“理想の働き方”は人それぞれ…厚労省にも表彰される、社員に「働き続けたい!」と思ってもらえる組織づくり、離職率0%の働き方改革とは。【起業インタビュー87回目】|起業サプリジャーナル

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“理想の働き方”は人それぞれ…厚労省にも表彰される、社員に「働き続けたい!」と思ってもらえる組織づくり、離職率0%の働き方改革とは。【起業インタビュー87回目】

公開日:2018.12.11

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 「この組織でこれからもずっと働き続けたい!」

そう心から願う社員ばかりが集まったら、経営者はどれほど幸せだろう。

中小企業の平均離職率を厚生労働省の雇用動向調査によると、従業員100名未満の会社はここ10年ほどの期間、離職率が15%前後を推移している。

今回取材をさせていただいたのは、中小企業を中心に『働き方コーディネート』をしているTRIPORT株式会社 代表取締役・岡本 秀興氏。

創業5年目であるTRIPORT(株)の離職率は、なんと驚異の0%!

社員の「働きやすい職場」という口コミでリファラル採用が70%以上を占め、この手法によるリクルートにかかる広告費は一切なく、優秀な人材が集まってくるとのこと。

社員ひとりひとりが「働き続けたい!」と意欲を湧かせる組織をつくり、他社にも働き方改革を起こし続ける秘訣を教えていただきました。

 

岡本 秀興 氏プロフィール

2006年 中央大学経済学部卒、在学中に社労士試験に合格しつつも、今後はITスキルが必要不可欠であると考え、(株)オービックビジネスコンサルタント(OBC)に入社。社会保険労務士のスキルを活用しつつ、システムエンジニアとして主にHR系の基幹業務アプリケーション、クラウドサービスの開発に従事。マーケティングからシステム開発まで幅広く関わる。

ITをはじめ、世の中の便利なツール・サービス・仕組み等を、本当に必要としている人に“簡単・気軽”に利用してもらえる環境を構築すべく、TRIPORT株式会社を創業。

代表取締役社長 CEO 就任。

現在、社会保険労務士法人の代表、また士業事務所等の経営顧問を歴任。

また、働き方改革や助成金分野の専門家として月間コロンブス(2001年創刊)、先見経済(1938年創刊)等の経営者向けビジネス誌等も執筆。

その他、参議院議員会館等、官庁等で「働き方改革」をテーマに登壇する等、多方面で活躍。

 

#1  代表の居住地は沖縄県!? 自ら働きやすい環境を追求し続けるテレワークとは

 

>この度は厚生労働大臣表彰「輝くテレワーク賞」、「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞等」のご受賞をおめでとうございます! 改めましてTRIPORT(株)様のミッション・事業内容についてお教えください。

 

『1社1社の経営課題に最適な解決策を”コーディネート”』ということをミッションに掲げ、下記サービスを軸に事業を展開しています。

※働き方コーディネートサービス

経営者目線だけでなく、従業員目線を一番大切にした〝働き方改革〟をご提案。「実態調査×社内インフラ整備×助成金活用」により従業員が「働き続けたい」と思える職場環境づくりをトータルサポート。

 

>テレワークに関係する『働き方コーディネートサービス』について詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

 

 

テレワークは「育児・介護、その他諸々の事情から、時間的・場所的制約により、働きたい意思があるにもかかわらず働けない」というような、働き方や雇用に関する諸問題を解決できる非常に有益な仕組みなのですよ。

仕事だけに集中できる環境であれば、朝9:00出社〜夜まで残業をして自宅に戻るライフスタイルでもいいかもしれません。

しかし、出産や育児、介護などのライフイベントがあったときに対応ができない。それで仕事を辞めてしまったら、企業にとっても本人にとってもダメージが大きいです。
その解決策として『働き方コーディネートサービス』を考案しました。

ちなみに私は生まれも育ちも、会社の本社も東京なのですが、現在は沖縄に住んでいます。(笑)

 

 

>てっきり本社のある東京、もしくはその近郊にお住まいだと思っていたので驚きです! なぜ沖縄なのでしょうか?

