こんにちは。行政書士の東優です。
イギリスは、日本とは幕末の頃から交流があるため、日本人にとってなじみが深い国で、日本の法制度にも影響を与えた国の一つです。課税制度がやや複雑で弁護士、会計士など専門家に対する費用が高額な側面を持っております。しかし設立費用は他国と比べると安く済みますので、離脱予定とはいえ、EU圏内の市場の足がかりとしましてもイギリス法人を所有することでメリットが生まれます。
イギリスで事業を行うメリット
- 日本人の好感度が高い
- イギリス人は、契約や法律を守り礼儀正しいなど日本人と共通する国民性を持つので取引をしやすい
- 日系診療所や日本人学校もあり住みやすい
イギリス法人設立のメリット
- イギリスに住んでいなくても日本に住んでいる日本人だけでイギリスで会社設立ができる
- 香港で法人口座が開設できるなど、日本法人で難しいことが可能となる
- 海外で多通貨口座が開設できるので、海外と取引がしやすくなる
- 事業目的は、設立後に決めても良い
以上が、イギリス法人設立等のメリットです。
海外、特にヨーロッパでのビジネスをお考えの方は、イギリスに法人を設立して拠点を持つことで、その後の事業展開を有利に進めることが可能になりますので、イギリス法人の設立にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
実際に事業を展開していくにあたり、イギリスに法人を設立すると具体的には次のようなメリットがあります。
事業展開のメリット
- アメリカや旧英連邦諸国との関係が深く、グローバルな展開も望める
- イギリス国内に法人口座がない場合、イギリスでは売上ゼロで申告することが認められている
- イギリスでの納税は、イギリスでゼロ申告することで完了しているので、イギリス法人の売上は、日本に送金しない限り、日本で課税されない(詳細は、日本の顧問税理士にご確認ください)。
イギリス法人の組織概要
株主 |
1名以上(国籍、居住地問わず) |
取締役 |
1名以上(国籍、居住地問わず) |
会社秘書役 |
1名(イギリス居住者もしくはイギリス法人) |
最低資本金 |
1£(ポンド)~ |
会社名
会社名は、「LIMITED」あるいは略称の「LTD」を使用します。
登記上の住所
設立に当たっては登記上の住所を決めなければなりません。
イングランドもしくはウエールズ内のどこかで、郵便物が届く住所(登記所は郵便番号で住所を確認します。郵便番号を間違えないこと)が必要です。
登記住所が、スコットランドの場合はスコットランドの登記所への登記となります。
株主
株主は、個人でも法人でもよく、年齢、国籍、居住地を問いません。
取締役
取締役は1名以上で非居住者でも構いません。ただし取締役が1名の場合には、秘書役を兼務することができません。
会社秘書役
会社秘書役とは、イギリスの公開会社(public company)において任命が義務付けられており、登記事項の一つでもあります。弁護士などが選任され、手続きに関することを担当します。
ただし通常の非公開会社では、定款に定めがある場合を除き、置かなくても良いです。
資本金
最低資本金は1£(ポンド)。現地のイギリス法人は1000£(ポンド)くらいが多いです。
相違点
イギリス法人が日本の株式会社と異なる点として、上記にもあるように、総務担当役員としての役割をする会社秘書役の有無です。イギリスに限らず旧大英帝国圏やアメリカでは、会社秘書役の登記が必要なことが多いです。
また、イギリスでは発生主義を取るので、イギリス国内で売上が発生しないと課税対象にはなりません。つまり、香港でイギリス法人の法人口座を開設し、そこに売上の入金があっても合法的に売上がゼロとみなされます。
ただし、イギリス国内に法人口座を持つイギリス法人やイギリス人と取引をすると当局から納税を求められることがありますし、法人口座のある香港でも香港法人や香港人と取引をすると、香港で納税を求められます。