こんにちは!起業サプリジャーナル編集部です!
CTO経験者のお話ってあまり聞く機会が少ないですよね?
そんな貴重なお話を聞くことができるということで、今回は大企業からスタートアップへ挑戦した2名のCTO経験者のパネルディスカッションのレポートをお届けします。
参加者の大半が大企業にお勤めの方で、スタートアップへの関心度が高い方ばかりでした。また、CTO経験者のイベントだったため、エンジニア職の方が多かったように思います。
セミナー概要
タイトル:大手企業からスタートアップへの挑戦!!~創業間もないスタートアップCTOが語る”挑戦する意義”~
主催者:株式会社ネットジンザイバンク
場所:Startup Hub Tokyo(スタートアップハブ東京)
イベント登壇者
星 永亮氏
ユアマイスター株式会社CTO
学生時代より楽天社にてインターンを経験後、2010年新卒で入社。入社当初は楽天カードの会員向け専用サイト「楽天e-NAVI」の開発を担当し、2013年12月に全社員対象の月間MVPを受賞。新サービス開発カンパニーインキュベーションオフィスにおいてテクニカルディレクターとして、飲食店検索アプリ「Rakoo」等を担当。主に企画立案・運用マネージメント・プロダクトマネージメントに従事。現在はユアマイスター社にてCTOとして活躍中。
戸村憲史氏
株式会社ネットジンザイバンク ヒューマンキャピタリスト兼技術開発責任者
2007年に大手SIerに就職。SEとして上流から下流まで一通りを経験し、クラウドサービスの開発から運用までを一人で担当する中でサービスをつくるところからを経験したいと考え、2013年にiettyに入社。CTOとしてiettyの開発全ての責任者として従事。現在はCTO経験を活かし、ネットジンザイバンク社でヒューマンキャピタリストとエンジニアを兼務。
パネルディスカッションのテーマは
いずれも大企業、スタートアップと両方の経験があるお二人だからこそのテーマでした。また、大企業からスタートアップへ転職することに対して周囲から反対を受けることも少なくないようですが、周りの反対を押し切ることができた理由や奥さんへの説得方法など赤裸々に語られていました。
スタートアップはスピードと人間関係が大事!
はじめのテーマは、「大企業とスタートアップのそれぞれ良い点、悪い点について」です。
大企業で金融系システムの開発を担当していた星氏は、「一つの案件リリースに対して会議が多く、プロジェクトの規模が大きくなるにつれて会議は増え、リリースまでのスピードが落ちていました」と当時を振り返りながら「その点、スタートアップは比較的少人数で意思決定も早いため、断然リリーススピードが速いです!」と開発スピードの点でスタートアップの環境を推されていました。
一方で、スタートアップでは、決定に対する責任は重く、リソース不足に悩むこともしばしばとのこと。「大企業であればリリース日に間に合わないとき、他部署が協力してくれたり、一時的に外部のベンダーの力を借りることができます」と言われるように、リソースの点では大企業に分があるようです。
また戸村氏は、人間関係について、「人間関係が悪化してしまうと、大企業では部署異動など解決策がありますが、スタートアップは人数が少ないため解決策が少なく、結局辞めることになってしまうケースもあります」と両者を比較されていました。
まとめ
大企業・・・リソースが豊富。危機的状況の回避が可能。
スタートアップ・・・意思決定が早い。良好な人間関係の構築が必須。
当事者意識を持っていて当たり前!?
スタートアップで活躍できるエンジニアとはどんな方でしょうか。
当事者意識というキーワードを中心に話題がすすみました。
星氏は、「スタートアップでは当事者意識を持つ人たちのエネルギーによって、良いサービス・製品が作られると私は思います!」と、スタートアップでの開発現場の熱量の高さについて話し、「自分もそういった人間でありたい」と振り返っていました。
戸村氏も同様に、「スタートアップの環境では上司から業務の細かい指示を与えられることは少ない。自分で考えて、行動する人間が重要になってくる」と、スタートアップの環境では当事者意識を持っていることが当たり前であると強調していました。
まとめ
スタートアップを楽しむコツは、当事者意識を持つこと。
当たり前が役に立つ!大企業での経験が活かせた場面は?
続いて「大企業での知見が活きた瞬間はあるか?」というテーマです。楽天社時代の取組みをユアマイスター社でも実践している星氏が事例を交えて紹介していました。
「楽天社には朝会(朝礼)という文化があり、日々のKPIの進捗など情報共有を大事にしていました」と、当時を振り返る星氏。「スタートアップのように比較的人数が少ない場合は、朝礼がなくとも日頃から話し合う機会が多いので情報共有することができます。しかし人数が多くなると、自分と関わらない人の業務の把握が困難になります」と話していました。ユアマイスター社の人数が増えてきている現状を、朝礼を採り入れることで対応しているそうです。
まとめ
大企業での取組みをスタートアップでも活用できる場面がある。
社長との相性が重要!スタートアップを選ぶなら社長をみるべき?
