こんにちは。株式会社港国際ワークスタイル研究所 代表取締役/港国際社会保険労務士事務所 代表の近藤由香です。
リクルートワークスの調査「ワークス採用見通し調査」によると、人材確保を目的に42.5%の企業が初任給の引き上げを実施、実施予定で、新卒採用を増やす企業は15.8%と、2011年卒以降最も高いという結果が出ました。
企業の悩みというと「採用と定着」と言われ、どの規模の企業に行っても、採用についてのお悩みは尽きません。今回は採用で選ばれる企業、定着する企業のつくり方を考えます。
■新卒採用で企業を選ぶ時に重視したポイントは?
就職みらい研究所の就職白書2017の調査によると、2017年の新卒の学生が企業を選ぶ際に重視した条件は
1業績
2勤務地
3職種
となっています。
勤務地が希望と近く業績もよく職種もやりたいことに合っている、そのような会社が選ばれるのは納得と言っていいでしょう。
面白いのは、これらの上位3つは、安定性、給与水準、勤務時間・休暇といった諸条件よりも高いということです。また、就職活動を開始した際と、12月時点での差も比較されているのですが、就職活動を始めたころには、一緒に働きたいと思う人がいるかどうかという点が4.7%だったにも関わらず、12月の就職活動が進んできた頃になると、グンと上がり12.4%となっている点です。
就職活動が進むにつれ、より働くことが身近となり、「一緒に働きたい」と思う人がいるかどうか、という点を真剣に考え始めるということが分かります。
■これからの企業の在り方
また、リクルートマネジメントソリューションズの働き方改革の推進に関する実態調査2017によると、働き方改革が叫ばれていますが、現在は「4割強の企業が「長時間労働者・労働時間減少」への手応えを感じている一方、「業務効率・労働生産性の向上」は約3割にとどまる。また、「採用力向上」「イノベーション進展」といった企業の競争力向上への成果実感としては、「メンタルヘルスを損なう従業員の減少」「働きがいの向上」「キャリア自律意識の向上」といった従業員視点の成果実感は1~2割とさらに低い」とのことです。
労働時間削減といった外側については進んできているものの、その代わりの生産性向上、業務効率の向上という点では課題が残っていることが分かります。
つまり、これからの企業の課題としては、労働時間を削減したり、休暇を減らしたりといった外側の施策だけでなく、業務内容の効率化や生産性を上げるような仕組み作り、見直しを行い、より一人一人が生産性高く業務を行う企業、組織が求められているということです。
■これからの雇用のあり方
ある中小企業の社長が言っていた言葉があります。
「私は社長なので、従業員に責任があることは分かっている、だけど、今までは企業に社員がおんぶにだっこでよかった。でもこれからは、企業はそんな体力もないし、社員を育てていくというよりは、社員も自発的になって、企業を”使う“位の意気込みがある人じゃないと難しい」と。
今までは日本社会は終身雇用が当たりまえでした。これが崩壊してから大分経ちます。終身雇用が崩壊してから時間は経ち、社会は副業を認める方向性です。つまり、働く人一人一人が「事業主」の感覚を持ち、キャリアを自ら考えて企業を選択し、複数の企業で働くことをも選ぶことができる時代だと言えるのです。
つまり、今までのある企業と社員との間の「雇用」という関係から、個人が企業を選び、能力のある人、やる気のある人は複数の企業を選ぶことが出来る時代です。これからの「雇用」の意味合いが変わってきていることが分かります。
■今後の「ハタラク」人の在り方
企業はますます生産性向上、業務効率を求めていく方向です。そして働く個人は「事業主」のような感覚でどこで自分の能力を発揮するかを選ぶ時代です。
個人が一人一人の能力を高めないとこれからは企業で働くことが難しくなってきます。そのためには生産性を上げ、空いた時間でスキルや知識の幅を広げていく、このような活動が必須となります。