アルバイトを採用する際に、時給が最低賃金を下回らないとすることは、多くの経営者や人事担当者の方が気を付けていると思います。
月給者にも最低賃金は適用される
ところが、経営者や人事担当者の方と話をしていると、「え、月給者も最低賃金があるんですか!?」という発言をしばしば聞くことがあり、月給者にも最低賃金が適用されることが必ずしも認識されていないようです。
「月給者にも最低賃金は適用される」というのが法律上のルールですので、まずは、このことを正しく理解して下さい。
月給者の最低賃金の計算方法
それでは、次に、月給者の最低賃金は、どのように考えればよいのでしょうか。
この点、最低賃金は都道府県ごと(一部職種ごと)に定められていますので、月給制で働く社員の月給を一定のルールに基づいて時給換算し、その時給換算された金額が、会社の所在する都道府県の最低賃金を下回っていないか比較検証することで、最低賃金をクリアしているかを確認します。
具体例で説明しましょう。
Aさんは、以下の労働条件で働いています。
・東京都の会社に勤務 (東京都の最低賃金:958円)
・年間所定労働日数 240日
・1日の所定労働時間 8時間
・月給:基本給150,000円+固定残業手当50,000円+通勤手当20,000円
まずは、Aさんの月給を時給換算します。時給換算は、月給を1か月あたりの月平均労働時間で割ることによって行います。
150,000円÷(240日×8時間÷12か月)=925.9円
この計算式によって算出された925.9円は、東京都の最低賃金である958円を下回っていますので、会社はAさんに対して最低賃金法違反をしてしまっているということになります。
ここで気を付けていただきたいので、固定残業手当と通勤手当を上記最低賃金の計算の基礎に含めていないということです。
時間外手当、休日出勤手当、深夜割増手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、そして賞与は、最低賃金の計算の基礎から除外するよう法律で定められているのでご注意下さい。
Aさんの場合は、基本給だけで最低賃金を上回ることができるよう、基本給を引き上げる必要があります。
まとめ
最近の傾向を見ていると、「基本給+固定残業代」で20万円とか25万円支払っているので、最低賃金を下回っていることはないだろう」と思っていたら、基本給と固定残業代の内訳の比率によっては最低賃金を割っていた、という事例も散見されます。
月給者にも最低賃金が適用されること、および、正しい月給者の最低賃金の計算方法を、是非覚えておいて下さい。