 

 

プライベートも兼ねていますが、地方創生のためです。

沖縄は内閣府の調査によると、県民の1人あたり年間県民所得が213万円で全国最下位なのです。所得が低いと消費が生まれない。消費が生まれなければ経済は動かない。その悪循環をどうにかできないかも考えています。

そうして沖縄に住みながら、机上の空論にならないように、現地の産業構造や地域経済だけでなく、その土地の文化や民族性等を学ぶことで地方創生のきっかけを掴めないか調査・分析し、何かしらの有益な“新たな仕組み”を構築できないか日々考えています。

一方、自分のような意思決定権を持っている経営者層も一人のテレワーカーとして業務を行うことで、テレワーカーとして働いている社員の立場、気持ちを自分事として理解するよう努めることで、社員にとって本当の意味で“働きやすい、働き続けたい!”と思える環境がどのようなものかを身をもって検証しています。

また、そもそも経営者層がテレワークという働き方を実施してみて、本当に事業は回るのか、という点も検証しています。

 

#2「働き続けたい」と思われる会社をつくるために。顕在化されたニーズだけではなく、潜在的ニーズも引き出しながら解決策をコーディネート

 

>「働き続けたい」と思うモチベーションはひとりひとり異なりますが、どのように企業様へご提案されていらっしゃるのでしょうか?

 

まずは事前のリサーチですね。

あなたの会社に最適な “働き方改革” かんたん診断 & 導入支援サービスという無料診断を行っています。

 

 

何より大事なことは、経営者が求めていることだけではなく、従業員が働き方に対して何を求めているかを知ることこそが重要なので、まずは、従業員のニーズを調査するアンケートから実施します。

上記アンケート結果を基に、「働き続けたい!」と思ってもらえる労働環境を構築するために有効ないくつかの勤務制度を選定していくことになりますが、アンケート内では、そもそも各制度にどの程度〝興味・関心〟があるのか。各制度への〝懸念点・不安〟等を持っているのかも含めて実態調査を実施。これらの情報を基に、会社のニーズに合った最適な働き方を診断し、ご提案をすることまでを無料で行っていますよ。

 

 

ちなみに、アンケートでは顕在意識を引き出せますが、同時に適性検査もします。本当の問題になることは潜在的なものが多く、ストレスの感じ方も人によって基準が異なるんですよね。

 

 

「アンケート」と「適性検査」の両側面からアプローチをして理想論を見出し、それに対する最適解を探していきます。

 

>なるほど。それによって働き方改革をされた企業はどのように変化をされていますか?

 

社員にとって「働き続けたい!」と思える会社に対して、社員は「モチベーションが向上し、会社への貢献意欲も向上します。その結果、下記のような効果が出てきます。

 ①離職率の低下⇒シンプルに「働き続けたい!」と思える環境、かつ実際に「働き続けられる環境」を用意できれば、必然的に離職率が低下します。

 ②採用のし易さ向上⇒リファラル採用もしやすくなり、優秀な人材が確保しやすくなります。

 勿論、「働きやすい職場環境」であることをPRすれば、一般的なリクルートでも社員にとって働きやすい環境は魅力的に映るので、採用効率が大きく向上します。

 ③生産性向上⇒労働意欲(モチベーション)が向上すれば、社員は自律した働き方ができるようになり、その結果、自分の仕事をこなすだけでなく、積極的にチームメンバーとコミュニケーションをとるように変わります。さらに、組織全体のことを考えるようになるので、全社的な生産性が向上します。

実際に弊社でも創業5年で離職率が0%なのは、ひとりひとりのライフイベントに合わせた対応をしていることによって、社員のニーズが満たされて喜んでくれているからだと思います。

