「一週間の2日を楽しみに待つ人生よりも、7日全部を楽しむ人生に。」株式会社ライトアップコーヒー 川野優馬氏【起業インタビュー119回目】|起業サプリジャーナル

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「一週間の2日を楽しみに待つ人生よりも、7日全部を楽しむ人生に。」株式会社ライトアップコーヒー 川野優馬氏【起業インタビュー119回目】

公開日:2019.10.11

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都内を中心に計3店舗のコーヒーショップを展開するLIGHT UP COFFEE。駅前から離れた住宅地にありながらも、美味しいコーヒーを求めて沢山の人がお店に訪れる。「美味しいコーヒーを通して、一日を明るく過ごして欲しい」という店名に込められた想いに共鳴するかのように、商品を手に取ったお客さんは、お店で会話を楽しんだり、次の目的地に向かったりと各々の自由な時間に“コーヒー”を添えている。同店を立ち上げた起業家 川野優馬氏の初めの起業は学生時代に遡り、そこからリクルートでの経験を経て、現在はLIGHT UP COFFEEの経営に専念している。「学生起業か?社会人を経て起業か?」一長一短の議論がある中で、それぞれの立場を経験した同氏にお話を伺いました。

 

 プロフィール(株式会社ライトアップコーヒー 代表取締役 川野優馬氏)

2014年慶應義塾大学在学中に東京吉祥寺にLIGHT UP COFFEEをオープン。2015年に株式会社リクルートホールディングスに新卒入社。UXデザイナーとして働き、2016年に退社。その後京都店と下北沢店をオープン。初めて行ったバリ島のコーヒー農園で、もっと美味しくできる可能性を感じ、インドネシア、ベトナム、タイ、台湾、ラオス、ミャンマー、ネパールなど、東南アジアのコーヒー生産地をまわり、生産の改善や流通のサポートをする。「美味しさ」を軸にした、消費と生産の正の循環をつくり、農園の営みを持続可能にし、美味しいコーヒーを増やすことに尽力している。

 

株式会社ライトアップコーヒーについて

ー 事業内容について、教えて下さい。

 

LIGHT UP COFFEEでは、産地や生産者のトレーサビリティーが分かるシングルオリジンコーヒーを軸に、主に3つの事業を展開しています。

・コーヒーショップの運営(東京2店舗・京都1店舗)

・シングルオリジンコーヒーの豆販売

・コーヒーの魅力を知ってもらうセミナーの企画と運営

 

ー コーヒーショップとしては、どんな特徴を持っているのでしょうか?

 

取り扱っている豆は、シングルオリジンコーヒーと呼ばれる、農場や生産者、品種や精製方法などが分かる形で仕入れたコーヒー豆のみを提供しています。

店内の作りは【コーヒーにフォーカスする空間】を心がけていて、

例えば、カウンターのテーブルはあえて幅を細くしていて、13インチのノートパソコンをギリギリ広げられる程度の幅にしています。私たちが創る空間は、サードプレイス(第三の居場所)ではなく、「コーヒーを飲みにいく場所」として捉えて欲しいため、あえて他のモノを極力置かない様な作りにしています。

他には、お客さんとなるべく近い距離感で会話が出来る様、バリスタが立つ位置はお客さんより低い位置になる様に店舗を設計したり、お客さんに一言、二言でも話しかける様にバリスタには接客に自由度を持たせて、コーヒーを知ってもらう・興味を持ってもらう様な接客を意識しています。

ー なるほど。LIGHT UP COFFEEという名前には、どんな想いが込められているんですか?

 

LIGHT UPという言葉自体は、“明るく照らす”という意味です。

私自身は、元々大手チェーンのカフェでアルバイトをしていて、コーヒーが苦くて得意じゃなかったところからスペシャルティコーヒーに出会い、そこから印象が変わり現在に至るのですが。未だにコーヒーの持つイメージとして、“残業のお供”や”眠気覚まし”という印象で飲んでいる方も少なからずいるのかと思います。そうではなくて、本当に美味しいコーヒーを飲むことで、その人の一日の始まりが少しだけ明るくなったり、視界が開ける、一段階彩度が上がる、といった無意識に訴えかける様なことが出来ると思っています。

「美味しいコーヒーを通して、一日を明るくしてもらいたい」もっと言えば、生活や暮らしを明るくしてもらいたい、そう思ってLIGHT UP COFFEEという名前を付けました。後は、浅煎りやテイスト(味)を表す意味での「LIGHT」や、一日の運気を上げるという意味の「UP」なども込められています。

 

ー “LIGHT UP=照らす”という意味には、沢山の想いが込められているんですね!

