時代の消費を動かすのは女性である。
そんなことを一度は耳にしたことがある人も多いでしょう。
最年少の美容家として雑誌やメディアでも大活躍し、美意識が高いアラサー女性で「彼女を知らない人はいない」と言っても過言ではない存在のLINOME(リノミー)株式会社・代表取締役の濱田文恵さん。
女性の可能性を誰よりも信じ、キレイになれる美容アイテムを作り出し、本当にいいものだけを伝え続けるお姿は、多くのアラサー女性から支持が集まっています。
「女性を対象にした商品のマーケティングをどうにかしたい」というビジネス面のノウハウから、大切にするべきコミュニケーション面の双方を伺いました。
日本の経済を動かす女性たちのカリスマ美容家 兼 経営者の濱田さんの思考、行動プロセスをぜひマーケティングやマネージメントの参考にしてみてはいかがでしょうか?
プロフィール紹介・会社について
LINOME株式会社 代表取締役 濱田文恵氏 プロフィール
中国江蘇省出身。大学卒業後、制作会社にてWEBデザイナーを経て、通販化粧品を主軸とする広告代理店に転職。化粧品の商品企画及び販促物の制作等を担当し、通販化粧品おけるフルフィルメントのノウハウを学ぶ。その後、フリーランスに転身し、美容の専門家としても活動の幅を広げる。2017年10月、「美容をきっかけに女性の人生を豊かにし、一人一人が光り輝く世の中の創造へ」を理念に、LINOME株式会社を設立。主に美容協会の運営から、オリジナル和漢ブランド「朱華」の展開、各企業の美容コンテンツの企画制作及び監修を請け負っている。著書に『「運命をこっそり変える」(濱田文恵著・セブン&アイ出版)』がある。
#女性マーケティングの秘訣に迫る。ビックデータ以上に◯◯◯が重要
>この度は貴重なお時間をありがとうございます!最年少美容家としてご活躍をされていらっしゃる濱田さんですが、LINOME株式会社の代表としてどのような事業内容を行っていらっしゃいますか。
「小さなきっかけで一人一人が光り輝く世の中へ」ということを企業理念に、主に4つのことをしています。
1つは美容コンテンツ企画及び制作です。
もともと通販の広告代理店に勤めていたので、そこで身につけたノウハウを活かして制作をしています。
2つめは美容商品のアドバイスです。化粧品会社は男性の方も多く、利用者が女性とライフスタイルが異なり感覚を掴みにくいことがあります。
美容家として女性から聞いてきた生の声を届け、どうしたら開発側と利用者側の双方にとっていいものができるのかを模索し、解決策を見出しています。
3つめは一般社団法人日本セルフ美容協会の代表理事としての活動です。ヘアメイクアップアーティスト森田玲子さんと共に創設し、女性がセルフ美容を通して変われるきっかけ作りをしています。
私の会社では、化粧品の制作や美容コンテンツの請負、などビジネス的な要素なのですが、協会の方では、世の中の女性たちにレッスンや美容法の発信を行なっております。イメージとしては、経営者の私はLINOME株式会社の方。美容家としての私はセルフ美容協会の方になります。
4つめは自社での商品開発です。昨年の10月下旬に『温漢ブースター美容液-朱華-』を発売しました。
日本には和漢コスメがまだまだ少なく、販売をされていても、品質の良さからご褒美の一本になってしまう価格のものばかりです。アラサー女性世代には継続がしにくい価格の商品に問題意識を感じていました。
そこで私がつくるものは、品質にもお客様目線の価格にもこだわりたい!と。通常相場の半額未満の価格に抑えています。
『朱華』はグルコシルヘスペリジンという成分が2番目に多く使われている成分で、和漢エキスも12種類調合していることから、美肌作りのために自分がずっと欲しかった美容液をプロデュースしました。
>自分が欲しかったものを作られるなんて素晴らしいですね。ところで、LINOME株式会社様へはどのようなご相談で企業様からお声がかかるのでしょうか?
傾向として多いのは
「データをとっても美容品の成果の上げ方がわからない」
「女性ユーザーの気持ちがわからない」
というものです。
以前、プロジェクトに携わらせていただいた時に、ある課題を目の当たりにしてきました。
大きな会社こそ、数字のデータを集められます。しかし「マーケティングをしているはずなのになぜか売れない」という実態です。
こういったご相談は大きな会社に限らず様々な企業様が抱える問題です。数値やチェックリストだけではわからない、実際に関わることによって聞けたこまやかなニーズを〝生の声〟として届けています。
データも全体的な傾向として参考になる情報ですが、いかに細かいところに目を配れるのか。ターゲット層である女性たちとコミュニケーションをとって、意見を聞いているかどうかがヒットするか否かを大きくわけるほど、重要なことだと思っています。
#美容家としての濱田さんに密着!美容をツールに女性を輝かせるイロハ
>キレイになることによって自信が持てる。いろんな著名人の方やメディアで言われていますが、濱田さんのお言葉で〝美容の可能性〟をお教えいただけますか?
