少し事業が大きくなれば社員を採用する必要が出てくる。
「採用」と聞いて「面接」を連想する人も多いだろう。採用業務に関わったことがない場合、自分が求職者として体験しているのは面接の場くらいだからごく自然なことだ。どうすれば良い面接ができるかということについては書籍も多く出ているので参考にしてもらえればと思うが、実は面接の前後も大事な時間なのだ。
面接の前後
採用とは、自社に必要な人材に入社してもらうことだ。しかし面接という特殊な場面で人が人を見極めるというのは至難の技。あなたがもし採用未経験、または採用経験が少ない場合、明るくハキハキしてそれなりの職務経歴書が書いてあれば求職者に簡単に騙されてしまう可能性もある。
求職者を多面的に見る
そういった背景がある中で、一つのポイントとして「求職者を多面的に見る」ということが必要になる。採用といえば履歴書、職務経歴書、面接、アセスメントが代表的なツールだが、それ以外に「面接前後の立ち居振る舞い」に本性が出るケースがある。
具体的には対人コミュニケーションについて面接で見られない一面が垣間見える。
あくまで1つの側面だが、チェックしておいて損はない。むしろ思わぬ発見をすることもある。
例えば、面接では人当たりの良い誠実な印象を受ける人物でも、面接スペースまで案内したスタッフやドリンクを出したスタッフにはそっけない態度をとったりすることがある。
面接官の前だけ良い顔をしようとする人材は、日頃から表面的に取り繕ったり相手との上下関係に固執しパートナーシップを築きにくい人材かも知れない。
面接が終わり出口やエレベーターまで案内されるときに、ホッとしているのか妙に笑顔だったり馴れ馴れしくなったりする場合もある。人間が笑うのは、純粋に嬉しかったり楽しかったりするときだけではない。必死な時、ごまかす時、辛い時、悲しい時にも落ち着きを取り戻そうとして笑うことがある。
面接で冷静な印象を受けた求職者がこのように変化したら、もしかすると内面ではとても慌てていて何とか取り繕ったのかも知れない。
もちろんそれだけで合否を決めるものではないし、専門スキルがあれば対人コミュニケーションは重視しないという選択もある。会社によって、またはポジションによって異なるだろう。
いずれにせよ、思わぬリスクを追わないために、まずは多面的に求職者を見ることを心がけよう。