今回は、採用についてお話します。
企業の「選ばれる力」
採用において、企業には選ぶ力(見抜く力)と同じくらい、選ばれる力(魅了する力)が必要です。例えば、面接ではとても志望度が高く感じられた応募者が辞退してしまった、ということが普通に起こります。
では「選ばれる力」とは何でしょうか。具体的には3つ挙げられます。
まず、「業界イメージ」「企業イメージ」「ブランドイメージ」など、応募者からすれば応募前に刷り込まれているイメージです。もっともこれらは強力で、長い時間をかけて形成されるものなので、一朝一夕には変えられません。
次に、「面接官の印象」です。入社を決めた人の回答として「面接官の印象が良かった」というのは定番1つです。しかしこれも、面接官の人柄やコミュニケーション力といった個人の蓄積の成果ですから、すぐには変えられるものではありません。
最後は、「採用のスピード」です。応募や面接から何日(何時間)で採否の連絡ができるか、次回選考日程はすぐに提示できるか、問い合わせに迅速に答えているか等が挙げられます。即レスは「あなたにうちの会社にきて欲しい」という会社からの強い意思の現れですし、それは当然応募者にも伝わります。
中途採用では、多くの応募者が最初に内定の出た会社に入社するというデータもあり、採用スピードの重要性を裏付けるものであると思います。
スピードアップはすぐできる
多少の社内調整の必要が生じる場合もあるかもしれませんが、「採用のスピード」は、「企業イメージ」や「面接官の印象」と異なり、すぐに変えることができます。
例えば、ぜひ来て欲しいと思う応募者との面接が終わったとき、「よし、明日朝一で連絡しよう」というのでは遅すぎます。面接後、帰り道を歩いている応募者の携帯に電話する、紹介会社を介しているのなら当日中に必ず応募者に採用を伝えてもらう、それくらいのスピードで「ぜひ来て欲しい」という意思を行動で示しましょう。
これに対しては、「あまり前のめりな印象を与えない方が良いのではないか」と思う方もいるかもしれません。そういうスマートさに走りがちな時代だからこそ、ストレートな意思表示は相手の心に届きます。ためらっている暇はありません。
それでも気になるなら、「帰り道にご迷惑かとも思ったのですが、ぜひ次の選考に進んでいただきたい(弊社にお越しいただきたい)のでお電話しました。」と言葉を添えればよいと思います。
おわりに
採用活動をしていて、「いい人にはなぜか逃げられてしまう」と感じていたら、スピードの観点で振り返ってみましょう。意外とすぐに改善できることがあるかもしれません。即連絡、即レスで人材の争奪戦を一歩リードしましょう。