「地方創生」と聞くと、“食”や“観光”といった切り口を思い浮かべてしまうが、今回取材をした起業家 田中氏は美容師という自身のバックグランドから「美容」という切り口で、それを実現させようとしている変わった起業家だ。ヘアケア業界で初めて、時計遺伝子に着目して生まれた「CHRONO CHARME(クロノシャルム)」がつくる【美容 × 地方創生】の新しい文脈について、お話を伺いました。
プロフィール(Reno Beauty株式会社 代表取締役社長 田中誠太朗氏)
1985年北海道生まれ。ヘアメイクデザイナー。「ACQUA」「Noz」と美容業界を牽引するカリスマサロンで経験を積む。数多くの著名人を担当し、サロンワークだけに留まらず雑誌・CM・広告など多方面で撮影のヘアメイクも手掛ける。また、TV番組への出演や、大手化粧品メーカーでのセミナー、海外での美容講演も成功させ活躍の幅を多岐に渡って広げている。近年では『年間契約100万円の会員制ビューティーサロン「Reno 801」』を自社ブランドで展開し他業界からも注目を浴びている。
Reno Beauty株式会社について
ー 事業内容について、教えて下さい。
Reno Beauty株式会社では、主に3つの事業を展開しています。
1.HAIR MAKE事業・・業界で活躍するトップクリエイターが、TV・雑誌・広告から特別なパーティーやイベント、ライフシーンまでヘアメイクを提供。
2.サロン事業・・業界初会員制システムを導入したビューティーサロン「Reno 801」を運営。
3.商品開発/プロデュース事業・・美容業界で数多くの経験を積んだ田中氏の知見を元にした、商品開発からサービスのプロデュース。2019年11月には自社ブランドとして、ヘアケア業界初「時計遺伝子」に着目した新発想のヘアケアシリーズ『CHRONO CHARME』を発表。
ー ヘアケア業界初「時計遺伝子」に着目した、新発想のヘアケアシリーズ「CHRONO CHARME(クロノシャルム)」とは、どんな商品なのでしょう?
CHRONO CHARMEは、これまでのプロデュースノウハウを集約したReno Beauty初のヘアケアブランドとなります。名前の由来は、【時間 × 魅力】からくる商品の特徴を捉えた造語になります。
私の生まれ故郷である北海道の中にある、余市町というエリアで取れる白ブドウから抽出したブドウ由来成分「クロノシャルディ」を配合し、頭皮の「時計遺伝子」に働きかけ、乱れがちな肌リズムを整え、健やかな地肌へと導きます。
ー 「時計遺伝子」や「クロノシャルディ」など、、幾つか聞き慣れない気になるワードがありますね!改めて、商品の特徴についても教えて下さい。
はい。「時間」と「北海道ビューティー」、この2つのキーワードがポイントになります。
一つ目の「時間」についてですが、私はお客様がReno Beautyの製品・サービスに触れて頂く「時間」を有意義なものにして頂きたいと考えています。サロンを運営するにしろ、商品を開発にするにしろ、この「時間」を大切、かつ、キーワードにしていく中で今回の商品開発として着目したのが「時計遺伝子」になります。2017年に体内時計の分子メカニズムを解明したことでノーベル賞を受賞したことで話題にもなり、時計遺伝子に着目したスキンケア商品などは大手化粧品メーカーからも販売されてきましたが、CHRONO CHARMEはそれをヘアケア商品で初めて取り入れた、業界初の商品になります。この「時計遺伝子」に作用するクロノシャルディをふんだんに使用したシャンプー&トリートメントは、素肌をうるおしながら、不規則な生活で乱れた肌リズムを整え、美しく、健やかでより潤いのある肌環境へと導きます。
そして、二つ目の「北海道ビューティー」ですが、先ほどお伝えした時計遺伝子に作用する成分として、「クロノシャルディ」という成分が今回とても重要になってくるのですが、CHRONO CHARMEはこれを、北海道 余市町で取れるワインに使用される白ブドウから抽出しています。ワインの製造過程で、大量に廃棄されていたブドウの皮から成分を抽出し、廃棄されるハズだったものに新しい価値を加えています。
「モノを販売することで、コトを生み出す」。プロダクトを通じた地域創生の意図に迫る
ー ワインにも使われるブドウから成分を取っているんですね!なんて贅沢な・・取り組みも非常にサステナブルなものとして素敵ですが、「北海道」へのこだわりには何か意図があるのでしょうか?
