オープンイノベーション協議会(JOIC)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、平成28年7月7日にオープンイノベーション白書を取りまとめました。
オープンイノベーション白書について
【白書策定の背景と目的】
日本企業を取り巻く競争環境が厳しさを増す中、自社のリソースのみで、新たな顧客の価値を生み出すイノベーションを起こすことはもはや不可能であり、世界中に広がるリソースを活用するオープンイノベーションは、企業にとって必須の戦略である。 「オープンイノベーション白書」は、こうした背景を踏まえ、我が国におけるオープンイノベーションの取組の現状を可視化し広く共有することを目的に、関連するデータを集約し、また、既に試行錯誤を繰り返しながらオープンイノベーションによって一定の成果をあげている企業の事例等をまとめたものである。
【オープンイノベーションの定義】
オープンイノベーションとは、 組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことである (Henry W. Chesbrough, 著書『Open Innovation』(2003年)。
【トピックス】
3年前、10年前と比べて、外部連携が活発化している企業は4割強であり半数に達しない。
また、外部コラボレーションの状況を評価すると「推進奨励」のみが高く、スローガン先行の企業が多い可能性がある。
10年前と比べて、OIの取り組みが活発化している企業の方が、外部との連携割合が高いが、それでも自社単独での開発は6割弱であり、未だ自前主義の傾向が強い可能性がうかがえる。
【課題】
10年前と比べてOIの取り組みがほとんど変わらない ⇒ 「マインド面での遅れ」が課題
10年前と比べてOIの取り組みが活発化している ⇒ 「実行時のプロセスやリソース」が課題
【オープンイノベーション推進事例】
KDDI
- シード段階ベンチャーを対象としたアクセラレータープログラム「KDDI∞Labo」 。
- アーリー・ミドルステージ向けのマイノリティ出資を行う「KDDI Open Innovation Fund」 。
- KDDIの中核事業とシナジーの高い企業に対しては、 本社で資本・業務提携や買収を実施。
セコム
- オープンイノベーション推進担当の設置 • 外部連携に関する情報の一元集約化、OIに関して 部門横断的な取り組みの加速。
ソフトバンク
- 革新的なソリューション・技術を国内外から募集し、パートナーとして共同で事業化・商用化を目指す 「Softbank Innovation Program」を開始。
グーグル
- 10~20年後の世界を見据えた革新的技術・製品開発に取り組む「Google X Lab」 。
- CVC機能である「Google Ventures」設置。
- 社会課題解決のためのソリューションを募るオンラインプラットフォーム「Solve for X」。
P&G
- OI推進のため、外部との協力によるイノベーションを50%にする高い目標設定。
- 製品開発上の技術ニーズを公開し、広く技術シーズを募集するサイト「コネクト・アンド・デベロップ(C+D)」。
参考:経済産業省オープンイノベーション白書(平成28年7月7日)
オープンイノベーションについて最近出版された書籍
オープンイノベーションに関する最近の書籍として『実践するオープンイノベーション』があります。
『実践するオープンイノベーション』トーマツベンチャーサポート著2017年5月29日発行。
≪主な内容≫
Chapter1 日本企業のオープンイノベーションはなぜうまくいかないのか?
Chapter2 オープンイノベーションを受け入れる土壌づくり
Chapter3 オープンイノベーションの仕組みを構築する
Chapter4 オープンイノベーションの仕組みを軌道に乗せる
Chapter5 ベンチャー企業とうまく連携する
Chapter6 取り組み始めた業界の現状を知る