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助成金制度をフル活用することから始まる~1社1社に最適な経営改善方法をトータルコーディネート【起業インタビュー第51回】

公開日:2017.12.06

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会社を経営する際に、尽きない悩みになるであろうお金の問題。

今回お話を伺ったのは、お金の問題を解決する助成金にスポットを当てたサービス、「助成金コーディネート」を運営しているTRIPORT株式会社の代表であり、TRIPORT社労士ネットワークの代表も兼任されている岡本氏です。

「ヒト・モノ・カネ」のあらゆる視点から、1社1社に最適なソリューションを提供することで、多くの中小零細企業が常に抱えている“面倒・わかりづらい”を解決したいと話す岡本氏にサービスの特徴やサービスを作った経緯などを伺いました。

岡本 秀興
2006年 中央大学経済学部卒、在学中に社労士試験に合格しつつも、今後はITスキルが必要不可欠であると考え、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)に入社。社会保険労務士のスキルを活用しつつ、システムエンジニアとして主にHumanResource系の基幹業務アプリケーション、クラウドサービスの開発に従事。マーケティングからシステム開発まで幅広く関わる。ITをはじめ、世の中の便利なツール・サービス・仕組み等を、本当に必要としている人に“簡単・気軽”に利用してもらえる環境を構築すべく、TRIPORT株式会社を創業。代表取締役社長 CEO 就任。2016年6月に助成金コーディネートサービスをリリース。助成金分野の専門家として先見経済(1938年創刊)等の経営者向けビジネス誌等も執筆。

 

助成金は要件を満たせば高確率でもらえるお金

助成金とはどのようなお金でしょうか

助成金とは国から給付されるお金のことで、原則、返済不要、用途が自由など、企業にとって多くのメリットがあります。これと似た性質を持つ補助金というものがありますが、補助金は主に経済産業省が、助成金は厚生労働省が管轄している点が異なります。

両者は受給難易度にも大きな違いがあり、要件を満たせば高確率で支給される助成金に対して、補助金は書類審査や面接などがあるため合格率が存在しており、受給できないケースも多々あります。さらに、採択された後もお金の使い道の報告義務があるなど、受給するための要件が非常に煩雑となっているなども補助金の特徴の一つです。また申請期間にも注目していただきたいのですが、助成金の場合、長期にわたり申請が可能であることがほとんどですが、補助金の場合、受付期間が一ヶ月程度で終了することもしばしば。

一方で、各自治体(都道府県、市区町村)が独自に補助金、助成金制度を設けている場合も多くありますので、受給できる可能性があるものは多岐にわたります。そのため、自分がどの助成金を活用できるか、そもそもどんな助成金があるかを知らない、また手続きが煩雑ということで助成金の存在自体は知っているものの、利用されたことがない経営者の方も多いのではないでしょうか。

また意外と多くの方が勘違いされていることですが、助成金は売上として計上しません。営業外収益(雑収入)となりますので、例えば売上1000万円、営業利益100万円の企業でしたら、助成金は営業利益に相当するものとなるため、例えば、数百万円受給できた場合のその受給額が企業に与えるインパクトは非常に大きなものになります。また助成金は消費税法上の不課税売上となり、消費税の課税対象とならない点等、助成金を活用した経営改善は企業にとって非常に有益だといえます。

 

うちの会社はいくらもらえるのか

助成金コーディネートのご説明をお願いします。

弊社が運営する助成金コーディネートは「従業員数」や「経営方針」などのいくつかの質問事項に答えると、助成金(年間3000種類発表)のデータベースから自社に合った最適な助成金を紹介するというサービスです。システムによって受給確率と効率を加味した上で助成金をご提案する、いわば“助成金ノウハウ×IT”で実現できました。もちろん、コーディネートした各助成金の詳細説明や、社労士の独占業務である助成金申請までトータルサポートします。

 

 ■助成金コーディネート(受給額診断:無料)

https://jcoordinate.triport.co.jp/

 

トータルサポートとは?