次のテーマは、「なぜ今の代表、会社を選んだのか」です。このお話を聞いて、ユアマイスター社の星野社長の人柄に私は興味を持ちました。
星野氏と楽天社在籍時の同期であった星氏は、星野氏について「初めの頃はクールでイケメンで少しとっつきにくい」という印象を持っていたそうです。また、「職場も離れてしまい、あまり話した記憶がありません。ただ、フェイスブックは繋がっていたので、彼の状況について知っていましたね。楽天社を辞めたこともフェイスブックで知りました」と、当時のことを懐かしそうに語っていました。
星氏がユアマイスター社を選んだ理由は、星野氏への「ひとめぼれ」でした。ユアマイスター社に誘われたときのことを「彼は堂々と自分のビジョンを語っていて、素直にかっこいいと思いました」と振り返られていました。
戸村氏はietty社を選んだ理由について「“この人と合うな”というフィーリングが大事」と社長との相性を重要視していました。
「スタートアップを選ぶ基準は、サービスやプロダクトが好きという想いも大事」と述べつつも、「スタートアップではサービスやプロダクトの変更が多々あり、また大企業と違って、毎日のように社長と顔を合わせるので、人を軸にして会社を選ぶべきです」と戸村氏はスタートアップならではの職場環境について触れていました。
まとめ
プロダクト愛も大事だが、一緒に働く人との相性を基準に会社を選ぶことを推奨。
記念日は大事にすること!奥さんの説得は?
続いては赤裸々なテーマ「奥さんの説得方法」についてです。少し照れながら話すお二人は、まぎれもなく愛妻家でいらっしゃるようです。
星氏は結婚前から奥様に「将来はスタートアップで働きたい」と伝えていたそうです。また、「転職するときは妻の機嫌が良い時を見計らい、経済面や転職先の仕事など熱意を持って説明したのを覚えています」とも話していました。
説得方法として、「前もってスタートアップに興味があること告げておき、転職するときにギャップを減らしておくこと」をお勧めしている星氏でした。
さらには、日頃から記念日などを大切にし、プレゼントを渡すことなどで夫婦円満を築いているようです。
一方の戸村氏は、常日頃から奥様に仕事の話を共有しているとのことです。「共有することで、奥さんも一緒に働いているような感覚になり、同じ目線で話すことができます。また、仕事のことで悩んでいるときに妻が冷静にアドバイスくれるので助かります」と、奥さんにも当事者意識を持ってもらっていると話していました。
そのあとは、スタートアップへの転職を決意する時期に焦点を当てたお話になりました。「子供の成長に合わせた区切りでスタートアップへの転職を決意する」という点でお二人の認識が一致し、特に子供が小学生になる前を一区切りにして転職を決意された様子でした。
まとめ
奥様への“感謝の心”を忘れずに!
家庭がある方の転職のタイミングは、子供の成長に合わせて!
質疑応答
ここからは質疑応答の時間になりました。会場にはスタートアップへの転職や起業に興味を持った方が多かったため、みなさん積極的に質問していました。いくつかご紹介したいと思います。
周囲の反対を押し切っても転職した理由とは?
星氏、戸村氏ともに、上司や周囲の方から転職を止められたとのことでした。やはりスタートアップへ転職することは、収入や雇用が不安定になるという点は否めません。
しかし、応援してくれる転職先の人や、同じ目線を持つ人(当時、戸村氏はスタートアップ関係のイベントに参加していた)との相性が合ったため、転職を決意。スタートアップでは、なによりも人間関係が大事であると繰り返し強調されていました。
まとめ
誰と働きたいかが重要である。
最低限必要な能力とは何か?
「スタートアップで上手くやっていくために最低限必要な能力はありますか」という質問。戸村氏は、「モノが作られる過程を知っていること」を条件に挙げつつ、ご自身の体験から、「働きながら技術を身につければよい」とお話していました。しかし、働きながら技術を身につけるのはとても大変であるとのこと。戸村氏は、寝る間を惜しんで勉強していたそうです。
星氏は「ブラウザでURLを入力したときに、画面に表示されるまでの過程を説明できるかどうか」を採用面接時に聞いているそうです。
ユアマイスター社の面接に行く際は、ぜひ参考にしてください!
まとめ
工程や過程の全体像を把握していること。
必要な技術は、働きながら身につけることが可能!
エンジニア注目!コードはきれいに書くべき?
「ピボットする前提でプロダクトをつくっているのでしょうか」という質問です。
スタートアップでは、プロダクトの変更が多々あるためコードを書き足すことが多く、初めからきれいにコードを書くことができません。戸村氏は「プロダクトを早く出して、結果を見て、ダメなら作り直す」というサイクルを回すことが重要であると強調していました。
まとめ
「プロダクトを早く出して、結果を見て、ダメなら作り直す」
というサイクルを回すことが重要。
周りを鼓舞できる力がCTOには必須!?
スタートアップでのCTOの役割とはなんでしょうか。やはり会社によって異なるようです。お二人が考えるCTOの役割とは?
星氏は、「一般論で話すと、CTOの役割は定義されていません。私の役割は経営陣と一緒に事業の戦略を話し合い、その中のプロダクトの成長戦略の責任を持つこと」と、ユアマイスター社でのCTOとしての役割についてお話していました。
また、多くのCTOとお会いする機会があった戸村氏は次のように述べていました。
「事業が上手くいかないことが多々あるなか、ネガティブな状況でも周りを鼓舞できる力もCTOに求められる能力だと私は思います」
まとめ
CTOに求められる力は、技術力と周りをポジティブにできる力!
最後に
いかがでしたでしょうか。今回のセミナーはスタートアップにチャレンジする前に聞きたい内容でした。
質疑応答のあとに開催された懇親会で、いろいろな方に感想を聞いてみたところ、“CTOのイベントはあまり機会がないので有意義でした。また本音が聞けてよかったです”と満足されている方が多かったように思いました。ぜひ、次回以降に開催されるイベントにご参加されてみてはいかがでしょうか。