みなさんこんにちは。行政書士の宗岡です。
本日は,会社の役員と建設業許可について解説します。
建設業というのは全ての業者が許可業者(許可を持っている業者)ではない,ということをご存知ですか?
実は,事業を行う際に金額の多寡に関わらず免許が必要な宅建業とは違い,建設業は軽微な工事(例:請負金額が税込で500万円以下の工事)については,都道府県知事や国土交通大臣等の許可を得なくても請け負ってよいという例外があります。
ただ,近年では,このような軽微な工事であっても許可を持っていない業者は現場に入れてもらうことができないといったことが多くなっています。
法律上で必要とされているケースと事業場で必要とされるケースに若干の齟齬が生じているわけです。
それであれば,許可を取れば良いのではないか?と考える方も多いと思いますが,建設業の許可を取るにあたり「人」の要件が非常に高いハードルとなっています。
建設業許可を取るための要件の1つに,取締役のうち1名以上が「経営業務管理責任者(通称:経管)」としての資格要件を備えていなければならないというものがあります。
この経管は資格と表現されていますが,試験等があるわけではなく,建設業者の経営業務の管理責任者として,5年(取得をする業種以外の業種の場合は6年)以上の経験があることが要件となっています。
建築士や施工管理技士等の資格を持っているけど,この経管の要件を満たしている人は意外に少なく,実務ではこの要件がクリアできずに許可取得を諦めている業者も少なくはありません。
平成31年3月15日に「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定され,次のとおり経管の要件が変更される予定です。
建設業の許可基準のうち、五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者を置くこととする基準を、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合することに改めるものとすること。
この国土交通省令で定める基準が発表をされていないため,どのような基準が制定されるのか非常に注目がされています。
今回,建設業法が改正されることが決まりましたが,現時点では許可基準は従来のままです。
会社設立の役員を決めるときは,行う事業と許認可等をリサーチして,欠格要件等の消極的な要件だけではなく,どのような役員の設置が必要かもしっかりと調べるようにしましょう。
なお,宅建業の免許や古物商の許可申請の際は,取締役に加え監査役の身分証明書や登記されていないことの証明書,略歴書等が必要となりますが,建設業の許可申請の場合は,取締役のみで良いとされています。
各種許認可の手引等を読む際は「役員」が何を指すのか要注意をしなければなりません。