適切な助成金を紹介するだけでなく、弊社の全国にいる提携社会保険労務士(以下、提携社労士)が助成金申請書の作成から申請まで代行します。

ただし、本当の意味でお客様目線に立った場合には、上記のサポートだけではもの足りない部分があります。それは後述する、弊社独自の労務監査という仕組みにありますが、真のトータルサポートだといえるためには、労務監査を行うことが必要不可欠です。

では労務監査とは何か、を説明する前に助成金の趣旨、存在意義についてお話しできればと思います。

助成金は、雇用創出や人材育成、労働環境改善等、国や都道府県等の様々な政策を推進する目的で制度化されており、それを管轄しているのは主に厚生労働省となります。つまり受給にあたっては、労務違反していないことが大前提であり、仮に労務違反があった場合には、その時点で助成金の受給はできません。ですから、助成金の受給で一番重要な要件は労務違反をしていないことなのです。特に中小企業の場合、労務管理が社内で整備されていないことも少なくないため、いかに労務違反を解消できるかが受給できるかのポイントとなりえるでしょう。

そこで労務監査のお話に戻りますが、弊社では助成金のご提案、申請サポートだけのサービスとするのではなく、企業が抱えている労務違反を改善しつつ、助成金受給確率を向上させるための弊社独自の労務監査という仕組みを用意しています。

また、労務監査は受給確率の向上だけでなく、そもそも企業が抱える労務リスク低減を目的とした仕組みとなっており、法令順守はもちろんのこと、労使間トラブルが発生しないような社内制度のご提案まで可能となっています。例えば、就業規則等の各種社内規定のチェック、法定3帳簿といわれる労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の整備、また、企業が従業員に残業させる際に必須となる「時間外・休日労働に関する協定届」(通称36協定)の労働基準監督署への届出等の確認などを行います。さらには気付かないうちに発生してしまった残業代の未払いへの対応にも徹底しており、助成金申請時に最も問題となりやすい労務違反として賃金支払い関係の労務違反が挙げられ、助成金にフォーカスしながらも労務まわりの経営改善に貢献できるサービスとして構築しています。

よって、弊社の助成金コーディネートを利用いただく場合は、必ず以下のようなフローで助成金申請を対応しています。

・助成金診断(必要事項の回答)
・適切な助成金の紹介
・お申し込み
・労務監査(トライポート社内の社会保険労務士(社内社労士)チーム)
・労務改善の提案、是正指導
・助成金の申請(全国の提携社労士が申請)

もちろん、「助成金をもらいたいから」というその場限りの労務改善では本当の意味での経営改善にはなり得ません。昨今、残業など労務に関して社会の目が厳しくなっております。

社会的な評価や企業ブランドを守るという意味でも、クリーンな状態を保ってもらいたいですし、何より企業で働く従業員が働きやすい労働環境を用意することで、企業の生産性向上に繋がる仕組みを、企業様に根付かせる目的でもサポートさせていただいております。

現在、民法改正に伴う残業代未払い発生時における、従業員による残業代請求権も現状の2年から5年になる議案も挙げられています。万が一、現時点で残業代未払いが発生しているのであれば、過去5年間、かつ全社員の残業代を一括で清算しなければならない場合等を想定すると、最悪の場合、倒産してしまう可能性も否定できません。今から労務まわりの整備をしておくことは、経営者にとって非常に重要なミッションだといえます。

 

助成金を専門に扱っている社労士は多いのでしょうか。

助成金に精通している社労士は、社労士業界全体でも10%いるかどうかといわれているので、おそらく少ない方だと思います。なぜこれだけ助成金関連の業務が不人気かというと3つの理由が考えられます。

まず、膨大な数のある助成金を把握することが困難であり、かつ毎年助成金の新設・廃止、統廃合があるうえ、受給要件も変化するという制度なので、1社労士の能力だけでは対応しきれないというのが現実です。すべてを把握し受給効率まで考慮したうえで、クライアント企業に合った助成金を提案するということはなかなか難しいのかもしれません。

ほかには、企業様の助成金申請を代行する場合、万が一、助成金を受給ができなかったときのリスクが懸念されるということも大きな要因の1つとしてあります。助成金申請者の目線では助成金は要件を満たせば必ずもらえるお金という認識ですから、もし仮に不支給であれば、本来支給されるはずのお金を賠償請求されかねないので、社労士にとって非常にリスクが高いと判断される傾向にあります。

最後に申請する手間が多いことです。先ほども述べましたように、助成金の申請でもっとも基本的かつ大事な要件は、労務違反をしていないことです。この点について、もし労務違反が内在している企業の助成金申請を担当することになった場合、社労士が労務違反を是正し、助成金申請できる状態にするのは非常に手間がかかってしまいます。

もっとも、私たちは上記のような、今まで社労士業界でも嫌がられていた業務こそ、お客様はもちろん、助成金申請を代行する社労士にとっても、そして国にも喜ばれる仕組みとして、助成金コーディネートを運営しています。先ほど述べた内容と重複しますが、毎年改定される約3000種類の助成金に対応したデータベースを保有し1社1社に最適な助成金をご提案し、かつ申請するうえで非常に重要となる労務違反への対応も私たちが行います。