 

結局は【店舗】を持たないことには大学生の活動で終わってしまうと思い、学生のうちにコーヒーショップを立ち上げることに決めたんです。

ー そもそも、川野さんがLIGHT UP COFFEEを始めようと思ったキッカケは何だったのでしょうか?

 

大学生の時にカフェでアルバイトをしながらも、コーヒー=苦いというイメージを持っていた自分でしたが、今では有名店となっているフグレントウキョウやONIBUS COFFEEといったコーヒー屋と出会い、自分でも飲める様なフルーティーなコーヒーとの出会いに衝撃を受けました。(なんでこんなに苦くないのか?)という、「味」に興味を奪われてしまい、そこから夏休みを利用してヨーロッパにコーヒー屋巡りの旅に出たんです。

 

ー えー!元々、コーヒーが得意じゃなかったんですね。

 

そうです。ただ、ヨーロッパでは尋常じゃないほど毎日コーヒーばかり飲んでましたね。カフェイン取り過ぎて、何回か吐いたり・・しかも、特にコーヒー屋をやっているわけでもないのに、生意気に現地のカフェにアポなんか取っちゃって。

 

ー 一同:(笑)

ー 取り憑かれたような感じですね。

 

歩けなくなるくらい飲んでましたね(笑)

現地のおもてなし力もとても高くて、メニューの上から下まで試飲させてくれたり、なぜ自分たちがカフェをやっているのか?といった熱い想いまで話してくれて、そこで既存の流通の「負」を知ったんです。

 

ー 流通の「負」というと?

 

それまでの一般的なコーヒーの流通は、つくった豆が生産者関係なく混ぜられ、生産地やグレードの区分で市場に卸され、安く買い叩かれているという状況になっており、生産者のこだわりや努力が最終的には混ぜられて終わり。つまり、報われない様になっていたのです。

 

ー なるほど。

 

農家から直接買い付けることで、彼らにも高い報酬が支払うことが出来、生活が潤い→モチベーションが上がる。飲み手も、これまでとは違ったコーヒーとの出会いによって生産者のファンになって、消費量も上がって、こちらからの買い付け量も増えるといった、良い循環が作り手と飲み手で構築できることを単純に「おもしろいな」と思ったんです。そこから、そういったコーヒーが持っている背景や味のポテンシャルを『伝えたい』に気持ちが変化していったんです。

 

ー そこから、お店を立ち上げたんですか?

 

いや、帰国して初めにやったのは銀行から100万円ほど借りて、焙煎機を買って家で豆を焼きました。

 

ー (笑)

 

最初は、無知過ぎてメガバンクの赤い銀行の方にいってしまい門前払いを受けるのですが、「信用金庫ってのがあって、事業計画をちゃんと作れば、もしかして借りられるかもよ」というアドバイスを貰ったので、そこから販売計画をつくって信用金庫にいき、借りたお金で買った焙煎機を使うため、実家のキッチン横に穴を開けて、小さな焙煎場をつくりました。

 

ー もう無茶苦茶ですね!笑

 

そこからは、オンラインショップを立ち上げてみたり、知り合いのカフェに営業をして豆の卸先を開拓してみたり、試行錯誤しながらやっていたのですが、結局は【店舗】を持たないことには大学生の活動で終わってしまうと思い、学生のうちにコーヒーショップを立ち上げることに決めたんです。それが現在のLIGHT UP COFFEE 吉祥寺店ですね。

※こちらは吉祥寺店、立ち上げ準備時の写真

 

社会人経験を積むのは今しか出来ない経験だと思ったし、イメージはついてないけど、なにか繋がる気がしていました。

ー そこから一度リクルートに就職されるんですよね?既にお店を構えながら、就職を決めたのには、どんな意図があったのでしょう。

 

自分はこれからも【コーヒーに人生を捧げる】というのは決めていたのですが、「どうやったらもっと色んな人に知ってもらえるのか?」を考えた時に、一度社会人として経験を積むのは、今しか出来ない経験だと思ったし、イメージはついてないけど、なにか繋がる気がしていました。

 

ー そこからリクルートを経て、改めてLIGHT UP COFFEE一本でやっていくに至った経緯やキッカケには何があったのでしょうか?