自分が体感したからこそ美容の可能性を信じていますが、人生をいくらでもよりよい方向に変えてくれるものだと確信しています。
一方で、かつての私のように「キレイになりたい」と思うことや、それを口に出すことが恥ずかしいと思ってしまう気持ちもよくわかります。周りから「あの人、自意識過剰だよね」と思われないか不安になって、興味はあるのに諦めてきた期間が長かったということもよく聞きます。
けれど仕事を頑張って「成果を出したい!」と思っている人たちがいるように、美容を通して「よくなりたい」「キレイになりたい」という気持ちの本質は共通だと思います。
例えば資格取得の勉強は好き嫌いがありますし、嫌いだったり苦手だったりすると苦行です。嫌いや苦手までではないものの、成果を出すために大変な苦労をしないといけないことが世の中にはたくさんあります。
しかし美容はヘアメイク・ファッションのようにすぐ変われるものもたくさんありますし、月日をかければ体型や肌質も変えることができます。極端なダイエットは辛いですが、そうでもない限り、美容は楽しく積み重ねられるものなのです!
そうして変わった自分を好きになる。好きな自分だから挑戦する。
自分を好きになる方法は、仕事で成果を出すことも十分立派です。
人の役に立つことも素敵なことです。
結果を出すために苦行はたくさん存在する中で、美容は楽しみながらできる。こうしたところに大きな魅力と可能性を感じています。
>お客様の中には「変わりたいけれど、自分に自信が持てない」と感じている方が来られることもあるかと思います。そういう方に対して、多くの女性に支持されている濱田さんはどのようなコミュニケーションをされていますか?
相手を決めつけないようにしています。
私は今でこそプラス思考になりましたが、もともとは諦めグセのある人でした。
書籍『運命をこっそり変える』の帯に「たった3年で年収240万円のニキビ肌OLから最年少美容家になった」とあるように、自信を持つこと、挑戦することで人生を変えることができることを人生の中で体験してきました。
だから「自信を持つ人が増えたらいいな」と思いますが、「自信を持ちなよ!」とは言いません。
自分の意見を通すよりも、相手の価値観を受け入れます。感情論にも理由があるので、そこを一緒に整理整頓することを心がけています。
>「人生をよくしたい!」と思っている女性、ご本人の行動で大切なことは何だとお考えでしょうか?
人生にも自分に対しても、正解を求めないことだと思います。
今の時代は便利さゆえ、人の日常をSNSで知ることができます。そして素敵な人、綺麗な人もたくさんいて、その人たちと自分を比較してしまうことがあるかもしれません。
けれど、どんなに輝いている人でも、その裏にはものすごく苦労や努力をしているので、「私は◯◯さんと違ってダメだな」と思わないでほしいです。
容姿に関してはひとりひとりにいいところがあります。
また、辛いことがあっても、人生を思い返したときに「あの辛いことも正解だった」と思える日が来るはずです。
自分のペースで自分と向き合い、人生では何が起こるのかわからないので臨機応変に対応をして、可能性を決めつけずに過ごしてほしいと思います。
# 女性向けヒットサービスはこうするべき!数々の美容サービスをプロデュース秘策
>女性にヒットする美容商品をプロデュースするときに気をつけている着眼点をお教えいただけますでしょうか。
商品の効果・値段・ワクワク感の3点を意識することです。
まず商品の効果は、ターゲット層の女性の悩みに合うのか。
悩みをデータで集めるだけではなく、実際にコミュニケーションをして、対象となる女性のつぶやきにも耳を傾けるイメージです。その小さな一言が、実は多くの女性の潜在的なニーズだったということがよくあります。
そのニーズに対し、改善できるものをつくること。そしてPRするときに具体的にどんな効果があるのかをしっかりお伝えしています。
次に値段です。スキンケアアイテムは継続してもらってこそ結果がでるアイテムも多くありますので、毎月いくらまでなら出せるのかをしっかり捉えた価格にしています。どんなにいいものでも、お試しで一本だけでは、なかなか効果の実感が得られません。
私のInstagramやBlogで紹介するコスメも価格の視点は意識しています。
美容家になった当時から、本当にオススメしたいものを紹介するようにしていたのですが、応援してくれる友人や見てくださっている方から「もっと購入しやすいものを紹介してくれないと、結局買えないんだよね。」という意見をもらいました。
いいと知ってもらえることも嬉しいですが、やはり実際に使ってもらわないことには意味がないので、そこからは紹介するものもプロデュースする商品も、手にとれる価格を意識しています。
最後にワクワク感です。
「これを使うと肌質がよくなってる」
「なんか私、キレイになってる」