人をリクルートするのにも、教育をするのにもコストはかかってしまうので、離職率を削減できるのは経営者にとって非常に大きなメリットですよね。

また、大企業であれば人材も資本力もあるので、社内に「働き方改革委員会」のようなプロジェクトチームを作って、改革を推進するようなこともできますが、中小企業はそうしたリソースがなかなか割けません。

しかし日本の企業は99.7%が中小企業です。これらの会社でも改善できる施策ができないものか。

そこで「従業員のためにどうにか働きやすい環境をつくりたいけれど、人材や資金等のリソースに限りがあって、なかなか働き方改革を進められない!」という中小企業の課題を考慮し、助成金制度を活用した働き方改革を支援するサービスを構築しました。

 

 

#3距離があってもフェアな評価を。

>ここまででテレワークにあるたくさんのメリットが伝わってきました!一方で、まだテレワークという働き方を軸とした“働き方改革”が一般的ではない原因は何でしょうか?

 

帝国データバンクが2018年8月に実施したアンケート結果から考察してみると、働き方改革を実施していない、取り組んでいない企業は「必要性を感じない(37.60%)」「効果を期待できない(34,10%)」という結果があります。

実際にお会いした方々の中にも、必要性にピンときていなかったり、以前に導入をしたけれど上手くいかなかったりした、という話も聞きます。

事前の準備をしっかりせずにテレワーク勤務制度を導入したところの失敗事例としては、

  • コミュニケーションが少なくなることによって、生産性も下がってしまうこと
  • 頑張っても努力を評価されないこと

などが要因として大きいです。

前者の例は、ちょっとしたことを確認したいとき。同じ部屋にいたら、上司の顔色や状況がわかるのでタイミングを見て質問にいけます。

しかし、顔を見ることができないと、質問をしていいのかわからずモヤモヤしているうちに時間ばかりが過ぎて効率が下がるということがあるのです。

この例でいうと、上司に声をかけていいか否かがわかるホワイトボード型アプリ「ZAiSEKI(ざいせき)」が1つの解決策ツールになります。

オフィスからも外出先からもスタッフの在席状況・行動予定を共有できるので声をかけるタイミングがわかるアプリです。

このように知っているだけで役に立つアプリの事例もいくつかあるので、そのような解決策をご提示もしています。

後者に関しては「自分のことをちゃんと見ていない役員が自分の評価を決めているんでしょ」と納得がいかないという意見が多いです。

営業成績ならば数字で評価をできますが、仕事の中には数字で評価ができない仕事もたくさんありますよね。

テレワークという働き方を導入すると、同じ空間で働いているわけではないので、上記のような問題がより顕著にでてきてしまいます。

このような想定される問題点を、できる限り事前に対策を講じておくことが非常に重要だと思います。

 

#4〝わかりづらい〟が〝わかりやすく〟になるものを作り続けたい

 

>中小企業でも働きやすい働き方を次々に生み出し続けられていますが、TRIPORT(株)様の組織図はどのようになっているのでしょうか?

 

弊社では中間管理職がいません。役員か、役員でないか。

各分野における知識・経験が豊富なリーダー的存在は残しつつも、役職のような階級構造ではなく、全員がフラットな立場で、意思決定権も各自にもたせています。

 

>新人の方にもですか?

 

はい。しかし各自の裁量で意思決定をするためには、そのアイディアを実行するために必ず他者に助言を求めるというルールを2つだけつくっていますよ。

ひとつは企画の発案を実行することによって、影響してしまう人へ事前に助言を求めること。

ふたつめは企画しようとしている分野に知見のあるプロに助言を求めること。

そして、万が一、実行した結果が悪かった場合は、助言した人たちも連帯責任にする、というルールです。そうすることで、自分が発案することで「自分だけが痛い目をみる可能性があるからアイディアを出すのをやめておこう…」というネガティブな想いを払拭できたり、一人が考えたアイディアを、関わる人たちも真剣に意見を寄せるようになり、様々な人たちの知識・経験、また多様な価値観が反映された、より洗練されたアイディアに昇華されることになります。また、結果が良かった場合は、自分が考えたアイディアが採用された、という達成感も得ることができる仕組みになっています。