実は、北海道は私の生まれ故郷でもあり、今回商品を開発にするにあたっては「地域創生」を意識したブランドにすることを先に決めていました。
通常、私たちの様な美容師は(ゲストと)対面することで価値を発揮出来ますが、それだけでは提供できる価値も・届けられる範囲にも限りが出てしまう為、その場所に出店する・住む以外で地域貢献をするということがとても難しい業種です。
ー 確かに、そうですね。
そんな理由もあって、今回商品開発に舵を切ったのですが、
北海道にある豊かな資源を使い、ヘアケアに落とし込めるモノを探していましたが、ただ商品をつくるのではなくて、その場所への貢献を生み出す「モノ」であることと同時に「コト」を生み出す商品でなければ意味がないと考えました。ここで言う「コト」とは、廃棄される予定だったモノに新しい付加価値を生み出すサスティナブルな取り組みであったり、プロダクトの拡大を通じた雇用などがそれに当たります。
現在は余市のふるさと納税返礼品にもCHRONO CHARMEが選ばれるなど、少しずつプロダクトを通じた新しい「コト」が生まれてきています。
30歳を前にして悩んだ美容師としてのキャリア。そして、起業へ
ー 起業をされた経緯についても伺いたいのですが、いつ頃から起業を意識していたのでしょうか?
27-28歳の時には、「30歳までには独立する」と決めていましたね。
ー 何かそのタイミングできっかけとなった出来事があったのでしょうか。
元々私は、カリスマサロンの先駆けとなったACQUAという美容室から美容師としてのキャリアをスタートさせ、そこからNozというサロンの立ち上げ・モデル、タレントさんのヘアメイクとしての活動など様々な経験をさせて貰ったのが丁度25〜28歳くらいの時でした。その中で、感じたことの一つとして「一人で出来ることの規模の限界」をぼんやりと感じる様になっていたのと、このまま【美容師として名を挙げて→自分の店舗を持って→スタッフを抱え→それを拡大させていく】という美容室としての王道な成功法には、あまり興味を持てていませんでした。
その時に、自分が担当しているゲストから「高いお金を払ってでもいいから、最高のサービスを受けたい」というニーズを多く頂いていたこともあり、回転率を重要視する既存の美容室ではない「会員制システム」を用いたサロンの形態を思いつきました。
ー なるほど。それでも、30歳を目の前にした順風満帆なキャリアから、一転して独立することに不安はなかったのでしょうか?
正直なところ、不安でした。ただ、その時に美容室のお世話になっていた上場企業の経営者の方から「まだ君は、20代後半。仮に失敗しても配送業者に勤めれば月40万円も稼げる。今スタートして、失敗するより、30代後半になって失敗した方がもっと大変だから、だったら今始めた方がいいんじゃない?」という言葉をかけてもらい、その言葉に素直に納得ができたのか、その2週間後には会社を登記していましたね(笑)
今後について
ー 中長期的な展開についてお教え下さい。
中長期的な展開としては、
・美容領域における働き方改革
・美容で地方創生
の2つを考えています。サロンワーク以外の収入をつくることが難しい美容師という仕事は、長期的にみれば決して安定した仕事とは言えない職種です。そういった既存の美容師=サロンワークの構造から、新しい稼ぎ口をつくっていける様な仕組みを通じて、「美容領域における働き方改革」をカタチに出来ればと思っています。
そして、CHRONO CHARMEから始まった【美容 × 地方創生】の取り組みも、これから北海道全域、そして日本全国と拡げていきたいと考えており、最終的には、その地域に新しい雇用を生むことまで繋がる取り組みとして各地方と連携した動きが出来ればと思っております。
ー 最後に、記事内でお伝えしたいPR事項などあれば教えて下さい。
11月にCHRONO CHARMEは、これまでのシャンプー/トリートメントのラインナップから新たにボディウォッシュを発売しました。こちら公式オンラインショップ以外では、エストネーション六本木などで販売もしておりますので、ご興味を頂ける方は是非店頭にも足を運んでください。
そして、CHRONO CHARMEから始まった、この【美容 × 地方創生】の取り組みを、まずは私の生まれ故郷である北海道からスタートさせています。魅力あるこのエリアを美容領域の切り口で元気にしたいと考えていますので、他に興味のある北海道の自治体様がいれば、是非お気軽にご連絡を頂けますと幸いです。
ー これからの季節、CHRONO CHARMEはプレゼントにも良さそうですね!美容 × 地方創生の取り組みも今後楽しみです!今日は有難うございました。
こちらこそ、ありがとうございます。