旧正月とは
毎年1~2月になるとメディアで取り上げられる機会も多いことから「旧正月」といった文化があることはご存知の方も多いと思います。「旧正月」とは、日本が明治5年以前に採用していた太陰暦でいうお正月のことです。明治6年に現在日本が採用している太陽暦の一種、グレゴリオ暦に改暦されてからは、太陰暦が示すお正月と区別するため旧暦のお正月を「旧正月」と呼んでいます。グレゴリオ暦で言うお正月が「毎年1月1日」と決まっている一方で、旧正月は「1月中旬ごろから2月中旬ごろの間で新月になる日」が新年となるため、毎年日にちが異なります。
中国をはじめ台湾、韓国、シンガポールなどのアジア圏では現在でも新暦のお正月ではなく、旧暦のお正月である旧正月を新年として重要視し、盛大にお祝いします。この旧正月は国によって呼び方が異なり、中国では「春節」、韓国では「ソルラル」と呼ばれています。
春節の過ごし方~中国~
中国では旧正月のことを「春節」といい、一年で最も盛り上がる時期です。春節の数日前から春節に向けての準備が始まり、赤色は春節のメインカラーであり、縁起が良いとされているため道路や建物、家のあちらこちらを赤で飾ります。また、春節は家族が集まる時期でもあるためどこにいても家族と一緒に祭りを祝うために家に帰ることが期待されています。この期間は、中国において1年で最も人が移動する時期であり人々の大移動は「春運」と呼ばれます。億単位の人々が一斉に移動するため、鉄道の切符が購入しづらく、高額転売が横行したりなど一種の社会問題となっています。
ソルラルの過ごし方~韓国~
韓国では旧正月のことを「ソルラル」といい、チュソクと呼ばれる旧暦のお盆とともに大切にされている二大名節の一つです。ソルラル当日とその前後の日が祝日となります。家族や親戚と一緒に新年をお祝いしたり、連休を利用して旅行に出かける人が多いです。伝統的な過ごし方としては、“茶礼(チャレ)”という先祖供養のための儀式を行い、お墓参りにいくといった過ごし方が挙げられます。子供たちに日本でいうお年玉を渡す文化もあります。
さいごに
2019年12月頃から蔓延した新型コロナウイルスの影響で、中国や韓国でも大人数での集まりや、移動が制限されていた旧正月でしたが、2023年は規制も緩和されつつあり日本に訪れる観光客も回復傾向にありました。ただ中国からの観光客は一部にと留まりました。旧正月直近の中国での新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、水際対策を強化したことがその理由のひとつとして考えられます。来年の旧正月の時期には、規制が緩和され自由に海外旅行ができるようになっていることを願います。