 

純粋にマーケットのポテンシャルが、まだまだ大きくやりがいがある感じたのと、

在職中はずっとITの仕事をしていたのですが、やっぱり自分自身がリアルや体験を提供するが好きで、目の前の人が「美味しい」と言ってくれたり、感動を与えられることが、これからテクノロジーが発達していく中で、より重宝されるなと感じていました。

最終的には、(こんなに若くしてコーヒーのことを沢山知って、海外まで行ったんだから自分がやるしかないよな)という半分使命感にかられてましたね。お店を立ち上げた時から持っている『日本のコーヒー文化を拡張・アップデートしたい』という想いは今も昔も変わっていません。

 

学生起業か?社会人を経て起業か?それぞれのメリットについて聞いてみた

ー 結果的に、「学生起業」と「社会人を経て(再び)起業」の両軸を経験されたことになったかと思いますが、それぞれが持つメリット・デメリットなどあれば教えてください。

 

まず学生起業の良い点として、「応援されやすさ」「注目されやすさ」はあると思います。例えば、今と同じことを30代後半からやるより、学生のうちに勢い余ってやる方が【発信にピュアがある】と思います。立ち上げ当時は、「大学生がはじめた」というバリューで雑誌やテレビの取材を受けるといった機会もありました。そういう意味でも、注目されやすいし、熱意も伝播しやすいと感じています。反面、一歩間違えれば未熟なパッションやクオリティでもそれが伝わってしまうというデメリットもあると思います。

 

ー なるほど。「社会人を経て起業」のメリット・デメリットはどうですか?

 

事業を考える上では、社会人としての経験を積むことで、大人の視座でモノゴトを考えられたり、学生では動かすことの難しい大きなお金を動かす経験が積めたり、より先を見据える力をつけて事業に取り組める様になるのはメリットだと感じます。

そして、何よりそれを人のお金で学べるというのは、とても大きなことだと思います。

一方で、良い会社であればあるほど環境や待遇に慣れてしまうので、そこからスタートアップをやるって相当大変だと思います。自分の上がった給与や市場価値を捨てて、起業するってリスクも高いことだと思うので・・始めはよくても、先が見えなくなった時に面食らうのではないかなと感じます。

 

ー 川野さん自身は、その辺り。特に金銭的に報酬が下がるということについて、不安はありましたか?

 

一時的に下がることは理解をしていましたが、それについては2つあって。

一つ目は、一時的に下がっても、こっちに振り切った方が将来的に上がるという自信がありました。

もう一つは、仮に下がったとしても、週7日のうちの5日間を耐え忍んで、残り2日を楽しみにする人生と、週7日のうち7日間を楽しむ人生があった時、振り返ったときに後者を選んだ方が、仮に下がったとしても自分自身の幸福度は絶対高いと感じました。

【一週間の2日を楽しみに待つ人生よりも、7日全部を楽しむ人生を選択した】と思っています。

 

ー 起業を考える人にとって、とても背中を押してくれる言葉を頂いた気がします!

 

ただ、決して前職が5日間苦痛だったという訳ではないことは補足しておきますね。

 

ー 一同:(笑)

 

今後について

ー 中長期的な展開についてお教え下さい。

 

今後は、「コーヒーとの新しい消費接点をつくる」「コーヒーを“楽しい”と思う体験をつくる」という観点から新たなサービスを考えています。

本当は全員に「こんなに美味しいコーヒーがあるんだ」って伝えたいんです。だけど、まだ伝えきれていない人が沢山いて、お店をやっているだけだと来てもらえるお客さんの数しかアプローチが出来ないと、そこの限界を感じています。ましてや、平日であれば来れる方も、さらに限定されてしまいます。その伝えきれていない人が沢山いる中でも、圧倒的にアプローチが出来ていないのが、“働いている人”だと思っています。

なので、これからは【オフィス向けコーヒーポットのデリバリーサービス】を展開し、”働く場所”で美味しいコーヒーとの接点をつくったり、セミナーから派生をして、実際に【農園に足を運んでコーヒーが出来る過程を体験できるツアーの企画】をしたりといった展開を考えています。

今スペシャリティコーヒーがイメージとしても持たれている「難しそう」「分かりにくい」といった印象から、単純に『楽しい』という感情から、まずコーヒーに興味を持ってもらえるキッカケを提供していきたいと思っています。

 

ー 最後に記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えてください。

 

先ほども話をしたオフィスに美味しいコーヒーを届けるサービス「WORC」を今年の5月にローンチしたので、興味のある企業様は是非お問合せください。初回限定で、まずは無料で15杯分のコーヒーをオフィスまでお届けすることもしています!(2019年9月時点)

 

ー 毎日会社でも美味しいコーヒーが飲めるのは嬉しいですね!弊社でも検討したいです。今日は有難うございました。

 

ありがとうございます。お店にも是非足を運んでください!

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