助言プロセスの仕組み化によって、どんな立場の人も企画を立ち上げられるようにしました。

 

>新しい企画にチャレンジできる魅力的な制度ですね! 人が心地よい居場所を作り続けることができる岡本社長は、どのような視点で物事を考えていらっしゃいますか。

 

それぞれの事象に関連するあらゆる人の立場で物事を考えていることでしょうか。

常に世の中に求められるもの、喜ばれるものをつくりたいと思っています。

自分がされて嫌なことはしない。

自分がしてもらって嬉しいことはする。

「この人だったらどうだろう?」と仮説を立てて、その立場の人に実際にヒアリングすることも多々あります。

働き方の事例で言うと、会社と社員の関係とは親子関係と同じものだと思っています。

親は子供に無償で何でもしてあげて、どうしたら喜ぶのかを考えますよね。だから子供は親が大好き。こういう信頼関係は会社という組織も大切です。

特に日本人は恩を大切にする義理深い国民性ということもあり、こうして会社のトップが社員へ与えたら、そこに対して「恩返しをしよう!」「貢献しよう」と意欲を湧かす人が多いように思います。

組織は人が構成しているのでひとりひとりの価値観を尊重することを忘れないようにしていますよ。

 

 

しかし経営は利益を出さないといけません。

これからやりたいことに、社会貢献性はあるのか、という視点を常に軸に考えつつも、当然のことですが会社の利益率、財務状態も意識して事業を回さなければなりません。

 

>ファイナンス面も視野に入れつつ、社員さんへ愛情を注ぎ、与え続ける姿勢に感動しました。システムだけではなく、居心地のよさとしても幸せな組織なのだろうと感じています。

そんな岡本社長がこれからつくっていきたいものは、どのようなものでしょうか?

 

一言でいうと世の中の〝わかりづらい”を“わかりやすく”したいですね。

世の中、わかりづらいことだらけです。例えば、私は前職のIT系企業でエンジニアを約10年間していましたが、そもそもそのシステムが認知されず、たとえ認知したとしてもシステムの良さが分からず、また、良さが分かっても、どのように自社に適合すればいいのか分からない、というケースが本当に多いと感じていました。

このような“わかりづらい”という事実は、システムに限ったことではなく、世の中すべてのことで同じことがいえます。

例えば、助成金制度も会社をよくするために国や都道府県、市区町村等から返済不要な資金として支給される有益な制度ですが、活用していない企業が多いです。理由はシンプルで「わからなくて大変そうだから」。働き方も同じことです。

〝わからない〟が〝わかる〟になったら、今まで以上に世の中の人たちの力になれるはずです。

だからこそ、世の中にいいものをしっかり伝えていきたい。

そのための手段になるものをこれからもつくり続け、提供して、必要な人たちに喜んでほしいと思います。

 

【編集後記】

取材前は「働き方改革」を事業のひとつとして、今この時代にニーズのあることをされていらっしゃる印象でした。

それはもちろん事実であり、TRIPORT(株)様のことをより多くの人に知ってほしいという気持ちが強まったのですが、それ以上に「制度」<<「人の気持ち」にフォーカスをして事業をつくりあげている姿勢に感銘を受けました。

「お金のために働いている」ではなく「この場所で働きたい!」

そう思って会社にコミットする人が増えたら、結果として会社もよくなるはず。

会社に対して「生活費を養う場所」ではなく「ひとりひとりの居場所を与えるチーム」にしていること。それを次々に自社で行い、外部へ展開しているTRIPORT(株)様のご活躍にこれからも大注目です!

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