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IPOの基本知識

公開日:2017.05.02

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2017年1月時点で、東証一部に上場している会社は2,000あり、東証二部やその他の市場も合わせると4,000社弱の会社が上場しています。ちなみに、日本の会社の数は400万社以上あるといわれています。

 

IPOとは

IPO(Initial Public Offering)とは、株式上場のことで、株式を不特定多数の一般投資家に対して広く開放し、株式市場で誰もが自由に売買することができるようにすることをいいます。最初の公開売り出しの意味です。

非上場会社では、一般的に株式の譲渡制限が定款で定められています。株式の譲渡制限条項があると、株式の譲渡には会社(株主総会、取締役会)の承認が必要になります。IPOを目指す会社は、上場直前に定款変更し、株式の譲渡制限をなくして上場会社となります。

 

市場の種類

国内の証券取引所は、東京証券取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所の4箇所があり、各取引所で、本則市場と新興市場が用意されています。

本則市場は、既存の中堅・大企業向けの市場であり、上場時の時価総額や純資産額等で一定の規模が求められています。一方、新興市場は、新興のベンチャー企業や一定の規模・実績のある中堅企業向けの市場となっています。

マザーズは、バイオ関連企業やIT関連企業が多く上場しています。

JASDAQは、マザーズに比べると、比較的規模の大きい会社や老舗企業が上場しています。その中でも、スタンダードは、一定の事業規模と実績を有する成長企業を対象にしており、グロースは、特色ある技術やビジネスモデルを有し、将来の成長可能性に飛んだ企業を対象にしています。

 

本則市場

新興市場

東京証券取引所

市場第一部(東証一部)
市場第二部(東証二部)

マザーズ
JASDAQスタンダード
JASDAQグロース
TOKYO PRO MARKET

名古屋証券取引所

市場第一部(名証一部)
市場第二部(名証二部)

セントレックス

札幌証券取引所

本則市場

アンビシャス

福岡証券取引所

本則市場

Q-Board

 

IPOのメリット

・資金調達の円滑化

・知名度、信用力の向上、事業提携がしやすくなる

・人材確保、社員のモチベーションアップ

・創業者利潤の獲得

・事業承継

・内部管理体制の充実

・コンプライアンスを意識した経営の実現

 

IPOのデメリット

・株式公開準備が煩雑、コストがかかる

・経営の自由度の低下

・オーナーの支配権の希薄化

・ディスクロージャー義務

・上場維持費用の負担

・内部統制充実のため管理コストの増大

・買収されるリスクの増大

 

上場審査基準

上場するためには、主幹事証券会社による引受審査と証券取引所による上場審査を受けなければなりません。審査基準としては、形式基準と実質基準があります。

 

形式基準

株主数や時価総額といった形式的に満たさなければならない基準です。

例えば、東証一部に上場するためには、下記のような要件があります。

・株主数2,200人以上、

・流通株式数2万単位以上、流通株式数(比率)上場株券等の35%以上

・時価総額250億円以上

・新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して、3か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること

・連結純資産の額が10億円以上(かつ、単体純資産の額が負でないこと)

・次のa又はbに適合すること

 a   最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること

    b   時価総額が500億円以上(最近1年間における売上高が100億円未満である場合を除く)

 

※その他の要件や他の市場の形式要件については、日本取引所グループのwebページをご確認ください。

 

実質基準

実質基準は定量的な基準が設けられているわけではなく、主幹事証券会社・証券取引所が総合的に判断する要件となります。

基本的には、下記の5つにより判断されます。

①企業の継続性及び収益性…継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること

②企業経営の健全性…事業を公正かつ忠実に遂行していること

③企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること

④開示の適正性

⑤公益・投資家保護

 

IPOに向けたスケジュール

上場を行う期を申請期(N期)、申請期から逆算して3年間は上場準備期間(3年前はN-3期、直前々期-N2期、直前期-N1期)として必要となります。そして、それぞれの期において、必要な準備をすることとなります。

 

N-3期

監査法人などによるショートレビューの実施。ショートレビューとは、3日程度のヒアリングを通じて現状の問題点を洗い出す作業です。

その他、意思決定と資本政策立案、経営管理体制の整備などをこの時期に行うこととなります。

 

N-2期

ショートレビューで指摘された事項を整備していく。

資本政策の実行、申請書類の作成、開示体制の整備など。

 

N-1期

整備した体制を実際に運用していく。

 

N期

主幹事証券会社から引受審査を受ける。引受審査が完了すると、証券取引所の上場審査を受ける。

 

参考:日本公認会計士協会作成の新規上場のための事前準備ガイドブック

 

参考:2017年度のIPOについて

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投稿者について
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綴木 晴彦

1982年生まれ。中央大学法学部卒、中央大学大学院卒。教育系の企業にて執行役員として新サービス開発などを統括。ビジネスマンのキャリア開発、資格取得の支援などを行う。その後、人材系のベンチャー企業である株式会社ネオキャリアに参画し、事業部長として新規事業開発に従事。社内起業として行政書士法人jinjerを設立。外国人の就業支援・ビザ取得支援、会社設立支援、企業の資金調達支援、補助金取得支援などを行う。

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