTechビジョン」について【後編】

公開日:2017.05.18

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

今回、経済産業省が「FinTech の課題と今後の⽅向性に関する検討会」を実施し、FinTechについて初めてとりまとめをしました。
検討会は、経営者や研究機関、学界、経済団体、⽇本銀⾏、⾦融庁等関係機関の参加し、課題や今後の政策等について議論されています。

本記事では3章について記載していきます。3章は課題と対応について述べられています。
前編では、1、2章(FinTechの現状と目指すべき姿)について触れました。

前編の記事はこちら

FinTechビジョンについては経済産業省のHPより閲覧できます。

第3章 目指すべきFinTech社会を実現するための課題と政策対応

FinTechイノベーションを起こすためには、起業家精神を持った方の力を存分に発揮できる環境を整える必要があると述べられています。官民が一体となってあらゆる資源を活用することで実現できます。

FinTechの前提条件を整えるための課題と対応

データ融通の環境を整える

諸外国では、データは個人のものであるという基本的な考えに基づく制度設計がされています。EUでは2018年に発行される「一般データ保護規則」によってSNSサービスの乗り換え時に、その個人のデータを移転する権利が認められます。
また、データ主体の権利を明確にすることによって、個人データを扱う管理者に義務を課すことになります。
今後、日本でも政府や民間企業が保有するデータを活用し、個人を起点とし自ら事業者間でのデータ流通ができるような環境を整えることを目指しています。

 

キャッシュレス社会の実現

キャッシュレス社会により、お金の流れがデータとして蓄積されます。このデータを生かすことがFinTechサービスの充実や付加価値を生むといったことになります。
今後、社会としてキャッシュレスを安全・円滑に利用できるような環境づくりを目指し、例えば、クレジットカードの証憑の電子化を推進していくなど挙げられます。

 

電子決済のセキュリティが守られる

現状、課題として消費者にとってセキュリティへの不安が挙げられています。この不安を払拭するためには、例えば民間機関等による自主ガイドラインの促進等です。

 

「お金」の流れをデジタルで完結するための課題と対応

本人確認がデジタルで完結する

FinTechは、身近なデバイスを通じて、ユーザーが非対面で金融サービスにアクセスし、サービスを享受することを目指しています。口座開設において、アメリカでは本人確認についてマネーロンダリング対策を重視しつつ、小額の取引の場合は書類審査をしないとのことです。しかしアメリカの場合はSSN(社会保障番号)を要求されていて、SSNで本人確認をしているとのことです。
日本でもマイナンバーを活用していくことを検討されています。そのためにマイナンバーの普及も課題として挙げられています。

 

行政データを開放し、⼿続がデジタルで完結する

FinTech のユーザーが、金融サービスの流れをデジタルで利用するためにも行政機関もFinTech の「サービス・レイヤー」の⼀つとして捉えて環境を整備することに言及されています。

以前執筆した記事がありますのでこちらをお読みください。

 

金融サービスがデジタルで完結する

個人や企業の活動から、FinTechサービスまでが円滑に流れるようにつながっていくためにはAPI(Application Programming Interface) を通じた接続(オープンAPI)が重要であると述べられています。

APIとは
APIとは、ソフトウェアは相互に利用するイメージです。例えば、FacebookというSNSサービスがありますが、その他の多くのアプリと連動してFacebookを利用できます。

このAPIを、例えば金融機関等がオープンにした場合、様々なサービスをベンチャーや個人が生み出すことが可能になります。

 

FinTechによるベンチャー・中小企業の経営力・生産性改革に向けた課題と対応

バックオフィス改革で経営力と生産性を向上する

バックオフィス業務が紙から電子へ、また自前主義からクラウド活用への転換が鍵となります。現在、多くの中小企業が紙で作成しているとのことです。

中小企業庁の「決済事務の事務量等に関する実態調査(2016 年)」によると、給与、経理等の内部管理業務のパッケージソフトを導入している企業は半数程度となっており、クラウドサービスを利用している企業は1割にも満たしておりません。
また、中小企業等におけるインターネットバンキングや電子証明等の活用促進も課題で挙げられています。こうした中、クラウド活用IT化の活用事例や潜在的な費用対効果等の認識を高めることが重要であると述べられています。具体的は業務のクラウド化率を政策指標として設定し、課題を把握に努めていくことを検討しているとのことです。

 

資金調達力・キャッシュ・マネジメントを強化する

リアルタイムの財務情報や取引・決済情報等の商流情報を活用して融資等を行うFinTechサービスは徐々に出てきています。しかし中小企業においては、先述した通り、財務情報がIT化されていません。
上記の対策を採りつつ、日本版レギュラトリー・サンドボックス等のイノベーションに向けた実験を促す仕組みを活用して新たなサービスが生まれる土壌を作っていくことに言及されています。

レギュラトリー・サンドボックスとは
レギュラトリー・サンドボックスとは、現行法の規制を一時的に停止させる規制緩和させることで、新たなサービスや製品を生み出せるような環境を作ることです。

 

FinTechイノベーションを次々に生み出す環境づくり

FinTech イノベーションを促進する規制・制度改革

現在、FinTechイノベーションを起こすために世界中で様々な取組が行われています。
アメリカでは、膨大なリスク・マネーが流入しています。政府がイノベーションをもたらす研究開発や教育面での基礎的な施策を実施しています。
またイギリスやシンガポールなどは、先述した「レギュラトリー・サンドボックス」が導入されており、特にイギリスでは当局とのコミュニケーションを含め柔軟な対応をし、適宜修正をしている現状です。
これを受け、日本でも「レギュラトリー・サンドボックス」の導入を検討されています。

 

グローバル競争力ある拠点作り

「国際金融都市・東京」の実現を目指しており、4 年間で40 社の金融系企業の東京進出を⽬標としています。そのために海外の融系企業に対し、日本進出前から進出時までのサポートを行っていくことになっています。

 

人材育成、転職・再就職、兼業副業等を通じたFinTech 人材の確保

第四次産業革命を支える人材を創出していくため、関係省庁が連携した「第四次産業革命 人材育成推進会議」が2016 年に設立されました。

 

参考

経済産業省HP
中小企業庁HP

̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj
投稿者について
最近の記事

竹澤 駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。

人気の記事

最新記事

カテゴリー

タグ