そう思わせてくれる美容アイテムは、女性の日常にときめきを与えてくれます。その感覚があると、自然と続けていきたくなり、続けると効果を実感できる好循環に。
ライティングや商品のプロデュースなど、物によってどうワクワク感をもってもらえるようにするのか施策が異なりますが、ひとつひとつの製作物に対して「どうしたらワクワク感が伝わるだろう」という意識を持ちながら商品に携わっています。
例えば、私がプロデュースした美容液の『朱華』の容器は、日本をはじめ中国、台湾、香港の展示会を練り歩き、探し出しました。パッケージデザインや、同梱物に挿入する写真は、実際に中国にまで渡り撮影をしています。
なぜかと言うと『朱華』は古代宮廷で使われていた化粧品をイメージにしています。
そのため、実際に女性たちが使う瞬間において、『朱華』の一滴一滴が古代宮廷より受け継がれてきたレシピです。今日まで、そのレシピを自分が使い、同じように血巡りの良い肌を育んでいる効果を実感しているので、そのワクワク感を届けたいと思っているからです。ワクワク感を届けるためには、届けたい相手がそのモノやコトに触れる時の情景をどれだけリアルに想像し、自分自身を投影し、そのために必要な要素を形にできるかが大切なのではと考えています。
>確かに濱田さんのお話をお聞きしていると、美容の可能性にワクワクしました!自然と実践したくなりますね。 ところでInstagramやブログなどのご自身のメディアを運営するにあたり、意識されていることはどのようなことでしょうか?
「見てよかったな」と感じてもらうことと、私の意見をしっかり伝えることの2点です。
前者に関しては、美容についての知識を得たい女性に向けて、参考になることを発信していきたいと思っています。そのためターゲットを決めることと、ターゲットが欲している情報を見逃さないことです。
繰り返しになりますが、ニーズを汲み取るために、イベントやレッスンでお会いするときの生の声を聞き逃さないように、耳を傾けています。
あとイベントでは事後アンケートが重要です。主催者よがりの項目を準備してチェックではなく、目的に応じた質問をして自由記入の欄があることによって、本当に求められている意見がいただける可能性が高いです。
後者に関しては「美容家の濱田文恵だからこそ伝えられること」のみを発信するようにしています。客観的な情報は溢れているので、自分が使ってみて感じたことや安心できるポイント、魅力に感じたポイントをお伝えしています。
メディア運営ではこのように、ある分野において聞いた話ではなく自分なりの意見を持つことによって、価値がある情報発信をできると思っています。
#最年少美容家の濱田さんがつくっていきたいこれからのセカイ
>今後に向けての想いをお聞かせいただけますでしょうか。
化粧品をつくりたいという想いがようやく叶ったのですが、次のステップに向けて、いい意味で0ベースになって、また新たに進んでいこうという気持ちです。
出版している書籍の中で「駆け込み寺のような美容サロンをつくる」「すべての人にオススメできる化粧品をつくる」「中華圏女性のきれいのサポート」などビジョンを書きました。
今の私があるのは生徒様、お客様、周囲の人たちのおかげです。
先日、買ったばかりのパソコンにお茶をこぼしてしまい、修理代も結構いいお値段で…誰かに迷惑をかけていなかったのはまだよかったのですが、自分のミスに落ち込んでいました。
けれどそんなときにお客様から一通のメッセージが届いたのです。
もう1年ほど前にお会いした方だったのですが、出会ったときからどのように変わることができたのか、感謝のメッセージがご丁寧に綴られていて、感激でした。
「また頑張れる!」「もっと頑張りたい」と思った瞬間ですね。
これからもお客様に寄り添えるイベントのご提供、寄り添える商品開発、そして寄り添える人でありたいです。
周りの方々の言葉が私の励みで「もっと喜んでほしい」と思える原動力になっています。そういう言葉をいただけることに感謝をし、少しずつ自分の夢を叶えていきます。
【編集後記】
「天然のマーケターに共通する性格がある。
それは…いい人であるということだ!」
優秀なマーケターの方から、以前、こんなセリフを教えていただきました。
この言葉は濱田さんと関わることによって、自然と思い起こされたのです。
濱田さんの書籍を読んだときに、こんなにも自分に正直で、まっすぐで、しなやかな女性がいるのかと衝撃を受けました。
お会いすると魅力的なお人柄がすぐに伝わってきて、おだやかな口調の中で、「お客様に喜んでいただけるものを」と、何度も何度も口にされていらっしゃいました。
プロ意識が高く勉強熱心だけれど、目線は常にお客様にあるからこそ、打ち出すマーケティングやPR戦略で女性の心を惹きつけるのでしょう。
小さな声にもいかに寄り添って耳を傾けられるか。それを形にできるか。
基本だけれど忘れてしまいがちなことの重要性を教えていただいた取材でした。