こんにちは。 社会保険労務士の近藤由香です。会社を作るというとやることがいっぱいあります。会社の定款を作る、登記をする、税務署に届けを提出などです。そして皆様からご質問をよく受ける項目があります。それは「社会保険はどうしたらいいでしょうか」ということです。
会社を作ったら、社会保険はどうするの?
起業する前、会社員時代には健康保険組合や全国健康保険協会で健康保険、厚生年金に加入していたと思いますが、自分で事業を起こした場合はどうするのでしょうか、ということです。
結論は、「自分で起業した会社を社会保険に加入させて(適用させて)、社長はその会社の被保険者になる」ということです(社会保険について新規適用させて、本人は被保険者になるということ)。
社会保険を調べると、確かに社会保険の対象になるのは「株式会社などの法人」と書いてあります。ですので会社の代表者が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することは間違いありません。ではまだ起業したてで報酬がない場合も加入しないといけないのでしょうか?
起業したてで役員報酬はない、その場合の社会保険(健康保険・厚生年金)は??
起業したてで株式会社にしたはいいけれど、役員報酬がまだ支払える段階ではない(従業員は0人、ひとり社長の状態)という起業したての会社は案外多いものです。その場合も健康保険・厚生年金は自分の会社で入るのでしょうか。実は報酬が0の場合健康保険・厚生年金は、入ることができません。会社としても適用をさせることもできません(一人社長で従業員は0人の場合)。よく考えれば分かることではあるのですが、健康保険料、厚生年金保険料は給与(報酬)から天引きされます。これは会社員時代と変わらない訳です。ですので、天引きする前の報酬(給与)がそもそもない場合は、保険料が天引きできないので、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入させることができないのです。
確かに調べると、株式会社は社会保険に加入しないといけない、会社の代表者であっても加入しないといけない、と記載されていますが、起業したてで報酬が発生していない状態(従業員は0人、社長1人だけの状態)では入ることが出来ないのです。報酬が発生してから健康保険・厚生年金を適用させることとなります。
それでは報酬が発生する前はどうしたらいいのか?
それでは、このように起業したてで報酬はなし、従業員もいない、その場合はどうしたらよいでしょうか。
それは2つの選択肢があります。
(1)国民健康保険・国民年金に加入
(2)会社員時代の健康保険の任意継続・年金は国民年金に加入
上記の2つです。
(1)はお住まいの市区町村で加入するもの。
(2)は今まで勤めていた場合は以前の会社で入っていた健康保険に継続して入るというものです。
ではどちらがいいのでしょうか。それは2つの観点で選択しましょう。
まず一つは、会社に勤めていた場合、健康保険組合に加入していた場合、その組合の保証内容が国民健康保険より充実している場合が多いです。健康保険組合の内容を確認してみましょう。
また、もう一つは保険料の違いです。会社員時代は健康保険料、厚生年金保険料は会社と本人と保険料を折半して支払いをしていました。ですが退職後は会社負担分も自分が支払うこととなり、一般的には保険料は負担が大きくなるケースが多いです。このことから、任意継続をした場合の健康保険料を組合に問い合わせをし、保険料試算をして、国民健康保険についても、お住まいの市区町村に問い合わせをして保険料の比較を行いましょう。その上で国民健康保険にするか任意継続にするかを検討しましょう。