社員数が増えてくると、組織にはルールが必要になってくる。
人事制度、とりわけ「成果を評価して給与を決める一連プロセス」については大企業でも常に課題があり、数年ごとに制度改革を行う。
スタートアップにも共通する人事制度のポイント
こうした制度について、スタートアップや中小企業にも共通する重要なポイントがある。
それは、「制度のクオリティと同じくらい、運用のクオリティが大切」ということだ。
パソコンに例えると、どれだけハイスペックなものを作っても、使う人にリテラシーがなければただガラクタになってしまう。
むしろ、必要最低限のスペックのものを用意してとことん使いこなした方がより多くの恩恵を受けることができるだろう。
起業した当初であれば、人のことについては社長の一存(直感も含む)で運用できていたことも、社員数が増えると個別対応に一貫性を保つことや、社員の納得感を得ることが難しくなってくる。
「しっかりした、最高の人事制度を作って解決したい」と思う時期だが、スタートアップや中小企業は、「最低限のルール・考え方」は用意しつつ、その規模的な身軽さを活かしてコミュニケーションを重視した運用をしっかりと回し、社員の納得度を高めることを心がけた方がいい。
社員のモチベーションを高めることが重要
制度の目的は、会社(“社員一人ひとり”とも言い換えられる)が継続的に成果を出し続けることであるから、社員のモチベーションを高めることが重要だ。
同じ評価であってもそのプロセス次第で納得度は大きくことなる。
納得度とは、「信頼関係」と「本人にとって想定内の評価なのか、それとも想定外の評価なのか」が大きく影響する。
だから、上司は年間を通じて部下に現在地をフィードバックしつつ、指導していく必要がある。
成果を出している社員であれば、年間を通じて良いフィードバックをすることでさらにモチベーションは高まるだろうし、成果を出せていない社員であっても何の前触れもなく悪い評価を突きつけられるケースよりもショックは和らぐだろう。年間の指導の中で、パフォーマンスが改善され、結果的に成果も評価も上向く可能性だってあるのだ。
日本は欧米に比べて「察すること」「空気を読むこと」「和」を重んじる傾向があるためか、率直なフィードバックは苦手な人が多い。しかし、人を育てて会社を育てるためには必要なことだ。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉がある。相手を尊重した上で、そのパフォーマンスについて誠実にフィードバックすればいい。あなたの率直な関わりが部下との信頼関係を高めることにも繋がり、日々のマネジメントも含めた良いサイクルが回り出すだろう。