このような仕組みを構築しているため、結果として提携社労士側にかかるコストを大きく削減でき、料金面でも業界平均の報酬が助成金受給額の20~30%であるところ、弊社では申請助成金額の10%という低コストを実現しています。

 

提携社労士の方はどのような方なのでしょうか。

北は北海道から南は沖縄まで、日本全国にいる助成金に精通した社労士の方々です。

これは私のこだわりの1つですが、提携するにあたっては、必ず直接対面でお会いするようにしています。実際に顔を合わせることでどのような社労士なのか分かることが多く、現在は毎月、多い時は毎週のように全国各地に出張して訪問していますね。助成金に関する知識・経験を有していて、助成金申請サポート中でお客様を放置せず、可能な限り迅速な対応を行える責任感がある社労士かどうか等を見極めると同時に、私自身も見てもらって双方が納得し、信頼関係を構築することでより良いサービスになると思っています。

 

きっかけは善意から

助成金コーディネートのきっかけを教えてください。

もともと弊社は、Amazon社(アマゾンデータサービスジャパン株式会社)のご協力もいただきながら、クラウドストレージサービスであるCloudnauts(クラウドノーツ)の販売をしていました。会社経営における、「ヒト・モノ・カネ」のモノをソリューションすることが可能な商材で、営業している私たちも自信を持って販売していました。

しかし中小企業のお客様が多い中で、システムを導入するための資金を捻出することが難しいということでなかなかクロージングできなかったことがよくありました。「商材は良いから、資金が調達できる来期に導入したい」と先延ばしになってしまうケースも多々あり、お金の話になると私たちもどうしようもなく、諦めかけていたのです。

そんなときに助成金の存在をふと思い出したんです。学生時代に社労士を取得したこともあって、助成金について参考資料を読み漁り、社労士仲間へのヒアリングや、行政への問い合わせ、すでに助成金事業をされている他社様にもアドバイスを頂きながら、いろいろ調べてお客様にご提案していきました。すると経営者の方から、ものすごく喜んでいただきまして、せっかくならこの際、すでに世の中にある“決まりきった助成金の提案や書類作成・届出代行”のような画一的な助成金サービスに止まらず、今までにない別の形で、さらにお客様目線、実際に申請する社労士目線、助成金制度を考えている国目線で、誰もが喜ぶ“新サービス”としてリリースできないか、と思ったことがきっかけでした。

どんな経営者も一度は補助金や助成金を耳にしたことはあるのですが、使ったことがないという方が多いのが現状です。理由は、「手続きが分かりづらい」、「自分に合った助成金がなにか分からない」、「確実にもらえるわけではない」、「自分の本業を止めてまで申請する価値はあるのか」、という点に尽きると思います。また、いざ申請する際も、労務違反などが発覚し受給不可となってしまうリスクも懸念されます。

これら全て解決できるサービスを作りたいと考えることは自明でした。

 

企業の課題を解決することが自分だったらいいな

コーディネートという名前にこだわりが?

そうですね。企業様が抱える課題は様々だと思います。最適解は1社につき、ひとつしかありません。汎用的なパッケージ商品・サービスだと、どうしてもお客様の方がサービス、システムにあわせる必要がでてきます。私たちは、「ヒト・モノ・カネ」で1社1社にあった最適解をコーディネートすることをミッションに掲げています。クラウドノーツはモノの中の1ソリューションで、助成金コーディネートはカネの中の1ソリューションであるように。

今回お話させていただいた助成金コーディネートは、上記ミッションを達成するための1歩目にすぎません。助成金を受給するまでに社内整備を行い、受給後はその受給した数百万円のお金で新たな設備投資・人材投資を行い、その結果、生産性を向上させることができ、経営者、労働者、行政、あらゆる立場の人にとってメリットのある好循環を生み出す。

上記を実践していく中で「ヒト・モノ・カネ」を複合的にコーディネートした解決策を、多くの中小零細企業様にとって有益な経営スキームとしてご提案していきたいという想いで日々活動しています。

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投稿者について
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竹澤 駿

2017年に行政書士登録と同時に、行政書士法人jinjerの立ち上げに参画し、現在に至る。 外国籍の方の就労ビザの取得支援に特化し、サービス業を中心に一部上場企業から中小企業までの幅広い顧客を持つ。年間約300件の申請を手がけ、昨今は法改正のあった「特定技能」へも対応し、人材会社の新規事業の立ち上げ支援も実施。

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