2017年1月5日~1月8日までの4日間の日程でアメリカネバダ州においてCES2017が開催されました。
私もその会場で今年のトレンドというものを感じることができました。すなわち、トレンドは日々進化しており、そのスピードはより劇的であるということです。
マーケティングとは、市場環境を分析し、そこで受け入れられる商品とは何かを考えることです。言い換えれば、今後売れる商品を考えることですから、未来を見据えることが大事になってきます。それは今までもこれからも変わりません。
しかし現在では、従来よりもトレンドの変化が急激になってきています。もし自分たちが市場をリードしようと思えば、想像力を働かせて今まで以上に遠い未来を見据えなくてはならないのではないかとCESに参加して感じることができました。
CESで賑わいを見せていたもの
CESはコンシューマ・エレクトロニクス分野では世界最大の見本市です。そもそもCESは家電見本市ですが、近年ではスマートフォンや車などテレビ、冷蔵庫など典型的な家電製品からより幅広い「家電」を対象とするようになりました。
2017年のCES出典テーマは大きく分けて8つでした。AI(人口知能)、車、スマートフォン、VR、ドローン、ロボット、IOT、ウェアラブル製品です。
その8つのテーマの中で最も大きな賑わいを見せて注目を浴びたのが車でした。
車と言えばエコカーを想像する方が多いかもしれません。しかし今回CESのテーマであった「車」は、今までの車の常識を覆す、自動運転機能や人工知能を備えたものでした。
車には人工知能が搭載されており、持ち主の好みなどの情報を蓄積させることで、対話することができ、運転手の表情や姿勢で疲労度を感知し自動運転に切り替えるなど、ポストエコカーを象徴する車業界の新しいトレンドを感じさせてくれるものでした。
他にも、所有者が乗っていない間に自動運転で移動するHONDAの開発車などがお披露目されていました。将来的には車が自分で自宅の駐車場に帰ってきたり、オーナーが呼び出したら戻ってくるという時代がくるかもしれないという話も出ていました。
しかしもし自動運転の最中にガス欠になったらどうするの?と思いますよね。実はそこまで見越してこの車にはVISAと共同開発したシステムが搭載されており、ガソリン代を自動で払うことができるのです。
もしかしたら近未来の道路には人が乗っていない車が多く走るようになるのかもしれません。そうなれば駐車場が減るので土地の狭い日本にとって非常にいいことかもしれません。
しかし一方で人の乗っていない車が事故を起こした場合その責任は誰がとるべきかなど法律上での問題もありますから、無人運転車を実用化し商品化するにはまだまだ大きな壁があるのも事実のようです。
このように具体的な商品化の目途は立っていないにしても、私たちの思っている以上のスピードで技術革新が進んでいることを車の展示を見ていて実感しました。
車以外でもIOTを前面に押し出した家電製品やウェアラブル端末など、業界全体のトレンドが我々の想像を超えて急激に進化しているということを肌で感じることができました。
僕が子供の頃はドラえもんの漫画を読んで未来を夢見ていましたが、まさにドラえもんの道具がそこかしこに転がっているような時代が到来しようとしているのです。もしかしたらもうとっくに到来しているのかもしれません。
急速なトレンドの変化に対応するために
このように急速にトレンドが変化していく現在において、10年、20年後を見据えたマーケティングを展開していこうと思えば、想像力をフルに働かせる必要があります。
業界の勢力図も著しく変わり、企業同士がコラボする相手先も様変わりしつつあります。例えば、AI搭載車などを実装し開発していくうえでカーメーカーとIT会社がコラボして開発にあたることが大々的に宣伝されていました。
VISAとHONDA、ヴォルクスワーゲンとGoogle、日産とDeNAのコラボなどは、ハードとソフトの垣根もなくなりつつあることを強く感じさせられると共に、今までのビジネス環境が大きく変化していることの表れでもありますし、この流れに決して乗り遅れないようにすることが企業の生き残りのためには重要なのかもしれません。
10年前まではエコカーが脚光を浴びていましたが、今では人工知能や自動運転機能を搭載した新しいタイプの車の生産が技術的には可能になっているのです。
1900年代後半からの10年と2000年代からの10年は技術革新のスピードが格段に違います。
21世紀において、10年先の市場動向を察知しマーケットをけん引するような製品を作ろうと思えば、未来を予測する柔軟な想像力が求められるのではないでしょうか。