こんにちは。社会保険労務士の近藤由香です。
「どの時点で道を誤ってしまったのだろう」
拡大志向で走ってきて、起業後何周年のタイミングでこう嘆く社長がいた。
売り上げ至上主義、新規契約は多かったが、その分解約も多かった。度重なるミス、それをフォローする時間と労力でマネージャークラスは疲弊。やがて続く離職の嵐。
そこで初めてこの社長は気づくことになる、「どの時点で道を誤ってしまったのだろう」と。
一見社員数も多く、売上高もある順調に見える社長にありがちである。
こう嘆く社長にならないために、起業する際に必ず考えておきたいポイントがある。
起業する際に必ず考えておきたいポイント
ポイントは、「個人事業主タイプかビッグビジネスオーナータイプ、どちらを選ぶのか」ということだ。
ここでいう個人事業主タイプというのは、企業の人数が一人ないし数人で体は小さく、小回りをきかせてビジネスを行う人を指す。当然実務や営業も自分が主体となって一人何役もこなさなくてはならない。一方で意思決定が自分でできるので、好きなことを素早く決定、実行することができる。
一方でビッグビジネスオーナータイプは、自分は「経営者」となり、営業や実働部隊は従業員に実行させ、自分はオーナーとしての仕事に専念する人を言う。当然社員も沢山抱えなくてはならないし、多くの人が関わる分、会社としての小回りは個人事業主タイプよりはきかず、必要なのはマネジメント能力と自身の経営能力である。
この2つのタイプのうち、まずどちらを目指すのかを考えるのだ。そして同時にどちらが自分の性に合っているかも考えた方が良い。
企業は拡大を目指すのが当然か?
「起業するからには、拡大するのが当然」
そう思った方は多いだろう。ただ、一度立ち止まって欲しいのである。
会社は拡大し続けるものだと決めつけ、特に自分のタイプや志向も考えず、当然ビッグビジネスオーナーを目指すのは早合点である。
社員数ばかりが増え、社員教育も出来ず、新規契約月何百件、解約も同じ数。疲弊したスタッフ、離職の嵐、こうなってからでは遅いのである。まずは、自分はどちらを目指すのかを決めることが大切である。
では?どう見分けたら良いのだろう。
いろいろな社長を見てきて思うのは、ただ1点、「自分は“黒子“に徹することができるか」に尽きる。
お客様に対して黒子に徹し、プレーヤーとしての自分を捨てることができるのであれば、ビッグビジネスオーナーを選ぶのも良いだろう。営業の一線からは退き、経営者としての仕事に邁進すべきである。
一方、プレーヤーとしての自分も持っておきたいのであれば個人事業主タイプが向いている傾向がある。プレーヤーとしての自分を持ちつつ、ビッグビジネスオーナーを目指すのは、経営者としての仕事もしながらプレーヤーとしての仕事も追求しなければならず、いずれ息切れする日も遠くはない。
ビッグビジネスオーナーを目指すあなたに
もしあなたビッグビジネスオーナーを目指すのであれば、社員が0人のうちから考えておいて欲しい事がある。
1 会社の未来像
2 社員の理想像
3 絶対にNGな社員像
5年後、10年度はどんなお客様がいて、どのようなサービスを展開していたいのか。そして社員の理想像。どんな社員がいるのが理想なのか、ということである。そして同時に絶対にNGな社員像も考えておきたい。
採用する時は、往々にして業務が多く抱えきれず、急いで求人を出しで採用することが多い。そうなってから考えても、その切羽詰まった状況では、つい目先の業務をこなせる人材を採用してしまうことが多く、結果として統制がとれなくなるパターンが多い。
社員が0人のうちから、未来の会社像、そこにいるべき社員像を描いておくことが、組織を大きくするには大切なのである。